
先日、広東省広州で赤ちゃんポストが試験的にできたことをブログでも紹介しましたが、結局赤ちゃんポストで保護される子供の数が予想をはるかに超えてしまったため、1ヶ月半程度で閉鎖されてしまいました。
広州の『羊城晩報』の報道では、2014年1月28日〜3月16日までに保護された子供の数は男子148人、女子114人で合計262人。内訳は、1歳以下が175人で全体の67%を占めています。疾患別には、脳性麻痺が110例、ダウン症候群が39例、先天性心臓病が32例、その他の疾患が81例となっていました。また、保護された子供の生存率は91%で、子供の命を守るという視点では、その役割を果たすことができたと評価されています。
ところで、この赤ちゃんポストを設置した広州市社会児童福利院はすでにベッド数がいっぱいで、2004年以降保護されている子供の数は1000人を越えているらしい。2014年現在、子供たちの総数は2395人にのぼり、このうち院内で保護されている子供の数は1121人、院外の家庭で保護されている子供は1274人で施設の収容能力限界に達しているということです。これに、今回の赤ちゃんポストの件でさらに数が増えてしまい、一つのベッドに2人の赤ちゃんを寝かしつけるような状態にもなっていると報道されています。過密になってくると、伝染病も心配です。
中国では、子供に対しての福利厚生をどうするかという問題がまだまだ解決されていません。とくに、身体に障害を持った場合、また難病や重病にかかった場合の経済的なサポートがまだまだ足りないのが現実です。こういった問題点は、行政も分かっていて、メディアにもたびたび登場するテーマではありますが、なかなか抜本的な解決には繋がっていないようです。
今回の広州の件では、開始直後は監視カメラだけが設置されていました。その後、係員も配置し、もし赤ちゃんポストに預ける親が来たら、特に1歳以上の子供を預けようとした場合、声をかけるようにしたそうです。さらに、部屋の壁には「赤ちゃんを捨てることは犯罪であり、倫理に反し、子供を傷つけ、一生後悔する」という言葉も付け足されました。
今後、福利院では従来通りに公安で保護された子供しか受け付けない方針のようです。しかし上海の街でも大人に連れられて物ごいする幼児をみると、どうにかならないものかと考えてしまいます。あまりにも「え!」と思うことが多すぎるのです。
2395人という数字は広州市だけです。中国全土だといったいどれだけの数字になるのか、想像もつきません。こうした子供たちの増加は、教育問題だけでなく社会の安定にも大きな影響を及ぼすことでしょう。もっと真剣に考えなければいけません。

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