2013年05月09日

山東省の生姜の農薬騒動

 中華料理では、調味料として欠かせないのが生姜。特に、上海など南方エリアでは必ず生姜は使われます。日本でも報道されていますが、このうち、中国山東省で生産された生姜で、農薬の基準値を大幅に超えていた問題が、こちらのマスコミを賑わせています。山東省の生姜は、見栄えもよく人気がありました。

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 5月8日は、毒生姜が広東省広州市でも見つかり、すでに4000トンの生姜が処分されました。広東料理も生姜をよく使うのでショックな話です。

 今回生姜で問題となった農薬は中国語では「神农丹(涕灭威)」です。日本語ではアルジカルブといいます。アルジカルブに関しての詳しい情報は、日本の厚生労働省食品安全委員会が農薬評価書を出しています。( http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yuem-att/2r9852000001yukw.pdf


 中国の基準では、アルジカルブの最大残留量は0.03mg/kgですが、広州での検査で見つかったサンプルでは、0.097mg/kgと0.034mg/kgでした。ちなみに、深センでも一部で毒生姜が見つかっていて、山東省産の生姜への検査が強化されたということです。

 そもそも、中国では国土が広いので、各地から農作物が上海へ輸送されています。例えば、上海崇明島のカリフラワーも北方へ出荷されているのですが、やはり輸送距離や時間がかかると、当然鮮度が落ちるわけで、そのために小細工も必要となります。あたりまえですが、できるだけ地元産で、旬の野菜を食べるようにするのが、食の安全に欠かせない対策だと思います。毒生姜事件以降、広州でも地元の生姜が売れるようになったとか。

 安全な野菜を食べるためには、やはり五感を働かせるしかないのが現状。よく、虫食いの野菜が安全だとかいいますが、これも決してそうだと断言できません。農薬を散布する時期がずれたりすると、虫が成長してしまい農薬の効果が低下してしまいます。逆に、虫に食べられた野菜をみて、さらに農薬を散布してしまう可能性もあります。
 また、農薬は我々人間や昆虫に害を与えるだけで無く、野菜そのものにも影響がでるものです。これは、有機栽培をしているか、いい水をつかって栽培しているかで違いが出てくるのと同様、野菜そのものの味・食感にも十分注意して識別する必要があります。

 しかし、十何億人もの人民達を中国は養っていかなくてはいけません。すべて無農薬・有機栽培で供給するなんて到底無理な話です。そのバランスをどこにもってくるかが、今後ますます必要とされるでしょう。

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 気にしてもキリが無いので、我が家では家庭菜園をしていますが、青梗菜なんかは意外とはやく大きくなりますよ。




posted by 藤田 康介 at 10:54| Comment(0) | 中国の食の安全について

2013年05月06日

火鍋に使う「羊肉巻」とは

 未検疫の動物を使って「羊肉巻」を製作して外食産業に販売していた事件。
 詳しくは、こちらに書いていますが、その後の進展がありました。

 上海市工商局閔行区が各部門と協力して、漕宝路にある鑫品食品卸市場の摘発に入り、偽装食肉を売っていた業者の倉庫で商品を没収し、疑惑の肉をDNA鑑定して、偽装工作があったのかを調査しはじめました。さらに、その疑惑のある肉は、「小肥羊」や「澳門豆𢭐」、「品尚豆𢭐」、「傣妹」、「譚火鍋」など上海市内の有名な火鍋チェーンに発送されていたことも報道されていました。

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(羊肉巻はスーパーでも手に入ります)

 そもそも、「羊肉巻」とは、肉を寄せ集めてきて圧縮し、冷凍してスライスしたもの。今までも、他の肉が混ざっているのではないか?という疑惑があったのですが、業界ではすでに知られていて、アヒルの肉に羊脂を添加して、肉らしく偽造するのだそうです。うまく偽造できているものは、鍋に肉のスライスを入れたときに、脂肪と肉が分解しないのですが、一方で、バラバラになってしまったら問題有りと考えて良さそう。

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 とはいえ、肉を混ぜること自体は、中国の法律では規制されていません。今回問題となっているのは、ネズミやキツネなど未検疫の肉が使われたこと。しかし、羊の肉を食べに火鍋に行っているのに、中身はアヒルの肉だったというのなら、消費者を馬鹿にするのも程があります。

 火鍋は、以前も、火鍋スープの使い回しが暴露されたり、罌粟の実が使われていたりと問題ありの外食産業でした。火鍋ぐらい、家でやったらいいのにと思うのですが、そうもいかないのですね。しかし、肉の原材料をしらべるためにDNA検査までしないといけない時代というのも厄介ですね。

posted by 藤田 康介 at 11:30| Comment(0) | 中国の食の安全について

上海の大気汚染はPM2.5・PM10からオゾンへ

 H7N9型鳥インフルエンザは、ここ数日上海では新しい感染者は出ていません。一方で、高齢者の感染者が順次回復して退院してきていて、5日も4月13日に確認された78歳の男性、4月19市に確認された75歳の女性がそれぞれ退院しています。

 久しぶりに大気汚染ネタです。

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 さて、私もいまでも毎日チェックしていますが、大気の状況はここにきて夏〜秋に向けていつもの様相を見せています。まずは、今朝5時頃の上海世紀公園エリアの大気の状況は、PM2.5は61、PM10は67、オゾンは81となっています。(1時間単位)また、AQIは67でした。北京では、PM2.5が250超えしていますが、上海はそこまで悪くはありません。

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 一方で、これからPM2.5やPM10の値が下がってきた頃に上昇するオゾンなど光化学オキシダントの上昇です。上海市ではこの中でもオゾンの濃度に注目しているようです。
 オゾンは光化学スモッグの発生源になっており、特に、天気がよく、気温があがってきて、風があまり吹いていない日の午後2時〜3時ごろが要注意になります。オゾンは、酸化力が強いことから、殺菌などに使われますが、身体には有害な物質で、呼吸器に強い刺激をもたらすことが分かっています。


 日本でも、これからの時期は西日本や都市部を中心に光化学スモッグが出やすい時期ですからね。


 オゾンの大気中の濃度は、上海市が1時間おきに数値を発表しているアプリ「上海空気質量」で見られますし、大気汚染に関連する各種警報は上海市の気象台が発表しているアプリ「愛天気」でリアルタイムに受け取ることができます。


 
posted by 藤田 康介 at 10:47| Comment(0) | 上海の大気汚染状況