2009年08月25日

四物湯と美容

 「湯」と書いても、お風呂の事でもなければ、スープの事でもありません。
 煎じ薬の事を、中国語で「湯(タン)」といいます。

 四物湯・・・・・・・。

 香港・台湾などの芸能人たちに限らず、一般の若い女性の間でも特に美容方面に人気のあるのが、この四物湯という生薬の処方で、非常にポピュラーになりました。

 もともとは、『太平恵民和剤局方』という書物に書かれている処方で、補血・調血が効能です。中に入っているのは、当帰・川芎・白芍・熟地の4つの生薬です。場合によっては、この生薬に少量のお酒(紹興酒など)を入れてから煎じることもあります。原書には、空腹時に服用するとあります。

 婦人科の様々な症状に使われるところからも、如何にこの処方が女性たちの支持を集めてきたか、1000年以上の歴史が物語っています。私も、生理痛などの治療にはその処方の骨組みの中に欠かすことができません。

 女性は月経の周期からも、「血」との関係は欠かせません。そういった意味でも、当帰は血の巡りをよくして、血を補う作用がありますし、川芎も血に入り込み、血の中の気の流れを促進し、白芍もその酸っぱさから分かるように、陰を育んで血を養います。ちょっと甘みのある熟地は、もちろん、血を補います。

 昔の人がすごいな、と思うのは、たった4つの生薬しかつかっていないのに、血を補うけど、ドロドロになることなく血の動きを重視していますし、血が動くけれど動きすることはないという絶妙なるバランスを持っています。

 欧米人も、地方によっては生理の時に赤ワインを飲むところもあるそうです。これもまさに、「血」の発想だと私は思います。

 女性の「血」の状態を整えるという性質からも、四物湯が美容などにいいと理解されるのも十分に納得できます。何よりも、1000年以上前から使われていたワケですから、副作用の問題に対しても比較的安全だということになります。

 女性に限らず、もちろん男性にも使えます。私は皮膚が乾燥してカサカサになっているアトピー性皮膚炎の治療のときにも他の生薬と併用しながら使ったことがあります。

 いずれにしろ、婦人科の疾患や美容には欠かすことのできない四物湯なのでした。

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名処方、四つの生薬を使って四物湯
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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類