2014年03月13日

中国の重金属問題とバッテリー

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 大気汚染の問題を解決するために、一気に中国で普及した電動自転車や電動自動車。ところが、今度はこのバッテリーの処理の問題がなかなか進んでいないとのこと。水と土壌の汚染となるだけに、こちらも厄介な問題で、「両会」でこの対策を提案した代表もいたそうです。

 中国のデータでは、2013年に中国で走っている電動自転車の台数はなんと3505万台。さらに、4輪の低速電動自動車も15万台あるそうですが、電池の容量からすると、電動自転車150万台に相当するとか。最近では、その利便性から電動自転車の代わりに4輪の低速電動自転車が使われることも増えており、新たなマーケットになっています。ただ、問題はそのバッテリーの処理で、価格的にもリチウム電池の普及はまだまだで、その大部分は鉛蓄電池が使われているのが現状のようです。

 ところが、問題となっているのはバッテリーの回収状況。広州の『羊城晩報』の報道では、中国でも一応97%の鉛蓄電池は回収されているものの、鉛の回収率は30%に留まっているらしい。先進国では95%以上が回収されているそうで、中国での回収率の悪さが問題だと言われています。その結果、年間260万トンものの鉛が処理されることなく垂れ流されているというわけです。この垂れ流されている鉛の行方が気になります。

 確かに、政府の発表では、中国の農耕地で少なくとも10%が重金属によって汚染されていてその面積は1.5億畝にも及び、そのなかでも5000万畝は中程度以上の重金属汚染で耕作に適さない状態とのことです。(1畝は0.992アール)
 さらに、収穫された農作物の1300万トンは重金属に汚染されているだろうという報告もあります。

 大気汚染が収まっても、土壌や水が汚染されたらこれまた厄介な話。早急な対策が必要です。中国でも対策は後手後手になっている現状ですから。

 いずれにしろ、環境問題に力を入れるには、今の社会の発展状況からみると、間違いなく便利さを犠牲にしないといけませんし、それ相応のコストも払わないとダメなわけです。それを犠牲にした上での経済発展では人間の生存すら危ぶまれます。

 中国で生活すると、日本で当たり前の空気や水が如何に貴重なものか身を以て感じることができます。

posted by 藤田 康介 at 07:29| Comment(0) | 中国の食の安全について