2009年04月21日

白い肉を食べよう

 経済の発展に伴って、中国で急激に増えている成人病。おなかが出ている人が上海の街でも普通にみられるようになってきましたから、現状が容易に推測できます。

 中国疾病予防コントロールセンターのデータでも、中国人のカロリーの摂取量は、ここ二十年で倍に増加している一方で、野菜の摂取は1992年の一人平均400グラムから、現在では270グラムにまで減少し、穀物の摂取量も20年前と比較すると21%の減少となっています。それでも、日本人と比べると、中国人の食べる穀物の量はまだまだ多いと思うのですが、それ以上に肉類の摂取が多いと言うことになります。

 一方で、中国では分かっているだけも1.6億人の高血圧患者と4000万人の糖尿病患者を抱えています。実際に、血圧や血糖値をはかったことがない人がまだまだいるので、この数は氷山の一角にすぎないと思います。

 でも、我々在中日本人はこういった食文化のなかで、いままさに生活していますので、日本以上に食生活に対して注意を払う必要があるということは言うまでもありません。

 食文化から、動物性タンパク質がどうしても多くなる中国。さらに経済の発展とともに、赤みの肉を食べることが多くなったように思います。肉と言えば豚肉というこれまでの上海人の食生活から、牛肉もどんどん食べられるようになってきました。上海の町中に焼き肉店が急増しているのも理解できます。

 アメリカの研究で、54.5万人の50歳〜71歳の中高年を調査したところ、10年間で7万人が死亡しました。これはアメリカ人に対してのデータです。

 このうち、毎週牛肉を0.14キロ未満しか食べなかった人と、毎週牛肉を0.79キロ食べた人を比較すると、男性ではガンによる死亡率は22%高まり、心臓病による死亡率も27%高まったといいます。女性の場合は、ガンによる死亡率は20%高まりますが、心臓病による死亡率は50%も高まります。

 そこで、アメリカ国立癌研究所では、ニワトリや魚などの白い肉を摂取するように呼びかけていますが、なんせ牛肉大国のアメリカのこと。この意見に対して、批判的な人も多いのです。

 では、野菜・果物ばっかり食べたらいいのか?というとそうでもなく、結局はバランスということですね。日本の厚生労働省が行った2万人の40〜69歳を対象にした調査では、12年の追跡調査で、野菜の摂取量が多い人は肝臓ガンのリスクは下がったものの、果物の摂取が多い人は逆に肝臓ガンのリスクが高まったといいます。

 この理由として、果物に含まれる大量のビタミンCが、鉄の吸収を促進し、肝臓の負担を増加させるというもの。肝炎などをもっている方は、野菜はしっかりと食べたらいいものの、果物の摂取は摂取しすぎに気をつける必要があるようです。

 ところで、魚をたくさん食べると知能にいいという研究はスイスで行われていました。4000人の青少年を対象とした調査で、知能テストの高得点の子供は、魚の摂取と量と統計学的に有意義な差があったようです。これによると、15歳のときに平均毎週1回魚を食べると、3年後には知能テストの成績が6%UPし、これが1回以上であれば、11%もUPするというのです。魚に含まれているオメガー3、オメガー6と呼ばれる必須脂肪酸が子供の知能発達に関係があるのでは?という推測がされています。

 でも、個人的に、魚を食べる方が、肉を食べるよりも頭を使いますよね。身をきれいにはがさないといけないし、骨にも注意しないといけません。さらに、魚には牛肉などと違って、様々な品種を楽しむという喜びもあります。

 でも、上海ではなかなかいい魚が手に入りません。もちろん、昔よりはずっとよくなっているのですが、それでも種類や鮮度からいえばまだまだ市民の身近な存在ではないのです。

 結局は、何事も「中庸」が一番。中医学ではとくにこの「中庸」を大切にします。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類