2016年12月09日

上海金山にOPENしたスーパー銭湯「虹の湯」に行ってきて

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 中国人が日本に頻繁に行くようになって、日本の温泉や銭湯の文化、特に「お風呂に浸かる」という楽しみは、徐々に知られてくるようになりました。そして、上海の中心部では「極楽湯」も進出し、日本式のスーパー銭湯を体験できるようにもなりました。私が上海に来た90年代のころ、大学の宿舎にはバスタブがなかったので、日本に帰る楽しみが「お風呂」だったので、本当に考えられないようなことです。奈良出身の私ですので、当時から奈良に戻ったら「虹の湯」にはお世話になっていました。実家から近いですし、奈良中南和地区にある天然温泉というのが非常に貴重だったのです。

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 そして、今回は、地元奈良や大阪に進出しているスーパー銭湯、「虹の湯」が上海に進出しました。それも、上海中心部ではなく、上海郊外の海沿いの街、金山です。浦東の我が家からは80キロ以上ありました。でも巨大都市上海では、決して遠い部類には入りません。

 「なぜそんな郊外に」と思われるかも知れませんが、上海郊外に正真正銘の日本式のスーパー銭湯をOPENさせたということは非常に意義のあることだと私は思います。

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 そもそも「虹の湯」とは私自身とも不思議なご縁があります。

 まず、上海の虹の湯の総経理の呉さんは、日本の温泉に魅せられた正真正銘のお風呂好き。

 今から10年ほど前、上海で日本人の女性編集者が私のところに来られ、雑誌の取材を受けたのがきっかけで、いろいろ話を聞いてると、なんと彼女が私の中学時代の後輩!

 地球って本当に小さいんです。

 さらに彼女の中国人の旦那さんが私と同様、無類の温泉・お風呂好きだそうで、じゃあ一度会ってみようということになり、これが呉総経理との最初の出会いでした。その10年前当時から彼は中国に日本式のスーパー銭湯を作るぞと情熱に燃えていて、初めてお会いしたときからそのお風呂に対する熱い想いには感服しました。私は当時はまだ正直半信半疑でしたが(失礼)。

 とはいえ、呉総経理と出会いいろいろと交流を深めている中で、奈良にすごいスーパー銭湯の経営者がいるぞ、という話になり、彼から紹介して頂いたのが虹の湯の大原会長でした。しかも、これまた偶然でも偶然で、大原会長は奈良の実家のすぐそばにお住まいで、すべてが上海と奈良中南和の狭いエリアで繋がってしまったというなんといもいえない「ご縁」があったのでした。

 そして、呉総経理もその後、着実に日本と中国の温浴業界に人脈を広げていかれ、会社も設立され、夢の実現に着実に前進されました。10年の時間がかかりましたが、2016年12月8日に見事、上海金山に「虹の湯」をOPENさせました。「好きなことをとことんやっていく」という彼の精神には私も感服しました。素晴らしいことです。

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 そんなご縁もあり、12月8日のオープニングセレモニーには、大原会長・呉総経理とともに参加させて頂き、オープニングのご挨拶とテープカットをさせていただきました。大変光栄なことです。

 上海では「極楽湯」が先行していますが、この「虹の湯」では、呉総経理のアイデアで、いろいろと新しい試みが行われていることが分かります。

 まずは値段。金山エリアは、まだまだこれから発展するエリアでもあり、物価も上海中心部よりはかなり安い。そのため、値段設定も控えめになっています。中に入っているレストランもまた然り。地元の人たちに来てもらうのには一番大切なことです。

 そして、人々が集まりやすいショッピングモール内にあるというのも特徴でしょう。ショッピングモール内にスーパー銭湯というのはちょっと意外に感じるかもしれません。そもそも中国では、以前からいろいろなタイプの入浴施設があったのですが、どちらかというと不潔でなんとなくイヤらしいイメージがあったのです。でもショッピングモール内に作ることで、若い女性も子供も気軽に利用できるわけです。しかもランドマークの施設だったら見つけやすいですしね。

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 さらに、裸で入るエリアと、水着で入るエリアを分けています。中国人は男女別々に入るよりも、一緒に入りたい人が多いのです。よって、公共スペースには岩盤浴はもちろん、さまざまな温浴施設を設定しています。マッサージ風呂や電気風呂、階段風呂、寝湯なんかも水着スペースにあります。ただ、今後の利用者の増加を考えるともう少しスペースがあった方がいいようにも思います。

