2015年10月02日

湖南省懐化市中方県の貧困農村と有機栽培への試み

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  9月27日〜29日まで湖南省懐化市中方県に出掛けていました、このエリアは中国でも有数の貧困地区としても有名で、目立った産業もなく、山間部に農村が続くエリアです。私も安徽省や江西省、浙江省の農村を幾度となく訪れていますが、これほど深い山にある農村に入り込んだのは久しぶりです。

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 上海からの高速鉄道は懐化まで来ていますが、そこからさらに車に乗り換えて凸凹道を走ること約3時間!やっとのことで今回の訪問の目的地の農村に到着しました。実は、我が家で使っている野菜や肉は時々ここから取り寄せているのですが、実際にどういう状態で栽培されているのか視察するための旅でもありました。

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 このエリアの平均年収が3万円程度。いかにこのエリアの人々の生活が大変かと想像しますが、とはいえ食べるのものが無いわけでは無く、農産物は豊富です。問題は現金を手に入れる術がなく、出稼ぎに出て行くしか仕方がないという状況なのがよく分かります。こういう山間部の農村は、中国の内陸部には無数にあり、何億人という人たちが暮らしています。

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 これだけ経済発展した中国が、いまだに発展途上国である由縁は、農村部を見れば十分ほどに分かります。沿海部の発展は、中国全体からすればほんの一部分の姿に過ぎないのです。このことに、中国在住の日本人ですら気がつかないことがあります。それほど中国は大きいのです。

 飲むことができる豊かな水と奥深い山々と美味しい空気。都会の人が羨ましがる環境ですが、それにはどうしても貧困がついてきます。そこで、なんとか有機栽培をすることで農作物の価値を高め、現金収入を増やそうという試みが、地元出身の有志と上海在住の外国人・中国人とはじまっています。私も協力しているのですが、野菜や米、卵、家禽類の出荷は行われています。一切農薬を使わない、化学肥料も使わないというのは、農民達の手間が大いにかかるわけですが、でもそれなりにうまくまわってきているようです。化学肥料漬けの農作物は、買って来てもすぐにへなへなになりますが、ここの野菜は違います。野山を走り回っているアヒルやニワトリの肉はしっかりとしまっていてとても美味しいものです。上海近郊の農地はすでに農薬や化学肥料で汚染されているところが多く、残念ながらさらに奥地にいかないと良い物が手に入らないというのが現実になりつつあります。

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 とくに、田んぼでは家鴨たちを旨く活用して雑草を食べさせたり、栽培する野菜の品種を考えたり工夫はされています。しかし、いろいろ農民達と話をして気がついたのは、彼らが上海など都会の人たちの食材に対する需要をよく掴めていないということでした。往々にして、地元の人たちが軽視しているモノが、都会では重要だったりするわけで、そういった話をしながらお互いの相互理解を深めないといけません。

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 いずれにしろ、彼らのものを買ってあげることで、都会の食の安全に対する不安を少しでも解消させることができますし、農民たちも現金収入を手に入れることができます。もっとなにか良い仕組みができないか、我々も試行錯誤しています。実は、インターネットの発達で、農民達も格安スマホをつかってWeChat(微信)を日常的にするようになっています。そこから都会の人たちも農民達と直接に繋がって、自分の欲しい農作物を手に入れるという形は、今後ますます普及するのではないでしょうか。

 中国がいかに広く、いかに多くの人たちが、さまざまな価値観をもって住んでいるのか、我々日本人はもっと知らなければならないと思います。訪日外国人が年間1000万人いる・いないとか言われている昨今ですが、隣国中国の人口は13億8000万人いるわけで、日本に来ることができる中国人はほんの一握りにすぎないのです。

 たとえば、ここ湖南省や四川省の農民達は非常に我慢強いことが有名ですが、裏返すと一旦火がつくと非常に厄介なわけで、反日的な考え方に関してもかなり敏感であるといえます。農村には十分な仕事がなく、兵役に出ることも貴重なチャンスです。兵役希望者の競争率が非常に高くなり、それこそコネが必要であるのは当然かも知れません。そういう彼らが兵役中にどのような訓練を受けているのかは、想像に難くないでしょう。今回も、日本人の私が来ると言うだけで、迎えに行くのはイヤだという農民もいたぐらいです。もちろん、私は多少のなまりが入った中国語も聞き取れるので、会話しているうちに徐々にうちとけて来ましたが、言葉などができなければはっきり言って難しい話しになるでしょう。とはいえ、朝食時間になると、うちの家に食べにおいでと声がかかるなど、フレンドリーなのは中国どこにいっても変わりませんね。

 そりゃ、上海みたいにまわりに日本人が溢れているわけでもないし、ましてや日本に観光旅行にいくチャンスもない。限られた情報源で知った日本こそが、彼らの日本のイメージなわけで、日本に決してよいイメージを持っていないことは明かです。そういう人たちが、少なくても十数億人中国にいることを我々日本人は十分に知っておかなければなりません。

日本行きのスケジュールはこちらからどうぞ。
東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 中国旅行記
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