2009年04月05日

アレルギー性皮膚炎多発時期

 この時期、湿疹・蕁麻疹などアレルギー性皮膚炎、さらに接触性皮膚炎など皮膚に関するトラブルを抱えてクリニックに来られることが少なくありません。アトピー性皮膚炎も、どうもこの時期に悪化する傾向の人も多いようです。

 上海市内でも、公園などをみると様々な花が咲き誇り、動物たちも動き出しています。と同時に、アレルギーの原因となる動植物も活動を開始しはじめているわけで、これに反応する人が多いのです。
 私のスギ花粉症もまた然りです。(自分の体でスギ花粉症と中医学の関係を実証したいのですが、上海にいると発生しないんです。。。)

 中医学でも、こうした現象はまた違った言葉の表現で説明されます。特に皮膚病の場合、飲食や情緒、疲労なども原因として挙げられますし、そのほかに自然環境の気候の変化も注目されます。

 例えば、四季の中に絶えず存在する風・寒・暑・湿・燥・火なども自然界の気も人体に影響を与えます。もし、これらの気が人体の抵抗力(中医学では正気と呼びます)を超えた場合、様々なトラブルを引き起こすというわけです。

かたつむりも動き出しました


 自然界の6つの気のうち、春と特に関係があるのは、寒と風になります。また、火も影響しますね。

 春、上海エリアでは風が強く吹くのは皆さんご存じの通りです。この風が、人体にさまざまな悪さをするため、「風は六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)の長」なんて言いますが、中国人が風を避けるのに必死なのもそういった背景があります。

 例えば、外からふく風に当たりすぎると、皮膚を乾燥させ、かゆみを増幅させます。さらに、風は体中を駆けめぐりますが、風の軽い性質からも上半身でのかゆみが増すことが理解できますね。

 さらに、風は体の中からも発生します。体の中からの風の原因は、五臓六腑の内でも「肝」がその中心となります。中医学の肝は情緒の影響を非常に受けやすいため、ストレスが皮膚のかゆみなどの原因となるのはよくあるパターンということになります。

 

 春先は、寒暖の変化も大きく、特に冬からの寒を引きずってくる場合も少なくありません。この寒も、外の環境からの寒が原因となる場合もありますし、体の中から生まれてくる寒が原因の場合もあります。
 
 寒が体を襲うと、体中の経絡が縮まり、気血の流れが妨げられ、顔色が悪くなったり、手足の冷えを助長したりします。痛みや痺れなどでも、寒が関係していることが少なくありません。一方で、五臓六腑の脾や腎の陽パワーが足りない場合も、寒が体の中から発生しやすくなります。こういったときは、生薬をつかってそのパワーを補ってあげる必要があります。

 アトピー性皮膚炎の場合、体の表面の皮膚の色が赤くなることがよく見られますが、この場合は「火」による影響を受けている場合となります。ただ、この火も一体どの臓腑のバランスが崩れて発生したものなのか、じっくり検証する必要もあります。中国人は日常的に「火旺」という言葉を使いますが、火の発生もいわゆる陰と陽などの体のバランスの崩れと深く関係があり、日頃の食べものや生薬で平衡を戻してあげる必要もあります。

 このように、バランスを取ることを中医学では非常に重視しています。一番理想なのは、生薬なども服用せず、日常の生活からそのバランスを取り戻すことです。
 となると、絶えず健康を意識し、運動や飲食の研究に自ら力を入れることが大切なのですが、それが難しければ、生薬を併用せざる終えないということになります。
 そして、抵抗力となる正気をケアしてあげて、病気にならない体をつくるのです。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類