 お薦めは階段部路。上部が熱めで、下に行くほど温度が下がるのですが、浴槽の深さが日本人にとってはちょうど良くて入りやすいです。

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 裸で入るエリアでは、お風呂に入ることに重視されています。41度ぐらいの熱めのお風呂以外にも、38〜9度ぐらいのぬるめのお湯も。医学的な立場から、私は38度ぐらいのお湯をお薦めしていますが、ここのお風呂の温度はちょうど良いです。

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 VIP室の設定も中国では大切です。なぜなら中国人は家族や親戚で娯楽を楽しむ人が多いからです。冬と言うこともあり、こたつもありました。仲間同士で楽しむことができるようにすることは中国では必ず必要です。民宿などでも1棟貸し切ったりするぐらいですから。

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 もちろん、広い休憩室や日本料理のレストランも完備されています。こういうスペースは、日本式にこだわるのではなく、中国人の人たちの習慣にあわせてあげる必要があります。オープン当日とはいえ、結構沢山の人が来られていました。

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 中国も広く、地域によって文化が違いますが、少なくとも上海エリアでは日本人がよく言う「裸のつきあい」が浸透しているわけではありません。裸でお風呂に入ってワイワイするということは上海ではありませんし、ましてや金山の地元の人の間ではまだまだ知られていません。でも、オープニングにやってきた地元の人たちの顔をみるととてもとても幸せそうです。

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「露天風呂に入ることがこんなに気持ちいいんだ!」ということをぽろっと漏らした地元のおじいちゃんの声が印象的でした。

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 金山の人たちは、これまた素朴で温かい感じの人たちが多く、土地柄的にも家族や親戚の繋がりが強いところです。実は、上海金山の虹の湯の目の前には立派な「万寿寺」という非常に有名なお寺があり、春節とかイベント時には多くの地元の人たちで賑わうでしょう。地元の人たちに愛される、正真正銘の「裸のつきあい」ができるスーパー銭湯に成長していってほしいと願います。

[以上の写真は許可を得て撮影]

【データ】上海市金山区城河路230号 易家中心6号楼
     営業時間 11:00〜深夜1:00
     電話 021−67268555

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posted by 藤田 康介 at 07:46| Comment(1) | 中国の温泉

2015年02月23日

貴重な源泉、彝族の聖地、雲南省巍宝山(ぎほうさん)の秘湯

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 雲南大理州の秘湯巡り。
 秘湯だからといって、いつでも温泉に入れるといったらそんな分けにはいきません。でも、今度きたら絶対入りたいと思う、そんな秘湯を、彝族の聖地巍宝山(標高2550メートル)の麓に見つけました。

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 春節期間中だったので、巍宝山は大変な人がいるかと思いきや、観光客は殆どおらず、地元彝族の人たちが登りに来ている程度でした。

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 大理からはクルマで2時間ほどのドライブでした。道路はまずまずですが、アップダウンが激しいので注意が必要です。

 これがまた素晴らしい聖地で、身も心も洗われるような山でした。娘も上まで踏破できました。今回の雲南の旅では、山登りは2回目です。

今回は残念ながら中国の国の文化財になっている長春洞は修繕中で見学できず、また次回ですね。

 この巍宝山の麓に、じつは隠れた秘湯があるということは、地元の人から聞いていました。ただ、どこに有るか分からない。さんざん聞き倒して見つけたのがこの温泉でした。

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源泉は1箇所だけで、温度は50℃。地元の人によると、その昔、このあたりを治めていた南詔国の王様が母親のために温泉を見つけ出し、その後は王妃と王様両方がそれぞれの風呂をつくり、それが現在にまで残っているという雲南省の文化財となっている温泉であることをしりました。1400年の歴史があるそうです。

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 ただ、お湯の量が少ないので、前日に予約をしないと入れない温泉ということで、湯守の人の電話番号をもらい、次回チャレンジすることにしました。

