2008年03月01日

餃子報道にみる隔たり

 日本のマスコミは、中国の食品をやり玉にあげて騒いでいるような報道が多いですが、こちら中国では至って平然。

 もともと、中国人にとって、食品の問題は自分たちで守らなければならないという考えがあるのと、やはり自分たちの食品とはあまり関係のない次元であると思われているような気がします。この程度のことに、すでに慣れてしまったのかもしれません。

 ところで、今回の農薬事件で、農薬が袋に浸透するか・浸透しないか、というのは大きな争点ですが、中国側の報道では、公安部の実験結果がどの新聞でも紹介されています。
 それによると、異なった濃度の60%、30%、10%、1%の濃度の農薬を密封した餃子のパックの外に塗って、零下18度で10時間保存して、袋の内側から機械で測定すると、87%の袋で農薬が検出されたとしています。しかし、日本でやった実験では検出されなかったと報道されているので、真っ向から対立しています。

 さらに、中国の公安部は、日本の警察当局が中国側へ物的証拠を提出するのを拒み、現場の視察もできなかったと報道されています。ただ、中国側も今後も調査を続ける意向であることは示しています。

 そんな中、日本の記者が2月15日に問題の農薬を持ち出そうとしたことに触れ、日本に農薬が売られていないとしても、このように海外から持ち出すことは十分可能であるとし、農薬そのものの不純物の調査では、その原因解明の証拠にはならないと反論。

 また、中国の公安部門も問題の工場の捜査を進めていて、工場の管理状態などから製造過程中に毒が盛り込まれることは非常に難しいし、とくに餃子工場のようにたくさんの人がいて、そんな中に「におい」のきつい農薬を紛れ込ますことは非常に難しいとしています。

 よって、残留農薬が問題ではなく、むしろ誰から仕掛けた犯罪ではないかと表明しています。

 日本の調査とは反対の結果となってしまいました。

 その肝心の日本、もねじれ国会などで混乱が続いていて、その次に自衛隊のイージス艦の事故などが発生し、この問題に対する報道の熱もいまひとつ冷めてしまったような気がします。

 ここまで見る限り、かなり中国の方が外交では上手を行っているように見受けられます。

 おそらく、裏では両政府のいろいろと駆け引きがおこなわれているのでしょうが、日本政府の押しの甘さがあまりにもあからさまで、もっとしっかりしてよ!と言いたくなります。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類