ボンボンは直径1センチほどの砂糖菓子で、真っ白なあめ玉です。味にはアニス(ウイキョウ)が使われます。ああ、道理でポンポンの工場周辺では強烈な生薬のにおいがするわけです。
記録では、中東からこのエリアに伝えられてきたアニスだそうですが、中医師の私にとっても、これは生薬であるということがピンときました。中医の世界では痛み止めや冷え系の月経困難症、冷え系の胃痛などにもよく使いますし、私もよく処方します。
古代ローマの旅行家、フラヴィアンが、この地にアニスの種子を伝え、それがこの村の地名、フラヴィニーになったという説があったそうですが、その後、中世に入って、ヴィドラールがベネディクト会修道院を建設し(現在も見学可能)修道士たちがここでボンボン作っていたそうです。
しかし、なぜこのアニスをお菓子に入れることを思いついたのか?私は、おそらく病気予防的な見地からではないかと思うのです。大体、中世の西洋の医学はこうした宗教とも深く関係があったわけですし、そういった意味でも修道院で製造されたというのは理屈が通ると思います。記録には、16世紀にはすでにこの「ボンボン」をフラヴィニーに訪れる旅人にプレゼントしたというわけですから、単なるお菓子という意味合いではなかったのでは?と詮索していまいました。
「ボンボン」は生地がマイルドで、非常に口当たりがよいあめ玉です。砂糖の層をひとつひとつ塗り重ねられたもので、今ではアニス以外にもさまざな味の「ボンボン」が登場していました。工場には20数名の従業員が働いていましたが、この村唯一の雇用を生む企業のようです。
考えてみれば、人口200人ほどの小さな村で、経済を立てていくことは難しいわけで、日本の農村同様、ここでも過疎化の波が訪れているという話を聞きました。大都市ディジョンまで40数キロなのですが、フランス人の感覚からすると、こうした村から都市に毎日通勤することは、すこし考えられないそうです。日本人だったらやりそうですが。。。
また、静かな生活を求める村人は、観光客でにぎわうような待ちを好きこのんでいないということも聞きました。多少貧しくても、今のままがいいのかもしれませんが、う〜ん、これだけは文化の違いかもしれません。また、それ以上にフランスにはこうした村があまりにもたくさんあり、とても太刀打ちできないというあきらめもあるそうです。
何もいじくらずに静かな時間の流れを感じてもらう。それこそ、この村での楽しみ方で、インターネットができないことは、思わぬ収穫を私に与えてくれたと思っています。今回は五官でフラヴィーニを感じました。
もしツアーだったら、1時間ぐらいしか時間が与えられないでしょう。そんな中、3日間も滞在したのですから、収穫はかなりありです。いよいよ明日はディジョンへ移動します。ディジョンはフランス有数のグルメの街です。こうご期待!
この日夜登場したパイ「キッシュ」。お菓子というより、食事ですね。妹の手作りで、非常においしかったです。ああ、チーズがうまい!
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