2018年06月26日

奈良県一のっぽビル最上階の露天風呂

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 2018年2月15日にOPENしたカンデオホテルズ奈良橿原。
 重伝建地区でもある今井町から徒歩数分、大和八木駅前すぐの立地条件だけに、我々地元民にとっては宿泊するチャンスはそうないのですが、色々地元では話題になっているホテルだけに、ものは試しと一度宿泊してみることにしました。

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 カンデオホテルズには、私も出張時には日本各地でお世話になっていて、なかなかお洒落で、それでいて比較的リーズナブルな価格設定には重宝しています。

 中国でもそうですが、せっかくのホテル宿泊の楽しみは、ちょっとした非日常感が楽しめるところにあると思うのですが、なんせ今井町の家が、戦国時代から続く古い町並みの中にあるため、ホテルのロビーに入っただけで、凄く新鮮な感じに。この違和感が堪らない・・・。

 ホテルは橿原市役所と同じ建物で、ミグランスと呼ばれています。全国的に見ても非常に珍しい試みでもあります。まあ、それが一部の地元民の間では賛否両論になっているのですが。。。

 このミグランスが奈良県下で最も背が高いビルだ!といっても、10階建てで、日頃みている上海の摩天楼とは比較にはならないのですが、一般にも開放されている展望台もあり、そこから見える大和三山の絶景は実に素晴らしいです。今井町も眼下に見えます。

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 さて、ホテルのロビーは9階にありますので、市役所の向かい側にあるエレベーターから上へあがります。

 実は、この9階ロビーからの眺めも素晴らしく、葛城山・金剛山・二上山そして畝傍山までキレイに見渡せます。ロビー奥は朝食会場にもなっています。

 まだまだ新しい建物だけに、部屋も新しい。

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 東京のビジネスホテルではいつもなかなか上海から運んできたスーツケースが十分に広げられませんでしたが、ここなら大丈夫でした。アメニティーグッズも充実していて、ゆっくりできる空間になっています。

 私にとって旅のメインはやっぱりお風呂。
 10階にありますが、ここからの眺めも素晴らしい。
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 この日は、男湯から耳成山が一望できましたし、眼下には近鉄電車も。
 天然温泉ではないですが、景色を楽しむだけでも十分に堪能できます。

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 屋上デッキには露天風呂もあり、星空を眺めながらお風呂に入ることができますし、朝になると見事な耳成山のシルエットを眺めることができます。奈良県内でこれほど眺望がよい駅前ホテルはそうないのではないでしょうか?

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 ここのお風呂を一般開放するという話もあったそうですが、今はまだ実現していません。私の印象では、一般開放するには、根本的にお風呂が小さすぎるような印象です。果たしてどうなるのでしょうか?まあ、そこそこの値段にはなるでしょう。

 朝食もビュッフェスタイルですが、工夫されていてなかなか充実していました。インスタ映えする内容かも。

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 地元の食材を使った料理もありましたが、個人的にはもう少し奈良の特徴を出して欲しかった。お粥もありこれは朝の胃にはとても優しくて良いのですが、たとえば「茶がゆ」を紹介しても良いだろうし、三輪素麺なんかもあっても良いのにとも思いました。

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 ここは修学旅行生など団体様が利用するホテルと言うより、個人や小グループの観光客やビジネス客が利用するのにちょうど良い、比較的ゆったり出来るホテルだと思います。ターゲットの客層については、地元の間でももう少し議論されても良かったでしょう。それぞれの層にあった施設が必要なのです。

 地元の人も、素晴らしい大和盆地の眺望を楽しみ、バリエーション豊富な朝食を楽しみ、ちょっと気分転換にT泊するというのも十分ありだとは思います。今のところ、お風呂も朝食も宿泊客限定になっていますし。


 ただ、残念だったのは、地元橿原市を紹介する要素がホテル内に余りにも少なかったこと。せっかく耳成山が一望できる浴場なのに、その紹介はなかったし、客室内にも解説書などもありませんでした。ホテルから歩いて数分でいける今井町の紹介もあまりなかったし、ちょっと残念。1階には観光案内所もあるのですが、果たしてどれだけの人がこれに気がつくのかどうか?

