2015年01月10日

上海は大気汚染の季節に入りました

IMG_4600.jpg

 例年のことなのですが、この時期の上海は大気汚染がひどい季節です。今朝もPM2.5値が220㎍/㎥前後ととんでもない数字になっていて、「重度汚染」となっています。まったくもって面倒な季節で、呼吸器に疾患を持っていた場合以外でも、健康な人でも外出をさけるなど対策を講じる必要があります。

IMG_4603.jpg

 いったい上海市の大気汚染の原因はどこからきているのか?上海市環保局が2013〜14年のデータで分析していて、マスコミにも発表されました。

 それによると、上海市から発生しているPM2.5は全体の64〜84%、他地域からの流入が16〜36%という結果になっています。こうみると、上海そのものの原因と見えそうですが、季節にも影響をうけやすく、2013年12月に一度「厳重汚染」となっており、このときのPM2.5値は600㎍/㎥を超えています。この場合、他地域から上海への流入が50%を越えていたとみられており、結局、中国全土での対策を講じなければ難しいという状況でした。いずれにしろ、平均すると全体の74%は上海で発生したPM2.5だったという結果でした。

 上海市の場合、PM2.5の発生源は、自動車・飛行機・船舶・工作機械などの排気ガスが全体の29.2%、続いて工業生産に関するものが28.9%、発電所や暖房に関するものが13.5%、建築現場などのホコリが13.4%、その他、自然現象や農業や飲食業などによるものが15.0%という結果でした。

 上海市では、冬場の石炭暖房は北京などより少ないのですが、工業生産で石炭が使われることが多く、しかも業種が多種多様にわたっているため、かなり問題がややこしい。また、火力発電として使われる石炭が多いのも特徴なのだそうです。
 
 では気になるPM2.5の成分ですが、有機化合物、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩が中心で、全体の70%を占めています。硫酸塩や硝酸塩は化石燃料の燃焼により、有機化合物は自動車や飲食業、工業排気などから、アンモニウム塩は農業、牧畜、工業排気などからと、いずれも人間の生産活動を深く関係しています。このあたりの問題は、以前にも紹介しました。

 まあ、それでも上海の年間PM2.5値は改善されているそうで、2014年は年平均で52㎍/㎥。前年比16.1%の減少。ただ、日本の環境基本法で定められている、人の健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましい水準は年平均15㎍/㎥以下かつ1日平均が35㎍/㎥以下。まだまだ道は遠そうですね。(環境省・微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報

 さて、日本の九州大学の予報をみてみると、今回の大気汚染がおさまりそうなのは1月12日ぐらい、それでもまた16日ぐらいにはひどい大気汚染がきそうで予断を許しません。

IMG_4605.jpg

IMG_4604.jpg

 ここしばらくは、AQIとPM2.5値とのにらめっこの毎日です。

東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 09:12| Comment(0) | 上海の大気汚染状況