
日本では江戸時代に考案されたという今川焼きに対して、上海にもよく似た点心が伝わっています。それが、上海奉賢区の伝統小吃「海棠糕(ハイタンガオ)」です。海棠とは海棠花(日本名:ホンカイドウ)からきていて、なんとも風情ある名前。ちなみに、蘇州には同様の小吃として梅花糕もあります。
清代に上海エリアで有名になり、江蘇省無錫あたりにも伝わったとも言われています。今川焼きとは、きっと同じぐらいの時代に誕生した小吃なのかもしれません。
奉賢区の南側、海に近いエリアに奉城鎮という街があります。
ここで昔ながらの海棠糕の作り方を守っている屋台が残っていて、思わず十何年作り続けている範さんに会いに行ってきました。
もうすぐ70歳になる範さんは、今でも街の中心部にある市場(菜場路)の入り口に三輪自転車で乗り付けています。早朝と午後3時頃、つまり市場が賑やかになるころに店が登場するわけですが、朝4時には起きて小麦粉を発酵させ、小豆を煮てあんの準備をされるそうです。焼くための特性の鉄板も特徴があり、今となってはなかなか手に入らなくなっているそうです。鉄板に塗る油は「猪板油(豚の腹部分のラード)」を使います。










作り方で今川焼きとの大きな違いは、一方に餡をいれて、もう片一方をフタする方法ではなく、円柱形の型に小麦のネタを入れ、なかに餡を沈ませて一つ目作ると、その上に砂糖を焦がしたカラメルをかけ、同じものをもう一つ作って、食べる時に2つくっつけてサンドイッチにします。
つまり、今川焼きがカラメルを真ん中に、ダブルでくっつている感じです。
ところでお値段ですが、今時の上海では考えられない値段で、一個2.5元!
なんと50円もしません。
こうした上海地元のソウルフードが廃れてしなわないうちに、職人達の味を楽しみに出掛けてみたいと思います。

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