2017年05月09日

レジの現金すらなくなった上海のスーパーマーケット「カバ」〜ネットと実店舗の融合を目指すのか〜

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  上海で暮らしていると、毎日なにか新しことが起こり、発見があります。
 仮に、ここでいう「新しいこと」を「ハイテクなこと」に限定しても、残念ながら最近の日本ではこの発見がすごく減ったような気がします。毎月日本に戻る度に残念に思います。

 たとえば、地元奈良のスーパーに買い物に行っても、確かにレジのパートのおばちゃんのテクニックには舌を巻くけど、結局最後に交通系カードすら使えないから、現金を使わないといけないし、ポイントカードを出さないと割引きしてくれないし、高齢者向けの移動販売車は地域のために巡回しているようだけど、品数も限られていて面白くなく、ネットで生鮮食料品の買い物もすらできない。まあ、お年寄りに優しいといえばそれまでなんだけど・・・・。

 そんななか、2016年夏頃から上海でも登場しているスーパーマーケット「カバ(盒马 HeMa)」がなかなかの快進撃です。うちの近所のおばちゃんや親戚もよく買い物しているらしく、浦東の我が家の近所にも実態店舗があったのでさっそく出掛けてみました。

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 中国のスーパーといえば、ウオルマートやカルフールのような巨大店舗を思い出すかもしれませんが、今は時代が変わってきて、むしろ小規模で商品を選び抜いた店に人気が集まっています。私自身も上海の大きな店で買い物するのが結構苦痛で、どこになにがあるのかを見つけるのも大変。そうなると、ネットで検索して買うほうが便利ですよね。もちろん、高齢者にとっては従来式の自由市場や巨大スーパーが人気があるのですが、ネット世代の20~40代は、もう少し質の高い小売り店を求めているようです。

 まさにそういったニーズにあわせたのが、この「カバ」です。

 入り口には「会員向け」となっていますが、要はスマホに「カバ」のAPPをダウンロードすれば会員になれます。日本みたいに、紙の書類に書かせるようなことはしません。

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 実態店舗に入ってまず気づくのが、店がお洒落。日本のスーパー並か、ひょっとしたらそれ以上にきっちりと整理整頓されています。よく見ると値札も電子ペーパーを使っていて、至る所にQRコードも。そして、天井にはなんと買い物バックが移動しています。

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 この買い物バックは、ネットで購入した人の商品が入るバックです。店内には赤い服を着た店員が沢山居て、手には端末を持っています。商品の注文が入ったら、このカゴに商品をいれて、フックにぶら下げると、集配所まで運ばれていく仕組みのようです。実店舗から5キロ圏内なら、ネット注文で30分以内に商品を宅配するというシステムは、忙しい世代にはもってこいでしょう。
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 逆に、中国では高齢者にはそういうサービスは求められず、時間があるので、少しでも安くて、現金で買えるところが望まれています。うちの義父義母も多少時間がかかっても、遠くの安い店に通っています。ニーズが明らかに違うわけです。

 また、「カバ」の特徴は、生鮮食料品も含め、すべて小分けにされているところ。伝統的な巨大スーパーや市場では量り売りが中心なので、その度に並ばないといけないのですが、ここでは買い物カゴにすぐ入れられます。ネットでの購入をメンインに考えられているので、そのための工夫ですね。商品につけられているQRコードは、お肉など生鮮食料品の情報を一目で分かるようになっていますが、このシステム自体はかなり前から上海にあります。市民の食への安全意識が高まっていますから、ある意味当然でしょうね。

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 また、近年中国で人気が高い輸入食品に関してもなかなか充実のラインナップです。アルゼンチン産の海産物とかありますし、水産コーナーでは、上海人が好きそうな食材が並んでいます。

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 つまり、この「カバ」では、実店舗が倉庫代わりになっていて、本命はネットによる買い物であるということに気がつきます。でも、この形式はカルフールなどでもやっていますが、よりネットユーザーが使いやすいように、また清潔感ある店作りに努めているということが分かります。

 さて、支払いです。実店舗で買った場合、もちろん支払い用のレジがありますが、原則現金は使えません。買い物したあとは、自分のスマホのアリペイのバーコードを読み込ませるだけで完了です。おつりも要らないし、ポイントカードの発行もいらない。割引き情報もスマホに表示されますし。

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 ちなみに、ここでは駐車料金もスマホのAPPで解決しました。つまり、もう完全に財布が要らない訳ですね。

 結局、中国の場合、どこの街でも階層社会ですので、万人が満足するサービスなんて考える必要がないのです。この「カバ」のように、支払い方法をアリペイに制限することで、必然的に買い物にくる層が限られてきます。もし利用したかったら、アリペイを使いなさい、という至極中国的なやり方だなと思います。

 日本では、まだまだガラケーが健在だし、スマホが使いこなせていない現実。Suicaなど交通系ICカードも使えるようになってきましたが、個人商店では使えないことが多いし、なにより店にICカードリーダーがないと使いもにならない。日本がまたまたガラパゴス化するか、それとも中国資本などがどかっと入ってきて主導権を取ってしまうのか、いずれにしろ心配が尽きません。

日本行きのスケジュールはこちらからどうぞ。
東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 07:23| Comment(0) | 上海生活情報
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