
日本に出張で戻ったとき、少しでも時間があったら寄っておきたいのが各地の温泉。上海暮らしからすると、スーパー銭湯はあっても、本物の温泉はなく、実際に温泉に行こうと思ったら1泊2日しないとまず無理で、天然温泉に行けたとしても本物?と疑いながらの入浴になるわけです。日本には本当に気軽に天然温泉に行けてしまいます。近畿地方・東海地方もまた然り。
ちょうど冬至の日に、母親をつれて三重県中部に位置する榊原温泉まで行ってきました。小学生時代は三重県で暮らしていたので、このエリアは結構お馴染みなのですが、最近は青山高原を越えることはまずなく、30年ぶりぐらいに津市にある榊原温泉を訪れてみました。今回訪れた日帰り温泉は、湯本榊原館にある「湯の庄」です。

榊原温泉の旅館館内と敷地内で湯量の豊富な源泉がそれぞれ1箇所ずつあり、泉質はアルカリ性単純泉。温度は30℃ぐらいと低めなのですが、肌への感触がものすごく良いです。そして入浴しているとほのかに硫黄の香りもしてきます。
ここのお風呂の入り方のポイントは、何と言っても低めの源泉風呂と加温されたお風呂を交互に入浴法だと思います。といっても全くの冷水ではなく、30℃ぐらいありますので、十分に浸かることができます。交互に入っているうちに、徐々に身体の芯から温もってくるのが感じられると思います。
別料金になりますが、展望露天風呂もあります。こちらは、榊原温泉の集落全体を見渡せるロケーションになっています。
風呂上がりに、近くを散歩してみるのも良いかもしれません。

この「湯の庄」から少々歩くと、射山神社があります。その近くには江戸時代に大規模な湯治場があったようで、なんと自然湧出していた温泉を浴槽に入れていたとか。何の病気を治療したか詳細な記録はありませんでしたが、少なくとも湯治として使われていたのは間違いなさそうです。そのため、京都などから公家など身分の高い人も湯治に訪れたため、かなりきっちりとした施設が作られていたようですね。


その他にも伊勢神宮にお参りする前に身を清めるために湯ごりの湯として使われたとか、清少納言の『枕草子』に七栗の湯として紹介されたとか、さすがに歴史が長いところだけに、いろいろなエピソードがあります。それだけに、湯治として伝統医学的がどのように活用されてきたのか興味が出てくるところです。

このように温泉はとても素晴らしいのですが、まわりはあまり温泉街といった感じはしません。温泉郷の集落を歩くと結構気持ちいいのですが、歩いているような人には殆ど出会いませんでした。いくつか規模の大きな旅館もすでに閉館してしまっており、少し寂しい感じです。

とはいえ、榊原温泉は今でも素晴らしい温泉が出ていますし、源泉にもそのまま加温無しで入れますので、非常に価値ある温泉で、これからもぜひ源泉を守っていって欲しいと思いました。源泉を神様のように大切にする日本の湯治文化はとても貴重です。
【データ】湯本榊原館
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