

さて、お気づきの人も多いかも知れませんが、アメリカ基準と中国基準とでは大気汚染の評価の仕方が異なっています。これは、おなじみのアプリ「CN Air Quality」で出てくるAQI値の違いからもよく分かります。

例えば、この日、私がチェックしたときの上海浦東エリアのPM2.5値は170㎍/㎥。中国式で計算されたAQI値での評価は「軽度の汚染」。一方で、アメリカ式で計算するとPM2.5値が134㎍/㎥ですでに「不健康」となっています。これは両国の基準値の違いによるもの。
中国でもアメリカでもAQIが100を越えると、汚染された状態になると評価されます。
しかし中国式の場合、PM2.5値に関してのAQI値100の基準は1日あたりのPM2.5値が75㎍/㎥ですが、アメリカでは40.4㎍/㎥です。WHOの基準に従い、先進国と発展途上国では達成目標が違うのです。
健康に影響がないとされるAQIの0〜50ランクでは、アメリカのPM2.5値の範囲は0〜15.4㎍/㎥、中国でのPM2.5値の範囲は0〜35㎍/㎥。この地点で基準値が倍以上違うことになります。
ちなみに、WHOが定めるPM2.5の1日平均は25㎍/㎥以下、年平均は10㎍/㎥以下。さらに日本の場合は環境基準として1日平均35㎍/㎥以下、年平均は15㎍/㎥以下となっています。環境基準とは、「人の健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましい水準」だそうです。(参考:http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html)
空気を吸うことはアメリカも日本も中国も変わらないのに、大気汚染としての評価が変わってくるのは正直納得できません。
PM2.5が汚染物質の中でも最も良くない状態でのAQIは、24時間あたりのPM2.5平均値で計算します。1時間あたりの平均値ではありません。つまり刻々と状況が変化することが多いので、やはり何らかの方法でいま現在の数字を知っておくことはとても必要なのです。
そこで私は簡易測定器を買っています。今回も様々な場所で測定しました。
20日は大気汚染が昼間になると1時間あたりのPM2.5が200㎍/㎥越えしていました。うちの中医クリニック前の状況も250㎍/㎥ぐらいの数字が。。。。

この状況で、某ショッピングモールを訪れました。ここは、1階から4階まで吹き抜けです。それぞれの階のPM2.5値を測定すると、どこも140㎍/㎥前後。さらに、ショッピングモール内のレストランに入ってもほぼ同様。どういうことかと分析すると、やはり入り口が殆ど開けっ放しであること。せっかくの2重扉玄関も開けっ放しでぜんぜん機能していないことが大きな原因だと思います。
個室トイレもそうですが、中国では「閉める」習慣がそもそもないのです。子供の時に教わらないからでしょうか。

ちなみに、窓をあけたタクシーの車内もPM2.5値は100㎍/㎥越え。ボロボロの上海タクシーは、時に雨漏りするぐらい気密性がないので期待できませんね。
この日、空気清浄機を稼働させている私の診察室は40㎍/㎥前後。人の出入りが激しい部屋の割りにはまずまずの成果ではないでしょうか。やはり、空気清浄機には一定の作用があると考えられます。

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