2013年11月12日

上海で大気汚染とつきあう暮らし方

 今朝の上海はちょっと冷え込んできますが、大気の状況は良好です。PM2.5も20㎍/㎥あたりを推移しています。ここしばらくは冷たい風も強いため、良好のようです。

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 9月1日から上海市では大気汚染予報が本格的に稼働し、またスマホのアプリも増え、去年と比較すると格段に大気汚染の状況を把握出来るようになりました。日本人学校など学校施設でも大気汚染に対する対応が出来るようになっており、去年の今頃と比べると大きな変化だと思います。

 大陸的な気候で、かつ山が殆ど無い上海では、気流の流れを遮る物がなく、一旦汚染が始まると拡散するまでに少し時間が必要です。窓をしめて空気清浄機を稼働させたり、外出を控える、マスクをつけるなどの対策をします。ちょうど、光化学スモッグを体験した世代ならよく分かると思います。私自身は基本的に日本の基準である24時間あたりのPM2.5値の平均値70㎍/㎥を目安にしています。

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(晴れていたけど、大気汚染が最悪だった日。悪いことが直感的に分かりますよね。)

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(マスク着用)

 さて、前回で大気汚染が急速に悪化した1のが1月7日夜。びっくりしたのは、浦東空港のある川沙エリアでは、1時間あたりのPM2.5が433.4㎍/㎥となり、ここしばらく上海では経験したことのない数字が出ていました。そして11月8日朝9時には上海市も「空気重度汚染応急方案」が出されました。大気汚染が急速に悪化するときにでる警報で、スマホにも通知がきました。

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(記録です)

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(警報がスマホにとんできましたが、もう少し早く出すべきだったのではと思います)

 ただ、その後は午後になって急速に大気汚染は改善し、実質数字的にマスクが必要な濃度となったのは結果的に2日間ぐらいでした。風向きの如何によって、あっという間に汚染がやってきて、汚染が去ってしまうのが大気汚染の特徴です。この特徴をしっかりと知っておく必要があります。ただ汚染にかかわらず、大陸的な気候の特徴から、日頃からマスクをして喉を守ることは大切です。これは、我々の先輩達も実践されていました。

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 日々、中医クリニックで診察していると、AQIの数値を異常に気にしている方を見かけますが、実際には1時間単位の大気汚染の変化に注意して欲しいです。これはグラフにもなって出ていますので、よく分かります。AQIは過去24時間の平均値で算出するため、いま現在の数字ではなく、実際とは合致しません。また、上海市環境監測中心のサイトですっかり有名になった子供の顔も、実はAQIをもとに変化しますので注意が必要です。AQIの数字が良くても、いまその瞬間の大気汚染の状況が悪いことがあるのです。一歩踏み込んで1時間あたりの大気汚染の状況変化に注目してください。

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(PM10値の1時間あたりの変化)

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(この日、華東エリアの大気汚染の状況がよくなかったことがよく分かります)

 さらに、いまでは中国全体の大気汚染の状況も地図で確認できます。それによって、数日後に上海にどの程度の大気汚染が来そうかという予想もある程度できるようになりました。上海に長く暮らしている我々からすると、こうした情報が簡単に手に入るようになったことはとても大きな進歩になっています。あとは、その数字をどのように分析するかが大切です。

 確かに、大気汚染に関しては今の中国は決して良い状態ではないです。ただ、健康を害する要素は大気汚染以外にもたくさんあります。例えば、いくら食材に注意していても、生活が不規則だったり、食生活が乱れていたり、ストレスが多い生活をしていたら帳消しされてしまいます。日本に居るとき以上に、そうした不健康要素に対して十分に対応し、例えば喫煙している人は禁煙に励む、運動不足だったら少しでも運動するように努力するとか、そういった変化が中国生活で必要だと私は思います。逆に、上海では春先に厄介な花粉症などもないわけですし、春先は暮らしやすいのも事実です。

 環境が良くないと思うからこそ、日本に居るときよりもさらに元気になって帰任していただきたいし、私のように長期滞在している場合も、よりいっそう健康的な生活がおくれるように努力すべきだと考えます。

 いまや環境汚染の問題は、東アジアや東南アジアだけでなく、地球規模のテーマになっていますからね。


posted by 藤田 康介 at 08:14| Comment(0) | 上海の大気汚染状況