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 立派な岩で作られた浴槽のすぐ上にお湯を貯めるところがあります。この日は、ちょうど前の人がお湯を全部使ってしまったあとで、殆どお湯が残っていませんでしたが、真っ白な湯ノ花が小ぶりついた源泉は見せてもらえました。湧出量が少ないようです。

浴室の建物の中は、半露天風呂式で、3つの部屋に区切られていました。お湯はアルカリ性で、皮膚によいといわれているそうです。少量だったら飲泉も可能ということでした。

 しかし、雲南には貴重な温泉が残っていますね。どれも山の中の非常に見つけにくいところにありますが、地元の人の話を聞くと、とても由緒あるものばかりです。

 団体旅行では分からない中国旅の魅力。それはまだまだ未開の場所がたくさん有ることに尽きるのではないでしょうか。まさに秘境中の秘境でした。

4月までの日本と中国各地への出張スケジュールが出て来ました。↓をご覧ください。
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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 中国の温泉

2015年02月22日

雲南大理州牛街温泉の秘湯と湯治文化・チベット族とお風呂(2)

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 雲南省の大里州洱源(じげん)牛街温泉が有名なのは、春節になるとシャングリラからチベット族の人たちが温泉に入りにやってくるからです。かなり前からこの習慣はあるらしく、そのために公衆浴場が「牛街温泉公園」として整備されています。

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 チベット族の人たちは、ここで10日間ぐらい過ごし、毎日2回温泉に入ります。私も何回かチベット族のグループに出会いましたが、男性は腰にナイフをぶら下げているので、すぐに区別できます。

 ちなみに、今現在の交通機関では、シャングリラから牛街まではバスで半日の道のりで、9時頃に出発すると、お昼過ぎには到着するのだそうです。

 私がここで感動したのは、なんといっても源泉が浴槽のすぐそばにあり、豊富に流れてきているということ。そして、ちゃんと管理人の地元の人がいて、1人1回3元の料金を回収していました。

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(源泉が流れてくるところ)

 入り方は日本の古い公衆浴場とおなじで、洗い場と浴槽がドッキングした感じです。服を脱いだらすぐに浴槽にはいるわけで、掛かり湯用のしゃくもありません。入浴は原則裸ですが、べつに恥ずかしかったら水着や下着のままで入ってもいいらしく、だれも注意しません。
 しかし、絶対だめな注意事項はあるようで、壁には罰金付きで張り出されていました。

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 つまり、1.浴槽内で洗濯禁止。2.浴槽内で痰を吐かない。3.浴槽内ではゴミを捨てない。違反したら5〜10元の罰金ということでした。

 とはいえ、それ以外のことはべつに良いらしく、あとから来たチベット族のグループは、お風呂に入りながらタバコを吸っていました。(^_^) タバコは良いみたいです。

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 チベット族の喋る言葉は、中国生活20年の私でもさっぱり分かりませんが、お湯が使ったそうで、足を入れたときに「あちー」といっていました。お、日本語と同じとか思ってしまいました。
 それでも彼らは普通語を喋るので交流できます。そのうち、お互いで背中をマッサージし始めました。

 ちなみにこの温泉ではまったく加水しなくても、浴槽ではちょうどいい温度になっていました。

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 考えてみれば、日本式の温泉入浴方法はあまりにもこまかすぎて、それが世界的に特殊なのかもしれませんね。1000年の歴史のあるこの牛街温泉も、とってもアバウトなルールでお風呂に入っていたわけです。昨今、日本の温泉が世界中で人気があるわけですし、しっかりと外国人に教えてあげる必要があります。

 さて、この公衆浴場は「袪風塘」と呼ばれています。中医学的には、風邪(ふうじゃ)をとるという意味ですが、チベット族の人に聞くと、肩こりや腰痛・腰痛などにてきめんだそうで、内服すると胃腸病に確かに効くと言うことでした。

 公衆浴場のすぐ側に源泉があるというのはいいことです。地元の人は、温泉の湯気を顔にあてて、目の疾患の治療にも使うと言っていました。

 男女別に分かれた公衆浴場は、定期的に水を抜いて掃除もしていました。地元の人によって、そして利用者によって大切に守られている温泉であることを実感しました。

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 牛街温泉の表通りは、一応小さな温泉街になっていて、さまざまな旅館が軒を連ねていました。名物料理は豚足鍋。これは美味しかったです。

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