
浙江省桐廬といえば、豊かな自然と富春江と呼ばれる美しい河があり、高速道路も整備されて、上海からも行きやすくなりました。今や、週末にちょっと山間の田舎気分を楽しむのにはとても良い距離です。といっても、広い中国のことですから、片道300キロほどあり、クルマで3時間半ほどかかってしまいます。移動を考えると、やっぱり日本の田舎旅はラクですよね。

そんな浙江省桐廬の山中にある新合郷引坑村という村に浙江省の非物質文化遺産にも指定されている素麺があります。

歴史は古く、その起源は西暦1000年ごろの宋代にまで遡ります。
素麺を作る技術は、今でも継承されており、長寿を祝う時以外にも、子供が生まれたら親戚・友達が集まってこの麺を食べるとか。また、春節の1日目にも、朝起きて家族で素麺を食べる習慣が今でも残っていると聞きました。中国では大晦日にご馳走を食べますが、新年以降は意外と質素な食事をすることが多いですね。

麺は夜のうちに仕込まれ、早朝に生地を伸ばして麺を作り(いわゆる「拉麺」のこと)、夕方まで外に麺を晒します。ツルツルした食感と、細長さが特徴で、それぞれの家庭で代々受け継がれてきました。

食べ方もシンプルです。
麺には多少塩気もあり、湯がいてその上におかずをトッピングするというのは中国江南エリアでは定石ですね。ダシもスープもわざわざ作ったりしないそうです。
日本の素麺と比較すると、塩気は非常に少なく、日本人だったら少し味が頼りないぐらいあっさりとしています。また、とにかく長い麺ですので、食べる時にちょっと困るかも。でも、現地の人に言わせると、この長さが良いのだそうです。
村の外れには、何軒かの麺屋もありますので、ぜひ食べてみてください。

中国の農村には、今でも大切に受け継がれている食文化がまだまだ沢山残っています。ふと訪れてみて、体験する楽しみは、中国暮らしの醍醐味ですね。
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