2013年05月05日

動物肉の本来の売り方・中国の偽装肉の問題

 その昔、といっても90年代半ばごろですが、上海ではまだまだスーパーマーケットがありませんでした。あっても、日用雑貨や保存食を売っている程度で、新鮮な野菜を手に入れるのには、市場に行くしか選択肢がなかったのです。その当時、サラダをたべるなんて、とんでもなく贅沢な話だったのです。そもそも、生ものを食べること自体、とても勇気が必要だったのですが、なんかはるか昔の出来事のようです。

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 市場で売られるものというのは、ものすごくリアルです。この写真も、今でも上海郊外で売られている山羊の切り身ですが、自分がどの動物の、どこの部位をたべているのか、買い物に行くことではっきりと分かります。H7N9型鳥インフルエンザの影響で、上海では市場での活きたアヒルや鶏が姿を消してしまいましたが、本来は、活きている状態からその動物の健康度をチェックして、さらに調理する過程で内臓などに病気がないかを調べながら食べるのが常識でした。

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(山羊肉売り場はこんな感じ)

 でも、都市人口が爆発的に増え、肉類を食べる量が増大すると、いちいち店に並んで肉を吟味することはなくなり、いつの間にか他人が切り出してきた肉を食べるようになったのでした。そうすると、人間の本能としての「安全な食べ物を捜してきて食べる」という能力が削がれ、そのことを利用して偽装肉を売ろうとする商売人が出てくるのも十分に考えられることです。とくに、中華料理では肉類をよく食べますし、肉料理に対しての信仰も強いような感触をうけます。

 中国公安部が5月2日に発表した事件で、江蘇省無錫と上海で、偽装羊肉を販売していたグループが摘発され、アジト50箇所、容疑者63人、差し押さえられた原料や未完成品10トンというのがニュースになっていました。原料となった肉は、未検疫のネズミ・キツネ・ミンクなどで、それにゼラチンや着色料をつかって食肉らしく装い、市場などで既製品として売っていたようです。少なくとも1億5千万円ほどの儲けを得ていたとか。

 こういった肉がどういう所に流通したかは、まあ普通の上海人なら大抵検討がつくと思います。一般に、大手スーパーのブランド肉は販路が限られていて、市民の目も厳しいのですが、火鍋などの外食産業、屋台なんかは使われる可能性が十分に高い。また、完成品を売っているところも怪しい。お総菜もまた然りです。価格競争の厳しい業界などでは特に要注意と言うことになります。

 結局、ラクして食べられたり、他人の手を多く仲介して出てくる食品には、その間になにが起こっているのか検討もつかず、結局消費者は受け入れるしか仕方がないというのが今の我々の現実のような気がします。


 
 
posted by 藤田 康介 at 07:26| Comment(0) | 中国の食の安全について

2013年05月03日

中国で贅沢品が売れなくなっている

 私の中国人の親友で、高級酒を取り扱っている商人がいますが、以前のようにガンガン売れていた高級洋酒が、ここにきてまったく売れなくなり、代わりに地元の紹興酒が売れるのはよいが、利益が出なくなったとか、ある公務員の友達は、今までは現金で経費を落としていたのが、ぜんぶカード決済なり、明細がはっきりとして消費が難しくなったとか、そういう話を回りでよく耳にします。明らかに、今までのように贅沢品を買いまくる中国人の姿は減っていることが実感できます。政府当局の、反腐敗に対する動きが目立ってきていることが印象的です。

 上海の南京西路や外灘のブランド街にも秋風が吹き始めており、いままでの消費が、公費の無駄遣いによるバブル消費であったことが露呈しはじめていますね。税務当局の領収書への検査も厳しくなっており、例えば某ブランド店でも、高級カバンに文房具の名目で領収書を切っていたのを、きっちりと商品の品目で書くように指導が入っています。

 こういった影響は、すでに数字でも出ていて、世界高級品 協会(WLA)のデータでも、2013年1月20日〜2月20日の春節期の高級品の売り上げが、前年の春節期を比較して53%の減少、2013年第一四半期のスイス時計の中国への輸出額は前年比26%減少など、急落しています。また、出店攻勢を進めていたLVも、ここに来て地方都市への出店を停止して、現状維持とするなど、流れが変わってきているのが分かります。売り上げの3割程度の下落なんて、ここ数年の中国では考えにくいことでした。

