2013年06月19日

久しぶりに上海極楽湯の人工炭酸泉へ

 上海ではすでに猛暑到来。35℃を超える毎日です。とにかく暑い。暑いときは、気になるのが光化学スモッグ。やはり、データを見ているとお昼過ぎぐらいから大気中のオゾン濃度が急上昇しています。午後の活動には要注意かと思います。

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 さて、南九州をこれでもかというぐらい温泉巡りして、大浴場にはもうしばらく行かなくてもいいのでは、とか思いながら上海へ戻ってきたのですが、でも2週間もすれば免疫力が切れてしまう私です。久しく行っていなかったので、上海の極楽湯へ行ってきました。


 金橋エリアは、金橋立体交差が中環状線の延長工事の関係で取り壊しになり、新金橋路にある極楽湯にはどうやって行こうかとちょっと悩みましたが、なんてことはなく、碧雲路から新金橋路へは抜けることができました。金橋路の先が通行止めになっているだけでした。

 極楽湯に行くのは、やはり平日の午後が一番空いています。また、夏になると上海人もお風呂にあまり入らないので、(シャワーで済ませる)ある意味狙い目かもしれません。

 先日も、大分の長湯温泉に行っていましたが、私の極楽湯での楽しみは、やはり人工炭酸泉に入ることです。上海ではそう簡単にありませんからね。

 炭酸泉の魅力は、なんといっても水温が低く、長くお風呂にはいっていることができること。細かい泡が皮膚にこぶりついてくることでよく分かります。また、二酸化炭素の作用によって血管が拡張され、交感神経を抑制し、副交感神経を刺激できるのが入った本人もすぐに実感できます。副交感神経を優位にさせることは、消化・吸収・分泌・排泄のコントロールによく、たとえば糖尿病と関係のあるインスリンの分泌も促進されます。また、リラックス効果は間違いなく期待できます。頭がヒートアップしたときは、ぬるめの炭酸泉が効果的なのです。しかも、悪名高き上海の硬水が軟水に変換されているので、日本の銭湯に入った感覚にも近い。

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 さて、久しぶりに来た極楽湯ですが、日本の漫画の数が大増殖していました。湯上がりには、エアコンの効いた広間で、マンガを読んでもらおうという試みですね。従業員さんの「いらっしゃいませ」の声は一層大きくなったような印象。ここに来れば、日本文化を体験できる、そんな空間になっていますね。

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 ただ、中国人の入浴マナーはまだまだ浸透していません。わたしも、炭酸泉に浸かりながら、じっと観察していましたが、まず入浴前に掛かり湯をする人が少ない。というか、今日に関してはしている人の方が少なかった。でも、お風呂を出るときにはほぼ100%掛かり湯をする。このあたり、もっとPRしてほしい。おそらく、多くの地元民は悪気はなく、知らないだけだと思います。日本の温泉地も、掛かり湯に関しては徹底した方がよい。ちなみに、掛かり湯の入っているカメにもザブンと浸かっている人がいたのには驚き。(O_O)

 ずっと見ていると、年老いたおじいちゃんをつれて、入浴にきている若者の姿もいました。上海では、中高年以上がお風呂に浸かる習慣があまりないので、若者に連れられてじゃないと、来にくいでしょうね。根本的に、日本と客層が違う原因です。

 とはいえ、みんな気持ちよさそうにお風呂に入っていました。36℃ぐらいの人工炭酸泉だと、外とあまり温度差がありませんので、心臓への負担も優しそうです。



 
posted by 藤田 康介 at 06:56| Comment(0) | 中国の温泉

2013年02月20日

中国人の反日、日本人の反中〜上海の極楽湯を見て

 今日は1日中どっぷりと診察に励みました。中国人の患者さんもぼちぼちと戻ってこられています。そして、夜20時に最後の患者さんの診察を終えると、一風呂浴びにクリニックのある浦西の中山西路から極楽湯のある浦東の新金橋路までクルマを走らせました。
 上海っていう街は、大きいようで小さい。内環状線をバーと飛ばせば、あっという間に東の端まで行けてしまう。それが、よく渋滞するから遠く感じてしまうだけなんですよね。

