2016年10月20日

クラシック音楽を聴きながら運転する、ある上海のタクシー運転手

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 昨日、奈良から戻ってきて今日は上海で仕事。

 上海でタクシーを乗るときの楽しみと言ったら、私はやはり運転手との会話だと思います。
 もっとも、最近はネットで予約するタイプが急増し、相次ぐ新規参入で老舗のタクシーの仕事を浸食しはじめているのも事実。

 さて、今日の帰りにのったタクシーの運転手は、今までとちょっと変わっていました。
 なんせ、運転手はスキンヘッド。さらにドアを開けて乗り込むと、ラジオから流れていたのはクラシック。

 それだけで印象が随分違います。

 「いい音楽が流れていますねえ〜」

 というところから私たちの会話が始まりました。

 話を聞くと、タクシー運転歴18年のベテラン。本来は今年で定年退職なんだけど、この御時世、若者のタクシー運転手のなり手がおらず、会社から頼まれて仕事を続けているのだそうです。
 彼自身、この仕事はとても好きらしい。

 稼ぎは大したことないと謙遜していたけど、なによりも時間は自由に使えるし、ストレスを感じることがないって言っていました。

 私も上海に20年も暮らしていて、いろいろなタイプのタクシー運転手に出会ってきたけど、その多くは、中国の現代社会や自分たちの仕事に対して口をこぼす人が多かった。でも、この運転手はそうではなかったのです。一日中クラシックFMを聞き、自分の気分が気持ちいいことで、乗ってくる乗客にも良い気分になってもらえる。安全に運転できると言っていました。さすがベテランですね。

 そして、なによりも私がすごいと思ったのは、昨今の上海のタクシーは大抵スマホを2〜3台備え付けていて、いつでも客からの予約を取り合っているのですが、彼はそんなことはしないらしい。そんな手を使わなくても、伝統的なやり方でそれなりにお客さんを捕まえることができるし、そんなにギスギスしていたら運転に集中できないって言っていました。

 結局は、王道が一番ということなのでしょうか。

 彼曰く、今の上海の若者は、どうも一攫千金があり得ると思っている人が多い、でも実はそうじゃないのだと。長い下積みが必要だし、そしてそんなにお金をもってどうするんだ?ということ。そして一番大切なのはなによりも「健康」と、それを支える平常心だと。ギスギス仕事をして身体を壊してしまったら、それこそ生きる意味さえも失ってしまうと言っていました。さすが、人生の先輩。

 中国のおもしろさ。

 それはやはりこの人口の多さと、それにより非常に多種多様な人間模様があること。人口が10倍以上なのですから比較になりませんよね。

 なんか、とっても良い気分でタクシーを降りることができました。

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posted by 藤田 康介 at 23:16| Comment(0) | ここは上海なり
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