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 この日は、東京出張から戻ってきたすぐだけに、都内の正直バカ高い割には部屋の小さいビジネスホテルと比較すると、とてもお値打ち感がありました。

 今まで、外国人の友人を連れてきて、今井町周辺に宿泊するとき、地元の旅館も紹介したことがあるのですが、あまり外国人に慣れていないのか、言葉の交流に問題があり、携帯電話片手に必死に通訳をしたこともありました。確かに、それもよい経験と言えばそれまでですが、こうして外国人でも安心して宿泊出来るようなホテルが、近鉄大和八木駅前に出来たことは非常に意味あることだと思います。おもてなしをする側に関しても安心感が違います。その割には、PRが少ないなあとも思います。

 なんといっても、大和八木駅からは、関西空港まで直通約1時間のリムジンバスが走っていますし、奈良県の玄関口としても、決して遜色ないと思います。

 これからの発展を期待します!

公式HP:カンデオホテルズ奈良橿原

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 日本の温泉

2017年08月23日

奈良県東吉野村で体験した古民家泊の魅力〜逢桜(ほうおう)〜

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 今、中国沿海部の長江デルタエリアでは「農家楽」がブームになっています。農家や使われなくなった古民家を再利用し、都会からきた人たちに泊まってもらう仕組みで、私も中国ではよく利用します。魅力はなんといっても地元の人々の日常に溶け込めることができるのと、ホンモノの地元の食。中国では地方政府も農家楽に対して財政面や法規制面で協力しています。で、私も日本国内を旅するときも、できるだけ旅館や民宿など個性が強い宿泊施設を利用するようにしています。もちろん、当たり外れもありますが・・・、結果的に、これが毎回旅に楽しさを添えてくれますし、旅することで過疎化の進む地元活性化に一役買えるのではないかと勝手に思っています。

 前置きはさておき、今回高見山登山の帰りに東吉野村で宿泊した「ゲストヴィラ逢桜」は、まさに日本のおもてなしを凝縮したような、肩肘の貼らない奈良の古民家泊の魅力が詰まっていました。
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 材木の街だった東吉野村にふさわしく、なんと3,000坪の広大な敷地に、明治初期に建てられた築145年の母屋を中心に、戦後の建築、先代の世界旅行からのヒントで生まれたスイス風の洋館、そして広大な日本庭園の絶景と茶室とまさにフルセット。ここ東吉野村にはとんでもない豪商がいたんだということを実感させられる邸宅に宿泊できるのです。しかも、1日2組限定という贅沢さ。

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 とても広いお部屋で、しかもお値段が比較的お手頃で、道理で中国など海外からもお客さんが来られるわけです。あとで聞いたら、なんと私の上海人の友人も、さりげなく宿泊していて驚きました。1日2組限定ですが、部屋は川側と庭園側と選べます。私たちは、日本庭園をじっくりと楽しみたかったので、母屋となる庭園側にしました。

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 また、さらにすごいのは温泉が出ているというところ。厳密には源泉の温度が低いので温泉の定義には当てはまりませんが、ご自身で高濃度の炭酸ガス彷彿間欠泉を掘り当てられたそうです。現在のご主人の代で作られたという木の香りがする浴室が魅力的で、眼下には川があり、川の音を楽しみながら貸しきりのお風呂を楽しめます。

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 夜は、奈良県人でもなかなか食べられない地元和牛のすき焼きをいただきました。
 脂っぽくなく、それでいて柔らかい、とても美味しい牛肉でした。

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 私個人的には、懐石料理や創作料理よりも、一般的なメニューのなかで、他との違いを出してくれる食材の食べ方が好きで、今回のすき焼きも美味しかったです。
 中国の地方の田舎料理なんかはとくにそうですが、調理方法はシンプルでも、素材の種類の豊かさで食を楽しませてくれる方が嬉しく感じます。

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 そして、夜は今時かなり珍しい蚊帳の中で寝ました。庭園の水も沢の水を引っ張ってきていますから、そもそも蚊がほとんどいません。網戸も窓も開けっぱなしで、開放感抜群で眠りに入りました。網戸の隙間を気にするよりも、人が蚊帳のなかに入ってしまったほうが楽ちんでいいですよね。

 奈良の茶がゆでの朝食のあとは、茶室で御抹茶をいただきました。

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 うちの娘は、抹茶が大好きで、実は密かにこれをかなり楽しみにしていました。立礼(りゅうれい)式でご主人が直々にお手前して下さいましたが、なんとテーブルが法隆寺の門のだったとか。本格的な茶室で、床柱には独特な形のナンテンの木が使われていました。

