2013年05月06日

火鍋に使う「羊肉巻」とは

 未検疫の動物を使って「羊肉巻」を製作して外食産業に販売していた事件。
 詳しくは、こちらに書いていますが、その後の進展がありました。

 上海市工商局閔行区が各部門と協力して、漕宝路にある鑫品食品卸市場の摘発に入り、偽装食肉を売っていた業者の倉庫で商品を没収し、疑惑の肉をDNA鑑定して、偽装工作があったのかを調査しはじめました。さらに、その疑惑のある肉は、「小肥羊」や「澳門豆𢭐」、「品尚豆𢭐」、「傣妹」、「譚火鍋」など上海市内の有名な火鍋チェーンに発送されていたことも報道されていました。

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(羊肉巻はスーパーでも手に入ります)

 そもそも、「羊肉巻」とは、肉を寄せ集めてきて圧縮し、冷凍してスライスしたもの。今までも、他の肉が混ざっているのではないか?という疑惑があったのですが、業界ではすでに知られていて、アヒルの肉に羊脂を添加して、肉らしく偽造するのだそうです。うまく偽造できているものは、鍋に肉のスライスを入れたときに、脂肪と肉が分解しないのですが、一方で、バラバラになってしまったら問題有りと考えて良さそう。

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 とはいえ、肉を混ぜること自体は、中国の法律では規制されていません。今回問題となっているのは、ネズミやキツネなど未検疫の肉が使われたこと。しかし、羊の肉を食べに火鍋に行っているのに、中身はアヒルの肉だったというのなら、消費者を馬鹿にするのも程があります。

 火鍋は、以前も、火鍋スープの使い回しが暴露されたり、罌粟の実が使われていたりと問題ありの外食産業でした。火鍋ぐらい、家でやったらいいのにと思うのですが、そうもいかないのですね。しかし、肉の原材料をしらべるためにDNA検査までしないといけない時代というのも厄介ですね。

posted by 藤田 康介 at 11:30| Comment(0) | 中国の食の安全について

2013年05月05日

動物肉の本来の売り方・中国の偽装肉の問題

 その昔、といっても90年代半ばごろですが、上海ではまだまだスーパーマーケットがありませんでした。あっても、日用雑貨や保存食を売っている程度で、新鮮な野菜を手に入れるのには、市場に行くしか選択肢がなかったのです。その当時、サラダをたべるなんて、とんでもなく贅沢な話だったのです。そもそも、生ものを食べること自体、とても勇気が必要だったのですが、なんかはるか昔の出来事のようです。

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 市場で売られるものというのは、ものすごくリアルです。この写真も、今でも上海郊外で売られている山羊の切り身ですが、自分がどの動物の、どこの部位をたべているのか、買い物に行くことではっきりと分かります。H7N9型鳥インフルエンザの影響で、上海では市場での活きたアヒルや鶏が姿を消してしまいましたが、本来は、活きている状態からその動物の健康度をチェックして、さらに調理する過程で内臓などに病気がないかを調べながら食べるのが常識でした。

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(山羊肉売り場はこんな感じ)

 でも、都市人口が爆発的に増え、肉類を食べる量が増大すると、いちいち店に並んで肉を吟味することはなくなり、いつの間にか他人が切り出してきた肉を食べるようになったのでした。そうすると、人間の本能としての「安全な食べ物を捜してきて食べる」という能力が削がれ、そのことを利用して偽装肉を売ろうとする商売人が出てくるのも十分に考えられることです。とくに、中華料理では肉類をよく食べますし、肉料理に対しての信仰も強いような感触をうけます。

 中国公安部が5月2日に発表した事件で、江蘇省無錫と上海で、偽装羊肉を販売していたグループが摘発され、アジト50箇所、容疑者63人、差し押さえられた原料や未完成品10トンというのがニュースになっていました。原料となった肉は、未検疫のネズミ・キツネ・ミンクなどで、それにゼラチンや着色料をつかって食肉らしく装い、市場などで既製品として売っていたようです。少なくとも1億5千万円ほどの儲けを得ていたとか。

 こういった肉がどういう所に流通したかは、まあ普通の上海人なら大抵検討がつくと思います。一般に、大手スーパーのブランド肉は販路が限られていて、市民の目も厳しいのですが、火鍋などの外食産業、屋台なんかは使われる可能性が十分に高い。また、完成品を売っているところも怪しい。お総菜もまた然りです。価格競争の厳しい業界などでは特に要注意と言うことになります。

 結局、ラクして食べられたり、他人の手を多く仲介して出てくる食品には、その間になにが起こっているのか検討もつかず、結局消費者は受け入れるしか仕方がないというのが今の我々の現実のような気がします。


 
 
posted by 藤田 康介 at 07:26| Comment(0) | 中国の食の安全について

2012年10月18日

中国で子供の食品汚染の影響(アルミニウム)

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油条

 最近、いくつか食に関して気になるニュースが出ていました。一つは、中央人民広播電台が報道したもので、中国の子供のアルミニウム摂取量がWHOの安全基準(1週間に体重1キロあたり2mg)を越えており、その割合が調査対象の子供たちの30%を越えているというもの。調査は、中国国家食品安全風険評価中心が行っていて、加工食品中に含まれるアルミニウムについては、11品目の6000種類に及ぶサンプルが対象となりました。一般的に、小麦を使った食品にアルミニウムがおおく含まれているといわれていますが、研究チームでは米・麦・トウモロコシなどを原料とした多孔質なスナック菓子(膨化食品)が原因ではないかとしています。

 興味深いのは、中国でも北方エリアと南方エリアとでは、アルミニウムの摂取量が違うという点です。北方の方が、南方よりも多く、平均摂取量の差は4.6倍にもなっています。また、年齢別では平均摂取量で4〜6歳が最高で、北方の方では、安全量の2.6倍も摂取していることが分かりました。基本的に、北方エリアでは小麦系が主食ですから、関係があるのかもしれません。そのため、中国衛生部では、アルミニウムを含む食品添加物13種類に対して、専門家の調査を依頼しているとのことです。中華料理の朝食に欠かせない油条ですが、これも膨らますためにアルミニウム化合物を使うことがあり、注意が必要な食品の一つです。(現在では、安全な油条も売られていますが、そもそも油条はカロリーが相当高いので、要注意な食品です。)

 アルミニウムの摂取量が過剰になると、中枢神経に影響を与え、認知症との関係が指摘されているほか、乳幼児に関しても、神経系の発育に影響を与えるとしています。



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posted by 藤田 康介 at 00:23| Comment(0) | 中国の食の安全について