2014年05月07日

上海浦東の郷土料理のお店「三林本帮館」

 最近、私は上海料理のルーツを探るべく、地元上海人が納得できる料理を出す上海料理のお店を食べ歩いています。創作された料理も良いですが、それはまずオリジナルの上海料理を知ってから。そこには、健康に対しての伝統的な考え方も残っていますし、なによりも一番美味しい食べ方をするからです。最終的には中医学の養生・薬膳的な発想にも繋がります。

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 今回は、CCTVの「舌尖上的中国U」でも紹介され、人気沸騰している上海浦東の郷土料理を食べさせてくれる「三林本帮館」へお邪魔しました。

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 上海浦東新区といえば、高層ビルや整然と整備された街を想像するかもしれませんが、実は土着の上海文化が今での色濃く残っています。先日食べに行った、130年の歴史をもつ浦東徳興館の麺や、浦東下沙の焼売もそうですが、いろいろ特色があって楽しいものです。

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 浦東新区の三林は、外環状線だと長清路インターをおりてすぐのところにあります。ちょっとした「古鎮」の風情も残されています。そんな中に、「三林本帮館」がありました。浦東新区の無形文化財にも指定されている料理でもあります。

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 こうした郷土料理は、長い歴史があるのも特徴で、三林エリアでは元・明代から村での結婚式やイベントで各家庭が腕をふるって提供した料理が、今まで伝わってきています。どこか素朴で、だけどポイントを押さえた味があるのも、そうした伝統と関係があるのかもしれません。

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 テレビで紹介されたばかりとあって、店はすごい人。今や、電話での予約は受け付けておらず、実際に事前に赴いて予約しました。半月〜1ヶ月待ちの状態です。建物はいたって普通で、こぢんまりとした村の食堂といった感じでした。

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 ただ、やっぱりテレビでは紹介してほしくなかったというのが本音。郷土料理は一度にそう沢山調理できるわけでもないですし、私の楽しみの一つでもある店の主人との会話も楽しめない。もうこうなると、ベルトコンベア式にお客をさばくしかないからです。いわば、行列のできる店状態ですね。

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 ただ、それはそれで、料理はそこそこのものが出て来ました。点数的にはまず合格点かと思います。化学調味料指数もかなり低めだと思います。地元上海人が訪れる店ですから、さすがに料理は本格派だったです。今回のお薦めは油爆蝦かな。

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 上海料理は、四川料理などと比較しても、パンチが足りないような印象を持っている中国人も多いのですが、逆に、素材の味を活かすことのできる、上品な料理が多いのも特徴だと私は思っています。また、このお店のように、仕込みに時間をかけるような料理も多く、特に豚肉の活用方法はとても興味深いものです。

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 上海と一口にいっても、実はとっても広い。ぜひ各地に伝わる郷土料理を堪能してみたいところですね。

【データ】三林本帮館 浦東新区三林老街中林街65号
     電話:021-50771717
posted by 藤田 康介 at 07:25| Comment(0) | 中国で食べる