我が家は、妻方のお墓が上海市内にあるのですが、工業地区の開発で「立ち退き」となり、いまは川辺の静かな場所で小さなタイルほどのプレートが掲げられていて、そこにお墓参りにいくことになります。とっても小さいのでお墓の草抜きはする必要はありませんが、金ぴかの紙を燃やしたり、お花を供えたりします。そして、ヨモギモチ(中国語で青団)を食べるのもこの時期の習慣です。

ところで、上海市民政局では、今年も船を出して海葬する市民のサポートをすることになりました。ただ、船の数のわりには希望者が多くて一年待ちの状態で、今年は船を増発することで半年待ちにするとのことです。そして、清明節が近くなる毎年3月の最後の土曜日を海葬記念日とし、上海南部の墓地でもある濱海古園で遺族達が集まって祭礼をおこなう仕組みになっています。また、海葬をする市民に対しては、船の運賃を補充するだけでなく、1000元の補助も出されます。ここまで補助を出すのも、そもそも上海市では墓地の不足だけでなく、土地そのものが不足しているので、墓地を厳しく制限しています。
その結果、上海市民政局のデータによると2013年までに2.77万人分の遺灰を海葬し、土地にして1万2千平米の土地を節約できたとしています。市政府は目標として死亡人口の2%は海葬にしたいと計画していて、伝統的なお墓:土地を節約したお墓(室内葬など):海葬の比率を70:28:2程度にするのだそうです。妻方のお墓は「土地を節約したお墓」に相当します。
たしかに、中国で田舎に旅行に行くと、山のてっぺんなど見晴らしの良いところに大きなお墓を見かけますが、都市住民では無理な話です。
日本でも近年、お墓参りにだれも行かないお墓が増えたり、管理費が払えないお墓が増えていると聞きます。海に帰るという観点からも、海葬はある意味合理的なのかもしれません。
