こういうときは、ぐっと冷たい飲み物を飲みたくなるところです。もちろん、いくら冷たいものを飲んでも、体は大丈夫という方も多いと思います。私の父親なんかはその部類です。冷たいビールをガブガブのんでも平気にしています。
しかし、私はダメです。もちろん、患者さんに暖かいお茶を勧める以上、私自身も実践しています。お茶は基本的に常温以上の温度で飲んでいます。
では、実際に暑さを吹き飛ばすのには、熱いお茶がいいのか、冷たいお茶がいいのか?思案のしどころですね。
胃腸が弱い方なら、暖かいお茶が良さそうにも思えますが、くそ暑いときに飲んでられないという人も多いと思います。でも、もちろん中医学の世界では冷たいお茶、とくに冷蔵庫で冷やしたお茶はまず勧めません。
夏の熱気は、人の体の陰液を容易に損傷させてしまいます。その結果、人間のパワーの源となる気血も傷つけ見事に、夏ばてとなってしまいます。そこで、我々はお茶を飲みます。
中国でよく飲まれる緑茶、これについてちょっと見てみましょう。
中医学の生薬のバイブル書でもある明代の『本草綱目』には、お茶の飲み方について面白い表記があります。
お茶は確かに「苦・寒」の性質で体を冷やすのですが、飲み方を変えるだけで体を冷やす冷やし方が変わってきます。例えば、暖かい状態で緑茶を飲むと、寒気の力によって火を下に下げることができますし、熱い状態でのむと火の力を借りて暑さを上に発散できるとしています。
どうやら、この本の筆者である李時珍も、緑茶は温めて飲んだ方が効率的に体を冷やすことができることに気がついていたようです。
暖かいお茶を飲むと、汗腺からの汗が出やすくなり、汗によって体の火照りをさますことができます。さらに、お茶に含まれている様々な香りの物質が、今度は口の粘膜を刺激して、中医学的にも西洋医学的にも口の渇きを癒してくれます。
もともと、緑茶には脳を興奮させて、代謝を盛んにする働きがありますから、血行をよくしてくれますし、その利尿作用から熱を尿を通じて排出してくれます。
もちろん、熱すぎるお茶を飲むと、食道癌のリスクが高まるという研究もありましたので、ゆっくりとすするのが望ましいですし、濃すぎるお茶も中医学の世界では禁じられています。
でも、こうしてみてみると、暖かいお茶を飲むことは、逆に体を涼しくさせてくれますし、消化器にもマイルドに作用してくれるはずです。
とくに、鼻炎や蓄膿症、冷え系の生理痛などをお持ちの方、冷やした飲み物や食べ物は禁物です。
夏ばて防止に、この夏は、「ぬるい」生活を実践してみませんか?
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