
上海蟹は大量に食べるものではありません。ほんの少しを美味しくいただくのが最高だと私は思っています。
ところで、2014年産の上海蟹は、こちらでは豊作で、全体的にはカタもよく陽澄湖だけで2300トンもの収穫量が期待されています。しかし、今年は思ったほど収穫が伸びず、12年ぶりに価格が下落傾向にあると報道されています。大きい蟹であれば、以前だと飛ぶように売れたのに、今年は全然動かないそうのだです。
いろいろな分析がされていますが、毎年、お役人たちが接待で受けていた宴会が激減したのと、政府中央がすすめている腐敗撲滅キャンペーンの影響が大きいといわれています。地元の人たちによると、政府や国営企業が毎年大量に購入していた上海蟹が、今年はゼロに近いらしい。一部の私企業が福利のために多少買うことがあっても、こうした太っ腹なまとめ買いは売り上げ全体の1割にも満たなくなったと。

今まで、陽澄湖とか太湖とか産地のブランドを競って売っていた上海蟹の広告も、今年は殆ど見かけません。この時期になると上海市内で臨時直売所も見かけるのですが、これも殆どない。
上海蟹バブルの崩壊。
でも、私は決して悪いことではないと思います。今まで、値段がつりあがり、産地を偽装してでも売っていた上海蟹が、厳しい一般消費者の目にさらされるわけですから、市場の健全化のためには必要だと思います。
上海蟹は上海人の秋の風物詩。

美しい陽澄湖の日暮れを眺めながら、ゆっくりといただくのが流儀だと私は思います。
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