といっても、もともと冬虫夏草は肺に関係のある疾患に効果があるとされていたので、咳や痰、喀血などの治療にも使われます。
それは、さておき、ここで天然の冬虫夏草を使うべきか?という問題が生じてきます。
私は基本的に高いお金を出してまで天然の冬虫夏草は使うべきではないと考えています。なぜなら、偽物を掴ませるリスクが非常に高く、また品種が違う場合も多いからです。冬虫夏草の品種の問題については、ここでも紹介しましたので詳しくは書きませんが、とにかく冬虫夏草でも様々な亜種があり、一概に西蔵や四川省の高原で売られているから本物というのもあてになりません。
それだったら、むしろ人工栽培されて製品化されたモノの方が、品質が安定してよいということになります。
最近、私のところへ冬虫夏草を本物かどうか調べて欲しいという人が何人かいましたが、結果はすべて偽物でした。この写真のものもそうです。見た目、かなり似ているのですが、例えば独特のにおいがしなかったり、ちょっと知識があれば偽物とわかるものばかりでした。
これは、西蔵での冬虫夏草の乱獲と関係があります。専門家の西蔵への調査でも、最近冬虫夏草がめっきり減ったという報告が次々と出されています。専門家ですら捕獲できなかったこともあるぐらいなのです。
ある報告書では、20年前は1平米あたり20本〜40本程度捕獲できた冬虫夏草が、いまではたった1本〜5本程度しかとれないとありました。また、捕獲できる標高も年々上昇し、いまでは4500メートル以上の標高でなければ捕獲がほぼ無理だそうです。
さらに、冬虫夏草1本を捕獲するために、深さ10センチ程度の穴を掘らなければならず、これが高原植物しかない西蔵や青海省の高地に、深刻なダメージを与え始めています。
今まで、冬虫夏草といえば遊牧民たちが副業で捕獲する程度でしたが、今では大挙して乗り込んで、大量捕獲する集団も発生しています。
こうした西蔵の現状に、我々が無関心でいられるわけはありません。自然破壊は、長江を通じて上海にいる我々、強いては全世界の自然環境に影響を与えるのです。医療で使う分なら、理知的になって、人工栽培の冬虫夏草で十分なのです。
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