2016年03月13日

上海伝統の醤油「銭万隆」は実に濃厚だった

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  中華料理のなかでも、とくに上海料理では欠かせないのが醤油とおいしい黒砂糖。黒砂糖は、先日雲南省の少数民族の農家から送ってもらいました。しかし、醤油でなかなかいいのが見つからない。

 そんなとき、上海浦東の張江にある上海地元の老舗醤油屋が伝統的な技法で作った醤油を復活させたとき聞き、さっそく天猫のネット経由で購入してみました。(こちら

 伝統醤油を復活させた上海の醤油屋「銭万隆」は浦東張江にあり、私が上海中医薬大学の大学院で研究してた10年前は、まだ醤油工場がそこにありました。かなり大きな敷地で、1880年創業でざっと130年以上の歴史をもっています。

 清代には「官醤園」として御用達醤油の指定を受け、最近では老舗企業におくられる「中華老字号」の称号のほかにも、その醤油製造技術は中国の国の無形文化財にも登録されています。このなにがスゴイかというと、中国国内で数ある醤油屋のなかでも、文化財に指定されているのはここだけというわけで、しかもそのメーカーが上海にあるということでしょう。

 ただ、残念なのは当初はこの伝統的な製造方法が現在の製造方法に合わないということで2012年には当局によって1年間ほど製造中止になり、このことは上海でも大きなニュースになりました。

 いまはこうしてリバイバルしていますが、なかなか上海市内でお目にかかることがなく、主に海外向けに製造されているようです。なんとも残念な話。でも、なんとか手に入るようになって良かったです。

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 さて、肝腎の味ですが、日本の濃口・薄口醤油とはちょっと違います。

 食感はかなり濃厚で、とろっとした感じ。このタイプは日本ではあまり見かけません。かといって塩辛い感じはなく、冷や奴で使うといけそうです。鹿児島の醤油ほど甘くはありませんが、でもほのかな甘さを感じることができます。

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 上海料理の甘さは、この醤油とも関係があるのかもしれませんね。ちなみに、うちの妻は日本の醤油は濃い口・薄口に関わらず塩辛いと言っています。なによりも薄く感じるのだそうです。これは食文化の違いを大きく関係があると思います。

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 さっそく、上海の代表的な家庭料理「紅焼肉」で使ってみました。

 これはかなり正解。肉の旨みを上手に引き出してくれる味でした。豚肉の味に厚みが出て来て、ご飯と一緒に食べたらたまりません。

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 この醤油でレバーや白切羊肉を食べたらきっと美味しいはず。上海では麺類も醤油ベースがありますからね。

 上海料理で欠かせない醤油。日本で美味しい紅焼肉に出会えないのも、ものあたりと関係があるのかもしれません。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 中国で食べる

2016年03月12日

「富二代(資産家の子供)」と呼ばれる中国の若い富裕層の考え方

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  先日、結婚式以来久しぶりに上海外灘の和平飯店に行ってきました。場所は南京東路。上海きってのお上りさん集合エリアです。((^▽^)

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 当時、ホテルの改装がはじまるということで急きょ結婚を決心した私たち夫婦なのですが、リニューアル後に改めて訪れてみて、その変化にびっくり。ますます上海の名門ホテルの気品が際立ってきているように感じました。

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 その当時、上海でのオールドホテルでの結婚式は、私たちの夢でしたが、その理由はオールドホテルだからいくら上海でも建物が潰されることなく、いつまでも思い出が残るだろうという意味合いもありました。

 こうして今、再度訪れてみて、正解だったと思いました。

 今日は、この和平飯店の竜鳳廰で娘の通っているローカル小学校の同級生の中国人保護者と食事の約束をしました。父親は日本で学位を取得した留学経験があり、卒業後IT関係の会社を経営していて、母親は専業主婦ですが、中国でインターの高校を卒業してカナダへ留学して学位取得、帰国してきたというパターン。

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 彼ら夫婦は、ある意味今の上海を象徴している家庭だと思います。どちらも地元上海人ではなく、実家も実業家でかなりの富裕層で、上海と北京に数軒の一戸建てを持っているレベル。いまや上海の大型の一戸建てといえば10億円以上の値が付きますから、かなりの資産家ですね。俗に言う「富二代(資産家の子供)」と呼ばれる人たちです。

 そういう彼らの今の段階での答えは、中国人にとって海外経験が必要だけど、海外にいるだけが幸せではない。どこの国でもやっていける能力が必要だということで、あえて海外移民を選ばずに中国に戻ってきたそうです。もちろん、自然環境とかはカナダとかの方がよいかもしれないけど、社会の活力や治安を考えたら、中国の方が暮らしやすく感じるらしい。

