2013年12月29日

2013年はNHKから仕事納め

 クリスマス後の大変な大気汚染を乗り越え、昨日あたりから上海では青空が見えています。

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 しかし、それも続かず、29日朝の上海の大気汚染はPM2.5が155㎍/㎥、PM10が201㎍/㎥。朝からスモッグが発生しています。 

 12月29日の日曜診察で2013年の私の診察は終了です。
 今年の最後の仕事は、ほんの数分ですがNHKの番組に出ることになりました。この番組に出るのはもう3回目で慣れてはいるのですが、たった数分といえどもディレクターと色々な打ち合わせがあったりして結構大変で、しかも診察時間の関係で自宅に戻る時間がなく、診察室からの中継ということになりました。ネット回線が悪いのでちょっと心配ですが、万が一声だけになったらごめんなさい。

 そして、夜は自分の甘霖の事務所にいって雑用を片付ける予定です。おかげさまで、妻と立ち上げた甘霖もやっと今年に入って軌道にのってきました。甘霖は千客万来の事務所で、今年はここで沢山の出会いがありました。また、いろいろな内輪のイベントもここで行いました。

 また、今年はやっと自分自身のサイト『細水長流』もリニューアルしました。ちょっとは見栄えのよいページになったと思います。


 12月30日〜1月4日まで家族で日本に戻り、1月4日土曜日の夜診察からスタートします。12月の嬉野温泉に続き、今回は奈良の実家で肺を洗いに行ってきます。


 考えてみれば、私の2013年は、中国永久居住証の取得から始まりました。そのあと、このカードで上海市の公的医療保険加入や年金の加入も無事済ませ、これで上海での基盤作りはほぼ完了しました。結局、20年近くかかりましたが。。。
 中国国外へ移民する中国人が多い中で、あえて世界で5000人しかいない永久居住証を取得するのは外から見ると変かもしれませんが、ここに滞在している限りは挑戦してみる価値はあると思います。何よりも就労ビザが必要なくなりますし。あと、この御時世で、将来中国から日本人として無事年金がもらえるようになるか。まあ、ものは試しですね。

 ただ、一方で大気汚染の問題が深刻化しました。いまや大気汚染は中国大陸だけでなく、アジア各国に影響を及ぼす時代です。12月28日は香港でもPM2.5が大きく上昇していました。2014年は如何にして自分たちの生きる環境を守っていくか、一町医者として身近なとこでいろいろ取り組んでいきたいと思っています。これは汚染のある場所でしかできない経験でもあります。

 この場に及んで、靖国問題がまたいろいろ出て来ましたが、上海にそこそこ根付いてしまった私にとってはそう関係はありません。淡々と日常生活をおくるだけです。もともと職場には、日本人は私一人しか居ませんし、それの方が気が楽なのかも知れません。


 
posted by 藤田 康介 at 08:31| Comment(0) | ここは上海なり

2013年12月25日

今年はまさに「灰色のクリスマス」

1996年以降、クリスマスは毎年上海にいるわけですが、年によっては大雪に。ただ、今年はどうやらスモッグですね。今朝のPM2.5は100㎍/㎥越えでした。娘が、スモッグでサンタクロースが来られなかったらどうしよう、と心配していましたが。。。

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 ただ、今年は政府の清粛政策もあってか、クリスマスツリーも控えめな印象です。豪華景品の出るホテルのクリスマスディナーも影を潜めています。今日日、公務員に対して接待するものなら犯罪になってしまう御時世ですからね。まわりも結構ピリピリしている感触です。

 さて、今朝も中国の大気汚染について。

 江蘇省〜山東省エリアといえば、最近特に大気汚染の状況がよくないわけですが、その原因をみてみるとこういう報道も。例えば、大気汚染の悪化で幼稚園から高校までが停止したこともある南京では、年間の石炭の消費量はなんと北京の2倍の4400万トンだとか。市民一人あたりでは年間5トンの石炭を消費していることになります。

 南京は、中国でも有数の重工業地帯であり、鉄鋼・電力・建材・化学など化石燃料を消耗する大企業が20社あまり集中しており、さらにそれよりも多くの中小企業もあり、ひとつひとつが国の環境基準をクリアしても、燃料となる石炭の消費量は莫大なものになり、結果として大気汚染につながるわけです。さらに、南京市内だけでも3000箇所以上の大型工事現場もあり、建設ラッシュにもなっています。これでは埃がなかなか旨くコントロールできない。