 新華社の報道の言葉を借りると、「2011年の国民一人あたりのGDPが86位なのに、贅沢品市場ではアメリカについで世界第2位の市場規模」と言うこと自体が、尋常ではなかったということが明らかですよね。

 だいたい、上海の市場では、1元や1角ですら値引きしようと大奮闘する人が多いのに、ブランド品を買うとなれば、価格すら聞かないというのはどうみてもおかしい。基本的に、自分のお金を消費しない、懐が痛まない、贈答に使う、という観点からの行動だったわけなのです。

 逆に、実用を重視する消費が伸びてきているとか。これも、ある2流海外ブランドの営業を担当している友人から聞いた話ですが、なぜか売り上げが急に伸びてきているのだそうです。

 こうした消費の変化は、中国の庶民にとってはいいニュースではないかと思います。


posted by 藤田 康介 at 08:06| Comment(0) | ビジネス・経済レポート

2013年05月01日

連休最終日は上海崇明島へ野菜の買い出し

 5月1日の早朝。PM2.5も50前後で、しかも快晴となると家にいていると勿体ない。早速、妻と娘をおこして、朝の上海崇明島の市場へ野菜の買い出しに行きました。夏に向かって、日の出もはやくなり、5時頃でももう十分に明るく、いつも島に行くときに使う楊高中路も金海路もS20(外環状)も、さらにG40高速道路もガラガラ。今年の連休も、高速道路は無料なので、長江大橋やトンネルを利用するお得感が違いますね。


 上海の市場と言えば、少し前はH7N9型鳥インフルエンザが心配でしたが、今は活きた家禽類の販売は一切禁止されているので基本的に大丈夫です。

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 市場に着いたのは、朝の6時過ぎ。今回は、陳家鎮の中心にある大きな市場にやってきました。実は、田舎の市場では6時過ぎでも遅いぐらいで、地元の人が沢山買いに来ていて、すでに駐車場はいっぱい。

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 アジアのこの市場の熱気は私は好きです。そして、なにか掘り出し物が見つかるのではないかというワクワク感もあります。

 陳家鎮の市場の特徴は、なんといっても魚介類が豊富。これはとても上海市内の市場と比較できません。このあたりで珍しい魚と言えば、海のスズキやフグが手に入ること。崇明島では、フグの養殖が徐々に発展してきているとか。崇明島の友達が、地元で養殖をしているので、中国の養殖の裏話をよく耳にします。

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 珍しい魚では、アンコウを見つけましたが、上海人の妻も上海料理での料理方法を知りませんでした。どうやって食べるのだろう?

 今は、刀魚のシーズンで、上海では贈答によく使われます。この日も、ずらっと並んでいて、1匹70元。安くなったとはいえ、結構な高級魚になります。しかし、食べにくいんですよね。詳しくはこちらをご覧ください。

 魚以外でも、この市場では野菜類も充実。鮮度が街の中心で買うのと全然違うんです。農薬問題を回避するには、まずはその季節の野菜で、かつ新鮮なもので、農家自身が売っているものを買うことが大切です。とはいえ、農薬はしっかりと水洗いしたらいいわけですし、やはり鮮度を重視したいです。

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(中のあんこは大根というお餅)

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(おなじみの大餅)

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 ここの市場では、野菜の苗も売っていました。私もプチトマトの苗を数本ゲット。1本1元(15円程度)ですから、お手軽ですね。茄子やピーマン、西瓜などの苗もありました。浦東の孫橋に行くより安いと思います。

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 帰りは、娘に東灘国際会議中心(ホテル)に飼育されている豚と山羊を見せてあげ、私が崇明島で大好きなあるスポットへいって休憩。ここにクルマを泊めると、もう昼寝をするしかありません。(^_^)

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 ちょうど、麦の穂が垂れかけていて、ホーホケキョの声を聞きながら、ボーとするのもいいと思います。娘は用水路にいる魚を追いかけていました。

 自然の少ない上海ですが、まだまだ楽しみ方はいろいろあります。ちょうど我々が帰るころ、市の中心部からどっと観光客が島にやってきていました。家に着いたのは10時過ぎ。朝早く家を出たので、なんか得した気分でした。

 また来ますね。



posted by 藤田 康介 at 15:02| Comment(0) | ここは上海なり