2007年11月21日

関口知宏さん、ご苦労様!

 NHKでやっていた関口知宏の中国鉄道大紀行が終わってしまいました。

 いや、本当にご苦労さまです。関口さんも大変でしたが、通訳で上海人?の陳さんも大変だったと思います。旅の後半は、陳さんの疲れが目立ったように思いますが、陳さんにとって自国をこうやって移動することが、他国を移動することよりもずっと疲れることは私も分かります。

 私も時々アテンドを頼まれて、一緒に旅をすることがありますが、私自身はいいところを見てもらいたいと思っていても、実際は頭に描いたようにはいかないことが多い。そんなときは、本当にどっと疲れます。特に、通訳をしているときはもっとです。

 通訳をされる方は、「相手はどうせ分からないのだ」と思って結構自由にモノを言うのですが、訳す方は文化やその時の雰囲気を掴んで訳さないとダメですからね。だけど、言いたいことの意味を取り違えてはならない。通訳というのは語学力だけでは勤まりません。基本は人間力だと痛感しています。

 私はこの番組が日本にもたらした意味は非常に大きいと思っています。「日中友好」というレベルを超えた、中国人の素顔が非常にうまく描き出されています。

 NHKのことだから、周到な準備があったにせよ、街中や村で関口さんが出会った様子は、まさに私が旅をしているときと一緒です。だから共感が持てるのでしょう。
 私も中国各地の田舎を旅しながら、そんな出会いがたくさんありました。だから、ふと思い立ったら私も旅立ってしまうのです。

 特に、寝台列車のブースで知り合った人たちは、時々旅に大きな影響を与えます。そのままお宅におじゃましたり、すばらしい観光ルートを教えてもらったり。。。
 中国の寝台列車で放送される注意事項に、「泥棒云々」以外にも「見知らぬ人と親しくなりすぎない」というコメントが流されますが、中国人の天性に見知らぬ人と仲良くなる習性があるようです。私は、人治主義中国の原因がここにあると思います。

 そう比較すると、日本での旅行は中国よりずっと出会いが少ないですね。確かに、日本では多くの人が車で移動し、旅自体がレジャー化していることと関係があるかもしれません。中国では、移動するにも、チケットを買うにも、さらには列車にちゃんと乗ることからして、時によっては運試しとも言える苦行が待ち受けていることが多いからです。だからこそ、助け合うことも非常に多いのです。

 いずれにしろ、長い間本当にご苦労さまでした。あと、5年もすれば今回撮影された風景も大きく変わっていることでしょう。だけど、こうして中国人の受け継いできた文化はそう簡単に変わることはないと思います。

  上海など都市部がどんどん「欲望」の魔都化している現在、中国の魅力はまさに地方にあると思います。

  そんな上海に疲れたとき、寝台車のチケットを買って、旅に出てみることは私にとっては最高の癒しです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類