
今回我々が訪れた湖南省は、湘菜と呼ばれる湖南料理で有名なエリアです。そのなかでも、懐化エリアは、湘西エリアの山中になり、ローカル色豊かな料理が楽しめます。
湖南料理はあと洞庭湖周辺エリア、湘江流域エリアに分けられ、それぞれ特徴を持っています。
辛い料理と言えば、日本人は普通四川料理を思い出しますが、四川料理は厳密には舌が痺れる感じのする麻辣になりますが、湖南料理は私にとっては純粋に辛く感じる重辣でした。だからどこで食べるときも、唐辛子を入れないようにお願いしないと、トイレに駆け込まないといけないようになります。


そもそも、湖南省エリアは夏は蒸し暑いし冬は寒い。彼らそんな気候を辛さによってしのいできたと言っています。体をシャキッとさせる働きがあるとされ、中医学の世界では「提神祛湿」といいます。甘党の上海料理とはまったく比較になりません。とはいえ、食材がいいので、料理自体はとても美味しかったです。文革時代に貴州省の田舎で暮らしていた義父に写真を見せると、とても懐かしい田舎料理だよと言っていました。
白いご飯が進む、ピリ辛系の漬け物(酸豆角)も美味しかった。家庭によって味が違うそうです。

ちなみに、湖南省で食べられているご飯はタイ米に近い細長いタイプです。現地の人にきいたら、パサパサの米の方が口当たりがいいとのこと。ジメジメした気候と関係があるのかもしれません。

また、醤油をつかうことが少ないのも特徴。醤油味になってくると、やっぱり江南エリアの料理になってくるのでしょうね。だから、湖南省の人が、上海などにいったら食べられるものがないと言っていました。甘ったるくてマズイのだそうです。同じ中華料理なのに、この差は大きいですね。

山の中ではいろいろ興味深いお菓子類も。道ばたでみつけたヨモギモチもなかなか美味でした。


また、湖南省エリアでは麺よりも粉を食べる人が多く、懐化には米粉の専門店が多くありました。辛さを味わいながら、汗をかいて食べる食べ方ですが、気候が蒸し暑いときにはこのほうが都合がいいのでしょうね。

農村にいくと、出てくる野菜はすべて自給自足です。農家にお邪魔したら、まずは庭先で野菜をとってきてから調理してくれます。なんとも贅沢なはなしですよね。また、ガスは当然ありませんから、人々は薪を使って料理します。この火力が意外に強くて、驚きました!炒め物も問題なしです。

いかに貧困エリアといえども、中国人は食には手抜きしません。とくに原材料に関しては。そういうところはあまり日本でも知られていないのではないでしょうか。
彼らは自然の恵みを上手に活用しているわけで、食の安全で揉めてしまう都会とはちがうレベルの生活とも言えます。
日本行きのスケジュールはこちらからどうぞ。
◆東和クリニック・中医科での担当スケジュール