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 古民家からはじまり、温泉、郷土の味、そしてお茶席まで。一つ一つがご主人自らがおもてなししてくださり、楽しくかつアットホームな1晩を過ごすことができました。ご主人との会話がとても楽しかったです。

 この宿のご主人も仰っていましたが、今、中国を中心にアジアの富裕層はインターネットで観光地や宿の情報をみつけてやってきます。私もそうですが、CTRIPなど中国の大手旅行サイトは非常に充実していて、日本の旅館や民宿もそうしたサイトとの連係はとても大切だと思います。
 日本でも僻地に行けば行くほど、いま外国人の若者に人気の「秘境」の価値観が高まるわけです。さらに、そういうとことにわざわざ行くような中国の人たちですから、日本文化への理解も深く、マナーなどもしっかりとしていて、むしろ日本人よりもちゃんとしているかもしれないよ、とも言われました。今やそういう時代になってきているのです。

 この東吉野村ですが、大阪へ出るのにクルマでたった1時間ちょっとという距離なのに、かつて人口1万人近くいた村民は、いまやたった1600人。これでは流石に村内の経済を回していくのが大変でしょうし、日本の人口減少の現実を思い知らされました。

【データ】
HP:GUEST VILLA 逢桜
住所:奈良県吉野郡東吉野村小川876

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 日本の温泉

2016年12月21日

源泉がさすが、三重県津市の榊原温泉「湯の庄」

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 日本に出張で戻ったとき、少しでも時間があったら寄っておきたいのが各地の温泉。上海暮らしからすると、スーパー銭湯はあっても、本物の温泉はなく、実際に温泉に行こうと思ったら1泊2日しないとまず無理で、天然温泉に行けたとしても本物?と疑いながらの入浴になるわけです。日本には本当に気軽に天然温泉に行けてしまいます。近畿地方・東海地方もまた然り。

 ちょうど冬至の日に、母親をつれて三重県中部に位置する榊原温泉まで行ってきました。小学生時代は三重県で暮らしていたので、このエリアは結構お馴染みなのですが、最近は青山高原を越えることはまずなく、30年ぶりぐらいに津市にある榊原温泉を訪れてみました。今回訪れた日帰り温泉は、湯本榊原館にある「湯の庄」です。

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 榊原温泉の旅館館内と敷地内で湯量の豊富な源泉がそれぞれ1箇所ずつあり、泉質はアルカリ性単純泉。温度は30℃ぐらいと低めなのですが、肌への感触がものすごく良いです。そして入浴しているとほのかに硫黄の香りもしてきます。

 ここのお風呂の入り方のポイントは、何と言っても低めの源泉風呂と加温されたお風呂を交互に入浴法だと思います。といっても全くの冷水ではなく、30℃ぐらいありますので、十分に浸かることができます。交互に入っているうちに、徐々に身体の芯から温もってくるのが感じられると思います。

 別料金になりますが、展望露天風呂もあります。こちらは、榊原温泉の集落全体を見渡せるロケーションになっています。

 風呂上がりに、近くを散歩してみるのも良いかもしれません。

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 この「湯の庄」から少々歩くと、射山神社があります。その近くには江戸時代に大規模な湯治場があったようで、なんと自然湧出していた温泉を浴槽に入れていたとか。何の病気を治療したか詳細な記録はありませんでしたが、少なくとも湯治として使われていたのは間違いなさそうです。そのため、京都などから公家など身分の高い人も湯治に訪れたため、かなりきっちりとした施設が作られていたようですね。

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 その他にも伊勢神宮にお参りする前に身を清めるために湯ごりの湯として使われたとか、清少納言の『枕草子』に七栗の湯として紹介されたとか、さすがに歴史が長いところだけに、いろいろなエピソードがあります。それだけに、湯治として伝統医学的がどのように活用されてきたのか興味が出てくるところです。

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 このように温泉はとても素晴らしいのですが、まわりはあまり温泉街といった感じはしません。温泉郷の集落を歩くと結構気持ちいいのですが、歩いているような人には殆ど出会いませんでした。いくつか規模の大きな旅館もすでに閉館してしまっており、少し寂しい感じです。

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 とはいえ、榊原温泉は今でも素晴らしい温泉が出ていますし、源泉にもそのまま加温無しで入れますので、非常に価値ある温泉で、これからもぜひ源泉を守っていって欲しいと思いました。源泉を神様のように大切にする日本の湯治文化はとても貴重です。

【データ】湯本榊原館


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