 ゴミの焼却ひとつにしても大きな問題です。これは武漢でのニュースですが、ゴミ発電施設を5箇所設置したものの、毎日600トンの飛灰が発生し、それが国の基準で処理されず、年間20万トンの有害な飛灰が放出されていたとのこと。この有害性は、ヒ素の900倍ととんでもないもので、近隣の住宅地に悪臭を放ち、住民に癌患者もでているとのことです。ただ、ゴミの焼却は未だ埋め立て中心の中国の都市にとって避けては通れない問題なので、これからどうするのか注意深く見ていかないといけません。

 こういった問題以外にも、クルマの排気ガスの問題はもっと大きいと思います。中国に走っている2.5億台のクルマは燃料の質が悪いために、環境に影響を与えているという報道も出ています。上海では、今年の秋から国X基準になり、汚染物質が国W基準よりも10%削減できるそうですが、それでも中国全土が国X基準になるには、2018年1月1日まで待たなくてはいけません。それ以上に、排気量の少ないクルマを普及させるべきですが、中国人のお好みは欧米の高級大型車。しかもSUVです。古いディーゼルトラックの問題も深刻です。

 ちなみに、11月の三大経済エリアの大気汚染のデータが発表されていますが、北京の平均PM2.5は74㎍/㎥、広州は54㎍/㎥であったのに上海は81㎍/㎥で明らかに基準値越えでした。特に、11月は農家の焼き畑の影響も大きかったみたいです。

 いまの中国の大気汚染は、中国全土に関わる深刻な問題です。沿岸地区で辛うじて大気汚染がましなのは福州から南のエリアぐらいで、後はほぼ完全に汚染の中にあります。ラサでもスモッグが出るような時代になりました。また、大気と水は繋がっています。今度はその水がどうなるのかも注目しなくてはいけません。

 確実なのは、私達が考えている以上に、現代人の経済活動が自然に大きな負担を与えており、もう自然自体がギブアップの状態になってきているということではないでしょうか。

posted by 藤田 康介 at 10:43| Comment(0) | 上海の大気汚染状況

2013年12月20日

上海市で最も空気の綺麗なところ

 ここしばらく大気汚染は落ち着いていたのですが、今朝起きてまたびっくり。19日夜半ぐらいからPM2.5が上昇しはじめ、このブログを書いている午前5時過ぎには200㎍/㎥前後を徘徊しております。なかなか良い状態が続きませんね。クリスマス前後も大気汚染に要注意みたいな予報です。

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 娘は、スモッグでサンタクロースが無事に上海に来られるかどうか心配しております。それぐらい、上海の大気汚染の状況は大きく変動します。

 さて、上海市内で最も大気汚染がマシなエリアはどこか?

 大体想像がつくかと思いますが、やはり長江河口に浮かぶ崇明島エリアです。これまでは、街の中心部と比較する意味で市郊外青浦区の淀山湖が空気環境の良い場所として選ばれていましたが、いまでは逆に汚染のよくない場所に入ってしまっています。

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 上海市の環境部門によると、近年3年間の崇明島のPM2.5平均値は35㎍/㎥で、上海市内ではもっとも空気が綺麗なところということになっています。(ただ、これでも日本の環境基準である1年平均15㎍/㎥かつ1日平均35㎍/㎥以下をクリアできていません。)

 崇明島のなかでも西側は高めで、やはり東灘エリアまで行かないといけません。東灘には巨大な東灘湿地公園(入場料:平日50元)があり、さらに国の鳥保護地区もあります。上海市も整備に力をいれていて、今後路線バスに電気バスを導入するなど島の生態管理に力を入れるみたいです。

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 東灘のような湿地帯では、水蒸気が発生しやすく、そこにスモッグが吸収され、また植物の葉っぱなどにも吸着されるようです。最近、大気汚染の悪化により上海では観葉植物に人気が集まっていて、生産が追いつかないという話しも浦東孫橋の植木市場で聞きました。

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 崇明島までは上海浦東からはクルマで1時間程度。我が家では新鮮な野菜を買いに時々出かけます。上海科技館から路線バスも運転されていますが、野菜を買いに行くときは朝7時までに市場に着かないといい農作物はありません。

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 そもそも崇明島といえば、湿地帯以外でも野鳥観察で有名です。私の中医クリニックの患者さんでも、定期的に観察に行かれている方もちらほらおられるぐらいです。

 崇明島が野鳥保護区に指定されたのが1998年11月。2005年7月には国の自然保護区に指定され、2006年には中国全国51箇所しかない国の自然保護示範地区にも指定されています。湿地帯には400種類の鳥類と250種類の魚類が生息していて、290種類の珍しい鳥類も確認されています。

 平日の崇明島は人も殆どおらず、とても静かな様相です。皆さんもぜひ訪れてみてください。
 

posted by 藤田 康介 at 07:24| Comment(0) | 上海の大気汚染状況