 だから子供もうちの娘と同じローカルの小学校。母親が通っていたインターでは確かに国際的な教育環境で勉強できるかもしれないけど、中国語の習得が心配。さらに児童生徒がどうも偏った層しかいないというのも気になっていたらしい。

 彼らは桁違いの資産家なので、ものすごい生活をしているのか?と思いきや、意外と金銭感覚も普通。むしろ、話を聞く限りすごく倹約家です。中途半端な金持ち、いや逆に貧乏人ほど「爆買い」とかするのでしょうか。確かに、中国人が「爆買い」するようなものは、海外生活した人にとっては極めて当たり前のモノでしょうし珍しくもなんともない。

 基本的にお金があるので、子供の教育にはお金をかけるが、だからといって過酷な受験戦争までは必要ないと考えている富裕層は上海では少なくないです。資産があるから将来子供が食べていくことぐらいなら問題ない。むしろ教育環境を提供するためにはお金を惜しみなく使うようです。

 いずれにいろ、そもそもマイペースな人が多い中国。多種多様な価値観で、自分たちの考えるように人生設計ができる自由さは、ちょっと日本と違うなと思いました。また「富二代」の人たちになってくると、意外と価値観などで共有できることが多いようにも感じます。彼らのように、しっかりと教育をうけて、さらに海外生活経験も豊かな80年代、90年代生まれの人たちが中国社会の中心になってくると、この社会も確実に変わると思います。もちろん、政治も彼らの存在をますます無視できないでしょうね。中国人は主張する民族ですから。

 どの学校で勉強したか?ももちろん大事ですか、もっと広い目でみると、どういう環境で勉強したか?というのはさらに大事なんだなと思いました。そして、中国人の教育は中国国内に留まらず、全世界で学校を選ぶ傾向ですね。日本と中国で行ったり来たりしている我々なんかも、彼らからすれば全然珍しくないわけです。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 上海での育児・教育・子育て

2016年03月02日

長江に浮かぶ上海崇明島にも静かに春がやってきています

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 中医学でも伝統的に春と言えば、何かと精神的・肉体的に体が落ち着かない季節といいます。

 眠く感じたり、体が怠く感じたり、偏頭痛があったりと主訴がいろいろと多くなる季節でもあります。そんなとき、雑踏の上海の街中で暮らしていると、ふと静かな景色を眺めたいと思うことがあるかもしれません。上海にはそんな場所はないだろうと思われがちですが、広い大陸だけに、どっかにいけば発見することができます。その一つが、上海の東側に位置する大きな島、長江に浮かぶ細長い崇明島です。

 幸い、上海は四季の移ろいが西日本と非常によく似ているので、上海でも良い感じに春を感じることができます。

 そして、なにより杉・ヒノキの花粉症がないので、花粉症で苦しんでいる人にとっては、まさに天国のような春の陽気かも知れません。ただし柳など他の植物でアレルギー性鼻炎になる場合もあります。春は鼻炎症状以外にも湿疹や蕁麻疹も出やすいですが、そのため中医学でも伝統的に皮膚疾患やアレルギー疾患に対しての処方がいろいろあり試してみる価値はあります。

 ところで、私にとってのこの崇明島のお薦めは島の東側です。

 上海浦東のからなら外環状線の金海路ICから長江大橋で長江を渡れば1時間程度の道のりでちょっとしたドライブでは良い感じですね。

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 とにかく何もない景色が続きます。だけど何もない景色が、逆に山育ちの私にとっては新鮮であったりします。なんせ、場所によってははるか地平線まで見えるわけですから。

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 ここに来たときは、必ず妻を連れて2時間ほど、いつものコースをハイキングします。

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 ちょっとした湖もあったりして、気持ちが良いものです。崇明島は寒い時期は風が強いときは大変なのですが、このハイキングコースにはちゃんと防風林が両側についているので大丈夫です。

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 お腹が空いたときは、瀛東村と呼ばれる村にまで出掛けます。ここにちょっとしたレストランがあり、結構本格的な地元崇明島の料理を楽しむことが出来ます。私もよく利用しますが、味も上出来です。お薦めはやはり紅焼もしくは白切のヤギ肉でしょう。冬の寒いときは、写真のような紅焼ヤギ肉を食べると体がホカホカと温もってきます。上海エリアでは、冬に体を温める食材としては代表選手ですからね。違いは食べたら分かります。

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 ヤギ肉料理は沖縄にもありますが、臭みの取り方は上海料理のほうが上手だと思います。沖縄では艾を使っていましたが、ちょっと苦みがきつすぎました。こちらではニンニクの芽や生姜をうまく使っています。

 崇明島へは上海科技館からも直行路線バスが頻繁に出ています。
 上海で春を感じたければぜひお薦めです。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 上海観光