上海っていう街は、大きいようで小さい。内環状線をバーと飛ばせば、あっという間に東の端まで行けてしまう。それが、よく渋滞するから遠く感じてしまうだけなんですよね。

日本・中国の温泉研究をしている私は、OPEN初日にこの上海の極楽湯に行っているのですが、それから2週間あまりがすぎ、春節の連休も終わった状態でどうなっているのだろうというのも、一日本人としてちょっぴり気がかりでした。これだけ、日本のテレビやインターネットで中国人の「反日」について報道・論評されていて、もしや閑古鳥が鳴いていたらどうしようか・・・・、とは正直一度も思っていません。だって、大きなお風呂が気持ちいいのは万国共通ですから。
案の定、200台入ると言われている駐車場は夜9時頃にいったのにも関わらず、ほぼ満車。駐車スペースを捜すのにちょっと苦労したぐらいです。(ちなみに、現在はまだ23時終了)


(浴衣姿の上海小姐は、なぜかここで記念撮影をする人が多い)
さて、OPENから2週間経って、いろいろ改良されていました。まずは、浴衣を借りるところでの手ぬぐいの貸し出しはなくなりました。これは正解だと思います。日本の銭湯だったら、タオルで急所を隠して入る人などをよく見かけますが(男湯の場合)、中国人は基本的に隠さない。体を洗うときにもタオルをあまり使っているように見えないし、基本的に手ぬぐいは必要ない。タオルがなければ、タオルを水に浸ける心配はゼロになりますから、これでいいと思います。
また、中国人は掛かり湯をしないと勝手に思い込んでいましたが、私がみる限り掛かり湯率は予想以上に高い。要は、入り口にちゃんと掛かり湯する場所を作っておけば、できるものなのです。無理のない動線を作っておくことが大切なのですね。
男湯では、男性諸氏が何人か友達をつれてきて、お湯の中で談笑をしている姿は、まさに日本の銭湯となんら変わらない雰囲気です。日本風の音色のBGMの中で、ああ、日本のお風呂文化も中国人に受け入れられているなあ、と思いました。
ただ、やはり精算の問題はまだ解決されていませんでした。なんせ、中国人は極楽湯でもよく消費しています。ざっとまわりをみていても、一家族3人で700〜800元(1万円前後)は使っていました。そのため、精算するときの項目チェックに時間を費やすので、長い行列ができていました。この精算の行列については、私の多くの中国人の友達も文句を言っていましたので、改良すべきでしょう。
また、靴の受け取りはかなり改善されていましたが、これもまた別の中国人の友達が、靴を間違えられて履く靴がなく、怒っていました。結構高い靴だったらしく、結局弁償してもらうことになったと言っていましたが、そういうトラブルにはくれぐれも気をつけて欲しいですね。
最後にこの上海の極楽湯の賑わいをみて思ったこと。
まずは、大胆に日本を打ち出して、極楽湯は一応成功しているのではないかと思います。今日本にいる一般的な日本人だったら、中国人=反日と思い込んでいるかもしれませんが、それは過激派をみて日本は怖い国だと思うことと同じです。
これからの中国は、単なる工場としての中国ではなくて、色々な娯楽や消費を享受する場所に変わりつつあることは間違いありません。すなわち、良質でかつ創造性のあるサービスが求められ、上海など中国の大都市で成功することの重要性がブランドとして増してくるのではないかと思います。おそらく、この極楽湯は日本文化を発信する一つの基地として、中国で重要な役割を果たすのではないかと思います。そして、その成功をみて、きっと中国各地に日本風のスーパー銭湯が登場するのではないかと思います。
すでに、私の中国人の親友達が会社を起こして温泉コンサルをはじめており、各地の温泉をプロデュースし、ビジネスとして成果を挙げはじめています。日本の温泉業界もぜひ頑張って欲しいと思います。
ちょうど、日本人が反中といいながらも、ラーメンや餃子など日本風にアレンジした中華料理を楽しむように、中国人も反日といいながらも日本文化をどんどん楽しむようになるでしょう。そして、中国風にアレンジされていって根付くはずです。
反日というのは、誰の誰に向けられた反日なのかを十分に理解しなくてはいけません。逆に、反中に関してもそうです。日中双方のマスコミや評論家同士の報道や論戦合戦、さらに両国の政治家同士の論争に対して、庶民はほとんど関係ないのです。特に、クールな中国人は政府と一定の距離を置いています。冷めているのは、ひょっとして中国人のほうかもしれません。まあ、ときどき日本人である私にからかいに来ますが、それぐらいかわいいものです。(^_^)
