
中国では将来、中国が開発したTD-LTEと、現在日本でも使われているFDD-LTEの2つの方式で4Gを導入することを決めています。3Gでも中国方式のTD-SCDMAと世界方式のWCDMAがありましたが、iPhoneやiPadではTD-SCDMAが採用されなかったので、私も移動の電話番号を残しつつ、聯通に乗り換えました。そして、2014年に入っていよいよ本格的に中国移動の4Gが動き出してきたので、さっそくUSIMカードを手に入れてきました。
カードの交換そのものは無料です。身分証明(パスポート)を持参して、交換してもらえばいいだけです。ちなみに銀行で使えた永久居留証は移動ではダメでした。端末がサポートしていないらしい。もちろんiPhoneに使われるナノSIMカードもあります。聯通に続き、ここでもVIP待遇してもらえ、窓口に並ぶ必要もありませんでした。(それだけ電話代を使っていると言うことか。。。。)ただ、まわりをみていると4GにUSIMカードを交換に来ている人がとても多かったです。かなりの認知度ですね。
しかし、厄介な問題がありました。それはiPhoneのタイプの問題です。中国で出回っているすべてのiPhoneでTD-LTEが使えないと言うことです。今回、全世界同時にiPhone5Sが発売され、私も運良くその時期に手に入れたのですが、(詳しくはこちら)、この段階ではiPhone5SのTD-LTE採用が未定の状態でした。
私のようにかなり早期にiPhone5Sを、しかも大陸のAppleストアで買っていた場合は泣き寝入りですね。結局、香港で密輸版を買った人がラッキーという結果になりました。値段的にも密輸版のほうが安かったりしますから。
iPhone5Sが出た当時の大陸モデルはA1528型でした。これは私が当初買ったモデル。周波数もUMTS (WCDMA)/HSPA+/DC-HSDPA (850、900、1900、2100 MHz) GSM/EDGE (850、900、1800、1900 MHz)しかなく、LTEを全くサポートしていないバージョンだったんですよね。もちろんSIMフリーでしたが。

(後ろに型式番号が書かれています)
しかし、香港バージョンはA1530型で、周波数はUMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz)、GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、FDD-LTE(バンド1、2、3、5、7、8、20)、TD-LTE(バンド38、39、40)と、実はTD-LTEの周波数を含んでいました。やられた・・・・。
ということで、なぜか家にあるゴールドのiPhone5S香港版A1530型のiPhone5Sでやってみると。。。
「繋がらない!」
一瞬焦りましたが、ここで注意しないといけないのは、キャリアのバージョン。「中国移動 15.7」にアップデートしなくてはいけません。設定→一般→情報から探し出せます。本来はこれで繋がるはずですが、しかし繋がらない。
ということで、再び中国移動に行くと、どうやらUSIMカードの不良と言うことに。カードをまた交換してもらって無事に完了しました。こういうカード不良というケースもあるみたいです。(^_^)

中国移動でもiPhone5Sが使えるようになったので、現在大陸のAppleストアで売られている主流タイプはA1528型ではなく、A1530型で香港と同じバージョンになっています。もちろん、移動のLTEも使えるし、聯通のWCDMAも使えます。
ところが、このA1530型は、日本では周波数の関係でLTEが使えない。中国のUSIMカードで日本でデータローミングすることはまずありえませんが、USIMカードを入れ替えると使えたりしてとか期待したけど、どうやらダメらしい。ということで、春節に日本に帰るので、今度は日本のUSIMカードでいろいろ実験してみます。
今後の4Gの方針ですが、中国移動ではTD-LTE一本でいき、聯通はTD-LTE:FDD-LTEが2:8の割合、電信は3:7の割合だそうです。結局、最終的には全世界で先に普及したFDD-LTEのほうが有利ということなのでしょうか。それまでは規制を設けてなんとか中国基準のTD-LTEを普及させたいという中国の目論見が見え見えですね。なんせ、中国基準のTDーSCDMAでは失敗しましたから。ただ、理論値で見る限り、速度は下りのTD-LTEが100Mbpsに対して、FDD-LTEが150Mbpsで有利らしい。そういえば、3Gでも、TD-SCDMAは下りで2.8Mbps、WCDMAが14.4Mbpsで有利らしい。ただ、大勢の人が接続する場合、TD-LTEの方が有利だそうで、中国電信は都市部でTD-LTEを使い、その他のエリアではFDD-LTEを使うなど使い分けるのだそうです。ちなみに、中国移動は中国全国で3年かけてTD-LTEの基地を100万箇所設置する計画です。
ちなみに、iPadですが、現在のところ香港版のiPad Air、iPad mini RetinaともにTD-LTEはサポートしていません。実は、私はこっちの方を期待していたのですが。
さすがのAppleも、中国の4G問題では振り回されているような感じですね。さすがに中国大陸では何億人というユーザーを抱えているわけですから、数でビジネスをやっているようなものです。
スマホの登場で、以前は本当に大変だった日本語と中国語の混在問題は見事に解決しました。しかし、周波数の問題は解決できていない。利権が絡む業界の話ですから。利用者側からすると、1台の携帯で安い通話料・データ通信料金で全世界で使えるというのが夢ですね。