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 日本・中国の温泉研究をしている私は、OPEN初日にこの上海の極楽湯に行っているのですが、それから2週間あまりがすぎ、春節の連休も終わった状態でどうなっているのだろうというのも、一日本人としてちょっぴり気がかりでした。これだけ、日本のテレビやインターネットで中国人の「反日」について報道・論評されていて、もしや閑古鳥が鳴いていたらどうしようか・・・・、とは正直一度も思っていません。だって、大きなお風呂が気持ちいいのは万国共通ですから。

 案の定、200台入ると言われている駐車場は夜9時頃にいったのにも関わらず、ほぼ満車。駐車スペースを捜すのにちょっと苦労したぐらいです。(ちなみに、現在はまだ23時終了)

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(浴衣姿の上海小姐は、なぜかここで記念撮影をする人が多い)

 さて、OPENから2週間経って、いろいろ改良されていました。まずは、浴衣を借りるところでの手ぬぐいの貸し出しはなくなりました。これは正解だと思います。日本の銭湯だったら、タオルで急所を隠して入る人などをよく見かけますが(男湯の場合)、中国人は基本的に隠さない。体を洗うときにもタオルをあまり使っているように見えないし、基本的に手ぬぐいは必要ない。タオルがなければ、タオルを水に浸ける心配はゼロになりますから、これでいいと思います。

 また、中国人は掛かり湯をしないと勝手に思い込んでいましたが、私がみる限り掛かり湯率は予想以上に高い。要は、入り口にちゃんと掛かり湯する場所を作っておけば、できるものなのです。無理のない動線を作っておくことが大切なのですね。

 男湯では、男性諸氏が何人か友達をつれてきて、お湯の中で談笑をしている姿は、まさに日本の銭湯となんら変わらない雰囲気です。日本風の音色のBGMの中で、ああ、日本のお風呂文化も中国人に受け入れられているなあ、と思いました。

 ただ、やはり精算の問題はまだ解決されていませんでした。なんせ、中国人は極楽湯でもよく消費しています。ざっとまわりをみていても、一家族3人で700〜800元(1万円前後)は使っていました。そのため、精算するときの項目チェックに時間を費やすので、長い行列ができていました。この精算の行列については、私の多くの中国人の友達も文句を言っていましたので、改良すべきでしょう。
 また、靴の受け取りはかなり改善されていましたが、これもまた別の中国人の友達が、靴を間違えられて履く靴がなく、怒っていました。結構高い靴だったらしく、結局弁償してもらうことになったと言っていましたが、そういうトラブルにはくれぐれも気をつけて欲しいですね。

 最後にこの上海の極楽湯の賑わいをみて思ったこと。

 まずは、大胆に日本を打ち出して、極楽湯は一応成功しているのではないかと思います。今日本にいる一般的な日本人だったら、中国人=反日と思い込んでいるかもしれませんが、それは過激派をみて日本は怖い国だと思うことと同じです。

 これからの中国は、単なる工場としての中国ではなくて、色々な娯楽や消費を享受する場所に変わりつつあることは間違いありません。すなわち、良質でかつ創造性のあるサービスが求められ、上海など中国の大都市で成功することの重要性がブランドとして増してくるのではないかと思います。おそらく、この極楽湯は日本文化を発信する一つの基地として、中国で重要な役割を果たすのではないかと思います。そして、その成功をみて、きっと中国各地に日本風のスーパー銭湯が登場するのではないかと思います。
 すでに、私の中国人の親友達が会社を起こして温泉コンサルをはじめており、各地の温泉をプロデュースし、ビジネスとして成果を挙げはじめています。日本の温泉業界もぜひ頑張って欲しいと思います。

 ちょうど、日本人が反中といいながらも、ラーメンや餃子など日本風にアレンジした中華料理を楽しむように、中国人も反日といいながらも日本文化をどんどん楽しむようになるでしょう。そして、中国風にアレンジされていって根付くはずです。

