2014年04月08日

変わりつつある中国人の旅の仕方

 清明節連休が終わりました。中国では、今日から仕事という人も多いはず。墓参り渋滞で上海各地の高速道路は大変だったみたいですが、墓参りをよそに、旅に出て行った中国人も多かったのではないでしょうか。

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 私の妻もタイのチェンマイへ同級生達と一緒に出かけていました。私は中医クリニックの診察のため今回はパスしましたが、妻が私に話してくれた旅の感想をTwitterでつぶやいたところ、多くの方から反響がありました。

 結論としては、中国人の旅感覚が従来の団体様一辺倒から急速に変化しており、極めて我々日本人の30〜40代の旅感覚に近づいてきているということです。中国人の観光ツアーといえば、買い物メイン、観光地巡り中心の旅はこれからもツアーパッケージとしては商品化されつづけるかもしれないけど、今後は間違いなく主流ではなくなりつつあると思います。少なくとも、70年代生まれ以降の世代に関しては。

 まず、びっくりしたのはツアー料金の安いこと。2900元で4泊5日、航空機は深夜便ですが、上海浦東空港からチェンマイまでの直行便です。ホテルは古いですが5星クラスで朝食付き、また現地ではすべて自由行動で買い物ツアーもなし。現地に着くとあとは思い思いの個人旅を楽しんだようです。バスツアーでもないため、チェンマイの現地の人たちとの交流も楽しめたと言っていました。実は、この手のツアーは最近、中国の新聞広告でも増えていて私も興味深いと思っていました。

 一方で旅好きな私の義父は68歳ですが、旅に関する発想が根本的に違います。なんせ、文革の時代に上海から北京まで徒歩でいった世代です。観光地の文化や食には非常に興味があるものの、宿泊や交通には決してお金をかけたくないという人が多い。中国でも新幹線を使うぐらいだったら、鈍行で、ホテルに泊まるぐらいだったら農家楽で、時間もたっぷりあるのだから自転車で、という感じで旅に行かれます。その代わり、退職後の義父が旅に出る回数は半端ではなく、天気もよくなってきたので最近とくに回数が増しています。だから、6月に計画している日本旅行は、往復船で、しかも効率的に代表的な都市を回るツアー商品を考えているみたいです。確かに格安で、10日間で東京・横浜・名古屋・京都・大阪などを回って4000元という破格。この世代は時間があるので、とにかく安く効率的に回れることにお得感を感じるみたいです。逆に、我々が日本帰国時に楽しむようなノンビリ旅では不満みたい。

 ところで、こうした傾向は中国国内での旅行でもみられます。1泊2000〜3000元もするような南アフリカ人が経営している莫干山の「裸心谷」は週末はなかなか予約が取れないぐらいの人気宿です。いわゆる農家楽の発展・高級バージョンですが、滞在型でゆっくりと過ごすことで乗馬など自然を満喫しようという趣旨の宿泊施設です。莫干山といえば、我が家も去年に西坡(HillSIDE VILLAGEに宿泊しています。観光地まわりはほどほどにして、大きなホテルではなく、サービスの行き届いた民宿でゆっくりと家滞在するというコンセプトの宿泊施設は今後も増えてくるのではないかと思います。伝統的な農家楽にはそもそもそういう発想がありませんでした。

 ただ、上海近郊のこうしたコテージに1泊2000元〜3000元も払うぐらいだったら、あっさりと日本やタイに行ってしまった方がいいのにとも思いますが、そこは中国人の海外旅行がでなかなか難しいという現実と関係があります。ただ、日本に関しては気軽に行ける人も明らかに増えてきているので、旅行そのものの考え方も変わりつつあるように感じます。かれらは必要と思ったことには惜しげもなくお金を使うのも特徴です。最近、上海の税関でも密輸の取締が厳しいようで、「ついでに買い物」の需要も高まっています。カメラなど、4月からの消費税込みでも日本で買った方がまだ安いのです。(中国の消費税は17%ですから)

 こうした観点からも、中国人観光客の日本観光へのニーズは間違いなくありますし、政治的な問題に日本人ほど翻弄されることはないと思います。(日本人に関していうと、中国にくる観光客が激減したままですからね。)中国人は一般的に、政治と生活を切り離して考えることに慣れていると私は見ています。日常生活に関してもそういうスタンスで、自分たちはある意味特殊なクニの体系に属しているとまで考えています。だからこそ移民が多いのでしょうが、そうなると日本の観光地には、これからとてもコアな中国人観光客が増えるのではないかと思います。それも、観光地巡りに飽きてしまった、それでいてお金を有意義に使いたいと思う人たちです。

 奇しくも、私たちの回りにはそういう世代の上海人が沢山いるので、折に触れて彼らの旅に対する考え方を紹介してみたいと思います。

posted by 藤田 康介 at 16:03| Comment(0) | 中国旅行記