長野県の安曇野から、さらに山奥へ。途中、クルマの行き違いも大変なほどのグネグネみちを登っていくと、標高1674メートルの中房温泉に到着します。燕岳の登山道入り口に位置します。

はじめて中房温泉を訪れたのは2007年のこと。そのあと、学会などでも紹介させていただきました。
なんせ、温泉宿に29箇所も源泉があり、すべて源泉掛け流しというような温泉宿は日本が温泉天国であってもそうありません。温泉の起源は、なんと坂上田村麻呂の故事にまで遡るのですが、近代では1821年に生糸の生産に必要なミョウバンを採掘するために松本藩の名により百瀬茂八郎が湯小屋を建てたのがはじまりとのこと。実は百瀬家は大糸線の開業に尽力されるなど、地域への影響力は大きかったようです。現在の百瀬社長にも、私は温泉研究で大変お世話になっております。
中房温泉のすごいところは、湧き出るオリジナルの温泉に、いつでも入ることができるという点です。その殆どが90℃以上ということなので、温泉をどう冷ますかが大きな問題で、適温にするための工夫がいっぱいでした。

また、お風呂もこれまた源泉の種類によって多種多様で、十分に楽しむには最低2泊3日、できたら3泊はしたいところですね。
2007年に来たときは、すべてのお風呂にはいったのですが、今回はいくつかのお気に入りを楽しみました。ちょうど前日に6歳の幼稚園児の娘をつれて燕岳(2763メートル)を登頂し、足の疲れをじっくりと癒すには最高でした。
いくつかお薦めですが。。。。
(1)野性味たっぷりの露天風呂、いやサルが入ってきてもおかしくない場所にある白滝の湯。源泉が崖の上にあり、そこからお湯が流れてきます。ちょうど崖から下りてくることで、温度が下がるという仕組みですね。


(2)上高地などでもお馴染みのウェストン卿が宿泊した本館の隣にある文化財にもなっている御座の湯。夜はちょっと暗めですが、温泉の雰囲気が抜群です。


(3)そして、御座の湯の向かい側に位置し、混浴(時間帯によって女性専用)にもなる不老泉。お風呂の回りが脱衣場になっていて、ちょうど群馬県にある法師温泉のような伝統的な浴場になっています。

(4)貸しきり露天風呂滝の湯もとってもいいです。うちの妻のお気に入りでした。裏山からお湯が流れてきます。

(5)温泉プールは屋外ですが、ぜひ利用してみたいところ。2011年には国登録文化財にも指定されていて、温泉プール先駆けの施設でもあります。実は、大正時代のこのエリアにリゾート開発計画があったのだとか。

その他、歩いて10分ほどのところにある焼け山では、地熱浴ができます。御座も準備されていて、その上に寝転がります。上海の岩盤浴とは全く違う熱の伝わり方を感じることができました。いや、大地が生きているんだ!とその鼓動を感じているようです。

さらに、焼け山の下には男女に分かれた蒸し風呂もあり、ぜひ体験したいところです。
中房温泉では朝夕ともに地元の特徴いっぱいのお料理がでてきます。秋と言うことで、地元産の松茸もいただきました。これの香りが最高でした。残念ながら、いつもの中国産とはちょっと違いますね。もちろん値段も違いますし。


地熱を利用した地熱蒸しの若鶏も。これはちょっと遠慮して半匹のを注文しましたが、そこは中国風に一羽注文すべきだった。。。。せっかくの日本の地鶏だったのに。上海人の妻は大喜びでした。

(ねっこ風呂)
【データ】中房温泉
〒399-8306 長野県安曇野市穂高有明期7226
電話:0263-77-1488
HP:http://www.nakabusa.com/