2009年04月11日

アカガイもどきの貝殻

 上海で80年代にA型肝炎を大流行させたサルボウ貝。上海人は半生で食べるのが大好きです。
 外観がアカガイにそっくりなため、日本では、アカガイもどきとして料理の材料に使われることがありますが、この貝殻も大切な生薬です。

 私も患者さんに処方することが多い生薬の一つです。

 この生薬そのものの効能は、体にできたかたまりを取り除くものでした。もともとは、甲状腺や、リンパ節結核の治療にも使われました。最近では、「かたまりをとる」という発想から消化器系の腫瘍の治療にも使います。漢方や中医学の煎じ薬は、内臓に直接的に作用できるため、消化器疾患には一定の効果が期待できます。

 このサルボウ貝の貝殻は、中国語では瓦楞子といいます。中国の沿海エリアで捕獲できますが、その身は生薬では使いません。

 粉にすると、出血を抑える作用もあり、外用薬としても使うこともあります。

 日頃、臨床でよく使う効能として、胃酸を抑えたり、胃痛の和らげたりする作用も確認されています。出血を抑える効能から、慢性胃炎や十二指腸潰瘍、胃潰瘍にも使われるようになりました。胃のもたれ・胃酸過多症などにもなかなかいい効果を発揮します。

生薬として使うときは一度強く熱して粉々にします


 生薬として使う場合は30グラムぐらいまでは大丈夫。特に、消化器系の疾患に使う場合は、しっかりと火であぶって粉々にして使います。

 生薬はとにかくなんでも再利用してしまいます。言い換えてみると、我々が日頃使えないと思っているものでも、思わぬ効力を発揮することがあるのです。そんな生薬、思いついたらまたご紹介します。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類