
中華料理のなかでも、とくに上海料理では欠かせないのが醤油とおいしい黒砂糖。黒砂糖は、先日雲南省の少数民族の農家から送ってもらいました。しかし、醤油でなかなかいいのが見つからない。
そんなとき、上海浦東の張江にある上海地元の老舗醤油屋が伝統的な技法で作った醤油を復活させたとき聞き、さっそく天猫のネット経由で購入してみました。(こちら)
伝統醤油を復活させた上海の醤油屋「銭万隆」は浦東張江にあり、私が上海中医薬大学の大学院で研究してた10年前は、まだ醤油工場がそこにありました。かなり大きな敷地で、1880年創業でざっと130年以上の歴史をもっています。
清代には「官醤園」として御用達醤油の指定を受け、最近では老舗企業におくられる「中華老字号」の称号のほかにも、その醤油製造技術は中国の国の無形文化財にも登録されています。このなにがスゴイかというと、中国国内で数ある醤油屋のなかでも、文化財に指定されているのはここだけというわけで、しかもそのメーカーが上海にあるということでしょう。
ただ、残念なのは当初はこの伝統的な製造方法が現在の製造方法に合わないということで2012年には当局によって1年間ほど製造中止になり、このことは上海でも大きなニュースになりました。
いまはこうしてリバイバルしていますが、なかなか上海市内でお目にかかることがなく、主に海外向けに製造されているようです。なんとも残念な話。でも、なんとか手に入るようになって良かったです。

さて、肝腎の味ですが、日本の濃口・薄口醤油とはちょっと違います。
食感はかなり濃厚で、とろっとした感じ。このタイプは日本ではあまり見かけません。かといって塩辛い感じはなく、冷や奴で使うといけそうです。鹿児島の醤油ほど甘くはありませんが、でもほのかな甘さを感じることができます。

上海料理の甘さは、この醤油とも関係があるのかもしれませんね。ちなみに、うちの妻は日本の醤油は濃い口・薄口に関わらず塩辛いと言っています。なによりも薄く感じるのだそうです。これは食文化の違いを大きく関係があると思います。

さっそく、上海の代表的な家庭料理「紅焼肉」で使ってみました。
これはかなり正解。肉の旨みを上手に引き出してくれる味でした。豚肉の味に厚みが出て来て、ご飯と一緒に食べたらたまりません。

この醤油でレバーや白切羊肉を食べたらきっと美味しいはず。上海では麺類も醤油ベースがありますからね。
上海料理で欠かせない醤油。日本で美味しい紅焼肉に出会えないのも、ものあたりと関係があるのかもしれません。
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