2007年11月05日

化学調味料とラーメン

 蘭州では、蘭州ラーメンを堪能しました。

 そして、蘭州の知り合いのラーメン店の店長などの話を聞きながら、蘭州ラーメンを巡る飲食業界の挑戦を知りました。

 ラーメンといえば、どうしても化学調味料との関係が切っても切り離せないように思われますが、実は、一昔前の中国人は意外と化学調味料を使っていなかった、ということを聞いて少し驚きました。蘭州ラーメンもまた然りです。

 中国で初めて化学調味料の生産に成功したのは上海。1930年代のことです。天厨ブランドがそれです。化学調味料が上海料理でよく使われ、さらに上海人が化学調味料が好きなのも、これと関係があります。

 例えば、上海人に聞くと、料理で欠かせない味の一つに「鮮」という表現方法があります。これは、日本語では「うまみ」とでもいうのでしょうか?しかし、上海料理では単刀直入に言えば、「化学調味料」の味のことなのです。

20時間以上、骨付き牛肉や羊肉で煮込まれるスープはこくが深い。白い帽子はイスラムの象徴。


 1980年代の蘭州ラーメンは、使われるスパイスの数も4種類〜5種類程度。化学調味料の量も、今の半分以下だったといいます。それが、食の多様化にともない、スパイスの数が増えていて、今では10種類あまりのスパイスを使うようになりました。

 蘭州ラーメンの全国進出に伴い地域差も発生しました。たとえば上海に進出している蘭州ラーメンの多くは、上海人にあわせた改良をしていると聞きました。そうじゃないと、売れない。本物を追求するだけではダメなのです。

 例えば、カレー粉をラーメンに入れてみたり、化学調味料の量を増やしたり、さらに酢の量を減らしたりなどがそうです。

 中国西北エリアでは、中華料理に美味しい酢が欠かせませんが、上海人は一般的に酸っぱいモノが苦手です。そうしているうちに、上海風味の今の蘭州ラーメンが確立されたのです。上海の味付き水道水に対しても、対策を講じなくてはなりません。

 朝食にでも食べられるラーメン。そんなさっぱり味が、蘭州の蘭州ラーメンの特徴なのです。

卤麺は野菜がたっぷりの蘭州ラーメン。かけ麺にすることが多いです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類