上海から200キロちょっとで行ける山といえば、浙江省徳清市にある莫干山が有名です。上海浦東からだと、高速道路で2時間半ほどの道のり。山のない上海市民にとっては、格好の保養地でもあり、避暑地でもあります。

つい先日は、浙江省の安吉へ行きましたが、安吉と莫干山は山一つ隔ていてて、25キロほどの距離になります。同じく、天目山系に近いエリアということになります。ここの特徴は、かなりセンスのいいコテージが多く、山村におおい一泊150元ぐらいの農家楽とはまったく趣のことなるものになっています。
たとえば、莫干山のなかでも、高級コテージ(リゾート)として有名で、人気が高く、予約も大変というのが、
裸心(naked)です。最低でも1泊1500元ぐらいの値段がします。残念ながら、2ヶ月ぐらいまえから予約しようとしましたが、予約のスケジュールがうまく合わなかったので、今回はパスしました。

そこで、私が今回、莫干山で宿泊したのが
西坡(HillSIDE VILLAGE)でした。山の奥にあり、カーナビで到達するのが難しいのですが、劳岭隧道(トンネル)ならカーナビでも見つけられるので、そこに設定するのがいいと思います。このトンネルがまた結構野生味のあるトンネルで、ごつごつの岩を切り出したもので、まるで天然の洞窟。当然、中でのすれ違いが難しいので、反対側から対向車がないときに進入するのが無難です。
こんな山奥に本当に、1泊600元や1500元も出せるような宿泊施設があるのかとても半信半疑だったのですが、到着したら納得しました。5★クラスのホテルに引けを取らないコテージに仕上がっていました。


西坡に到着して感心したのが、建物が農家をリフォームしたというもの。農家そのものに滞在する農家楽(民宿)は数々体験してきたけど、リフォームしたものに滞在するのは初めてです。しかも、おそらくデザイナーが入っていると思われ、台所から居間、トイレやバスにいたるまで、モダンな作りになっていました。

さらに、面白いと思ったのは、西坡のコテージはそれぞれが完全に独立していて、食事も台所も、そのコテージのものが使われ、地元の人たちがやってきて調理します。総合管理棟や大食堂などがないので、非常に親近感を感じます。

だいたい、中国の田舎の山の中といえば、トイレやシャワー、さらにはトイレットペーパーまでも困ることがあるのですが、ここではそんな心配は一切なし。都会人の生活様式をここまで考えたコテージにはビックリしました。しかも、農村ではなかなか見かけないバスタブまでもあるではないですか!
部屋に入るや否や、準備されていたのがウエルカムドリンクならぬ、ウエルカムフルーツ。地元の梨がとっても美味しかったです。

食事は、地元の食材をつかったもの。魚と豚肉と野菜2品の組み合わせ。こういうシンプルな料理がいいですよね。山から吹く外のそよ風が気持ちよかったので、テラスで食事をいただくことにしました。
このあたり、この西坡以外にも結構いろいろなコテージや民宿がありました。ただ、どこも家族やグループで貸しきりになっていて、満室状態。人気の高さをうかがい知ることができます。


外に停めてあるクルマのナンバーは、8割方が上海ナンバーなので、上海から来ている人が多いみたいです。
夜の散歩から帰ってくると、リビングでくつろぐ。冬には、暖炉に火が入るという本格派でした。すきな音楽を楽しみながら、ソフアーで語らうこともできます。ここでも一工夫が。実はリビングにはテレビがないのです。テレビは、べつに畳部屋というのがあって、そこで見るようになっています。ちなみに、客室にもテレビがありません。テレビなんかなくても、十分に楽しめる山村の生活を体験して欲しいという意図を感じてしまいました。


そして、部屋に戻ると、枕元にプレゼントが置いてありました。完全無添加の手作り点心が、点心師のサイン入りで出てくるというこだわり。あまりにも美味しかったので、お土産にと思ったのですが、まだ大量生産できないのだそうです。

夜になると、あたりは虫の鳴き声がこだまします。安吉でもそうでしたが、網戸がなくても蚊が入ってこないので、窓を全開にして寝ました。エアコンがなくても、ぜんぜん平気な温度でした。

朝はニワトリの鳴き声でお目覚め。近くのダムまでランニングしてきました。途中、にわか雨に遭いましたが、記録的な雨不足の浙江省北部にとっては恵みの雨ですね。
そして、いよいよ朝食をいただく。これも興味深くて、中国式と西洋式の混合タイプ。まさか、こんな山の中で牛乳やベーコンエッグが出てくるとは思いませんでした。

とにかく意外続きの山中泊。一旦、このスタイルが普及し出すと、一気に農村での旅が変わるのではないでしょうか。そんな感じがしました。
中国の田舎旅も見えないところで確実に変わってきています。新しい発見が一杯の今回の莫干山のドライブ旅でした。
8月〜9月の日本出張予定
posted by 藤田 康介 at 23:37|
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