2014年03月15日

中国で続く裁判官の人材流出

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 近年、中国でも法律が整備され、市民意識の変化もあり、裁判所が大忙しの状態であることは想像に難くないですが、肝腎の裁判官が不足していて、さらに人材の流出が続いていることが大きな問題になっています。この上海でも例外ではありません。『青年報』が報道していました。

 「両会」で、上海市高級人民法院の院長が自身経験を踏まえ、かつて貴州省の法院(裁判所)や検察院では、人材流失で開廷できないこともあったようです。上海だけでも、年平均67人の裁判官が辞職し、2013年に至っては74人が去って行ったそうです。年齢層は40〜50歳が中心で、一番油がのっている世代。辞めてからも政府機関に残って仕事をする場合もあれば、民間企業に就職してしまうことも多いのだそうです。

 そうすると、大変なのが人材育成で、後に続く人たちが育たず、よりより裁判を行うのに決していい環境ではないことが分かります。

 その原因の一つに、20年間ほとんど変わっていない待遇にもあるとか。上海で家を買うのも難しい程度の待遇では、さすがに問題ありというわけです。

 ただ、こうした矛盾は医療の世界でも同じです。最近、病院で働く医師が患者から暴力をうけて死亡する事件が多発、私のまわりでも医師を職業として続けていく自信をなくして、製薬会社や中にはまったく違う分野で転職してしまう仲間も出ています。

 そもそも薄給で過酷な仕事の上に、生命のリスクや職業に対する尊重がなければ、とてもやっていける状態ではないからです。また、医療として毎日仕事をしていても、社会や病院、さらに制度の仕組みのなかで、理不尽なものを見せつけられているのもまた事実で、社会の矛盾に日々直面する裁判官にしてもそういう背景があるのではないかと思いますし、そうした無力感を現場から感じることがあります。

 私も妻も中医学の医師として働いていますが、こうして仲間が去って行くことは寂しい限りです。我が家の場合は、夫婦で職種が同じなので、日々何かと討論できるのがやはり恵まれていると思っています。

posted by 藤田 康介 at 08:26| Comment(0) | ここは上海なり

2014年03月13日

中国の重金属問題とバッテリー

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 大気汚染の問題を解決するために、一気に中国で普及した電動自転車や電動自動車。ところが、今度はこのバッテリーの処理の問題がなかなか進んでいないとのこと。水と土壌の汚染となるだけに、こちらも厄介な問題で、「両会」でこの対策を提案した代表もいたそうです。

 中国のデータでは、2013年に中国で走っている電動自転車の台数はなんと3505万台。さらに、4輪の低速電動自動車も15万台あるそうですが、電池の容量からすると、電動自転車150万台に相当するとか。最近では、その利便性から電動自転車の代わりに4輪の低速電動自転車が使われることも増えており、新たなマーケットになっています。ただ、問題はそのバッテリーの処理で、価格的にもリチウム電池の普及はまだまだで、その大部分は鉛蓄電池が使われているのが現状のようです。

 ところが、問題となっているのはバッテリーの回収状況。広州の『羊城晩報』の報道では、中国でも一応97%の鉛蓄電池は回収されているものの、鉛の回収率は30%に留まっているらしい。先進国では95%以上が回収されているそうで、中国での回収率の悪さが問題だと言われています。その結果、年間260万トンものの鉛が処理されることなく垂れ流されているというわけです。この垂れ流されている鉛の行方が気になります。

 確かに、政府の発表では、中国の農耕地で少なくとも10%が重金属によって汚染されていてその面積は1.5億畝にも及び、そのなかでも5000万畝は中程度以上の重金属汚染で耕作に適さない状態とのことです。(1畝は0.992アール)
 さらに、収穫された農作物の1300万トンは重金属に汚染されているだろうという報告もあります。

 大気汚染が収まっても、土壌や水が汚染されたらこれまた厄介な話。早急な対策が必要です。中国でも対策は後手後手になっている現状ですから。

 いずれにしろ、環境問題に力を入れるには、今の社会の発展状況からみると、間違いなく便利さを犠牲にしないといけませんし、それ相応のコストも払わないとダメなわけです。それを犠牲にした上での経済発展では人間の生存すら危ぶまれます。

 中国で生活すると、日本で当たり前の空気や水が如何に貴重なものか身を以て感じることができます。

posted by 藤田 康介 at 07:29| Comment(0) | 中国の食の安全について

2014年03月08日

虹橋で食べる上海浦東名物の「焼売」

 2013年に紹介した記事ですが、上海浦東新区の郊外には、有名な焼売があります。詳しいことは、上海浦東の名物、期間限定元祖「下沙焼売」をご覧ください。

 マスコミなどで取りあげられたこともあり、浦東名物として多少は有名になったみたいですが、その後浦西にもお店で売るという話を聞いていたのですが、どこにあるのか分かりませんでした。そんなとき、ちょうど用事があってたまたま見つけました。ちょうど、虹橋エリアの仙霞路にある遠東国際広場の隣ぐらいのところでお店を見つけました。

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 ここの焼売の特徴は、やはり豚肉ベースであること。上海の焼売の多くはモチ米を詰められていて、それでも確かに美味しいのですが、なにか物足りない感じ。でも下沙の焼売は、豚肉にこのシーズンにぴったりの筍を組み合わせるのが特徴です。期間限定なのも、この春の筍に拘っているからだそうです。

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 このお店では、蒸籠で焼売を蒸しています。もちろんその場で一個単位でも出来たてを買って食べてみてもいいですし、蒸す前の焼売を持って帰って蒸しても良いです。私は、自分のいい加減に蒸したいので、生状態で買って帰りました。焼売の皮の内側にたっぷりとたまった肉汁も魅力の一つ。熱々を、火傷しないように食べてみたいところです。

 上海といえば小籠包や生煎饅頭なんかが有名ですが、実は焼売も知る人ぞ知る名物点心なのでぜひ一度はご賞味ください。ポイントはやはり春の筍のシャキシャキ感でしょうね。

 巡りあえてなんか嬉しかったです。


 
posted by 藤田 康介 at 20:45| Comment(0) | 中国で食べる