2014年03月28日

上海の水道水問題

 中国の環境当局が全国を調査した結果、2.8億人が安全でない水を飲んでいることが分かり、特に飲み水による健康リスクはアメリカの2.4倍にもなるということです。これは18歳以上の住民91527人を対象とした調査結果から統計処置した数字です。さらに大人を対象とした調査なので、次は子供を対象とした調査が行われるとのこと。結果が待たれます。

 では、上海市では水道水対策をどうしているか?近年いろいろな取り組みが行われているのは確かです。

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 我が家では、とりあえず浄水器で対策をしています。メーターのある根元にフィルターを取り付け、さらに洗濯機・お風呂・飲み水用・洗顔用と分けてタイプの違う装置をつけました。それを知ったうちの妻方(上海人)の親せきも同じように装置をつけましたから、やはり市民の関心は相当高い。ただ、効果はてきめんで、まずお風呂の水の色が日本のように薄青くなり、独特の滑りが明らかに減りました。この感動は今でもしっかりと覚えています。もともとは、我が家の水道水も黄色っぽい色をしていました。洗濯物の色も変わってしまいましたし。また、飲み水が美味しくなりました。最近は、外出するときも自宅で浄水した水を使っています。訳の分からないペットボトルより安心ですし。
 
 実は、水道水を飲めるようにするプロジェクトはかなり前から上海市でも行われています。記憶に新しいところでは、上海万博の会場に飲める蛇口があったことは有名です。そもそも、上海市の場合、浄水場から出ている水は直接飲めるレベルであるはずですが、残念ながら各家庭に届くまでに二次汚染が進んでしまい、煮沸しないと飲める状態にはなりません。

 その大きな原因となっているのが、マンションの水槽や水道管の老朽化問題です。上海市中心エリアだけでも2億uの建物で老朽化が進んでいて、しかも建設当初の基準が低かったために、水道水が濁ったり、鉄などの成分が基準値越えをしたりすることが分かっていました。そこで、これまで6000万uの建物を改修したようですが、まだ1.4億uが残されており、改修には2020年までかかるとのこと。とくに、老朽化した水道管の改修が重点的に行われるということです。腐蝕に強い水道管が使われるとのことです。

 さらに、上海では長江河口にある青草沙のダムに、水源保持のための植樹を行い、PM2.5除去で注目されている紅豆杉や水杉を植えるプロジェクトも進められています。大気汚染に関しては微々たるものかもしれませんが、大切な一歩だと思います。ダム湖に藻やプランクトンが大量発生しないように試験エリアに50万匹の魚を放流して水質の改善を図る実験をしています。また、黄浦江を水源とする水道水に関しても高度処理したものに切り替える作業が2013年中に完成するとのこと。

 少なくとも、上海市に関しては水道水の改善に努力が払われていることがわかりますし、20年前と比較しても確実によくなっています。その当時は、お風呂に水を入れただけでも濁っていましたから。今後、さらに良くなることと期待しますが、問題は農村エリアや中小の都市の水問題。多くが井戸や湧き水が使われており、これを改善するのには一筋縄ではいかないと思います。都市に人が集中するのにもそうした背景があるのです。

 中国の水道水に関してはこれまでもこのブログでたびたび書いています。こちらをご覧ください。

posted by 藤田 康介 at 07:21| Comment(0) | 上海生活情報