 反日というのは、誰の誰に向けられた反日なのかを十分に理解しなくてはいけません。逆に、反中に関してもそうです。日中双方のマスコミや評論家同士の報道や論戦合戦、さらに両国の政治家同士の論争に対して、庶民はほとんど関係ないのです。特に、クールな中国人は政府と一定の距離を置いています。冷めているのは、ひょっとして中国人のほうかもしれません。まあ、ときどき日本人である私にからかいに来ますが、それぐらいかわいいものです。(^_^)


posted by 藤田 康介 at 01:01| Comment(1) | 中国の温泉

2013年02月06日

上海の極楽湯でホッと一息

 奈良県人として、ちょっと注目していた極楽湯。1998年に奈良に直営店がOPENして、ついに上海にまでやってきました。そして、2月6日に上海浦東新区の金橋エリアにOPENしたばかりの極楽湯に早速いってきました。ちょうど、前日に「ガイヤの夜明け」で上海の極楽湯を紹介していて、温泉研究家の一人として、興味津々にエピソードを見ておりました。
 2月6日は水曜日で、私は朝から晩まで診察している日。日中にはとても行けないので、仕事も終わった夜8時頃に徐匯区の中山西路にある中医クリニックから、一路クルマを運転して浦東新区までワープ。さすがに、旧暦の師走の上海は高架道路道路もガラガラに空いていて、30分ほどで到着しました。

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 今、上海ではちょっとしたSPAブームかも。我が家の近くには、お馴染みのニュースター(韓国系?北朝鮮系?)の3店舗目ができていたし、そこからクルマを15分ほど走らせると、今回の日系の極楽湯に到着します。欧米人が多くて、ちょっとしゃれた金橋エリアのすぐそばにあります。

 駐車場はクルマ200台駐車可能なので、今日も問題なく駐車できました。これはありがたいし、郊外型のSPAはこれからは駐車場が絶対必要です。

 さて、エントランスには立派なのれんが掛かっていて、おお!日本のスーパー銭湯に来た!といった感じです。くつを脱ぐ形式は日本と同じ。靴のお札をもって、受付で鍵を受け取り、さらに浴衣を選ぶ感じになります。やはり、靴を脱がないと清潔感は保てない。ただ、地元中国の方は足の臭いを気になさる人が多く、脱ぐのはちょっとと言う人も。ニュースターとちがって、こちらはカーペット敷きでした。浴衣は8種類から選べるというもの。このあたりはさすが日系ですね。

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 ロッカールームも清潔。電子式の鍵付きのロッカーでした。土足でないので、こういうところに差が出てきます。水着も必要なく、素っ裸でさっそくお風呂へ行きました。

 ウワサ通り、まずは掛かり湯。これでもかというほど説明が書かれていて、今日の所は大部分の人はマナーが守られていましたが、日本式入浴方法は確かになれなければ面倒。
 内風呂には高濃度炭酸泉や、日替わり風呂、絹水素風呂、もちろん露天風呂までありました。上海の硬水は軟水に変換されていて、これが肌にきもちいい。我が家のお風呂は、悪名高い上海の水道水対策として浄化装置を2つ使っていますが、さすがに軟水にまではしていません。軟水にするだけで、これだけ感じが違うのですね。ちょっと感動しました。

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 炭酸泉の研究(一応、日本温泉気候物理医学会に所属)をしている私としては、大きく面積がとられた高濃度炭酸泉の浴槽は嬉しかった。お湯の温度が高くなくても、じっくりと温もることができますからね。

 そのほかに、垢すりのエリアや大きなサウナ室などもあり、とっても良い感じに仕上がっていました。洗い場も大きいので、使いやすかったです。

 露天風呂に関しては、おそらく私の知る限りでは、浦東新区では初めてではないでしょうか。ニュースターにもありませんでした。露天風呂には、極楽湯の五右衛門風呂も。ご丁寧に、五右衛門風呂の由来も紹介されていました。ただ、あまり認知されていないのか、入っている人はまばらでした。でも、露天風呂はいいですね〜。ああ、これでスーパー銭湯に来たという感じに。また、ここが本当に上海なの?と錯覚を覚えてしまいました。(^_^)

 さて、風呂上がりは浴衣に着替えて、館内を散策。日本の工芸品の展示・販売コーナーがあったり、エステのコーナーがあったり、結構充実。そして、さまざまな岩盤浴が楽しめる大きな広間では、くつろげるような工夫がされていました。もちろん、日本料理などのレストランも。休憩室のテレビでは、すべてNHKが流れていましたが、これは現地の中国の人たちにはどう映ったか。日中関係が微妙な時期だけに、私は色々余計な心配をしてしまうのでした。

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 いくつか気になった点もありました。確かに、従業員の教育はよくされていると思うのですが、これを中国という文化背景で維持していくことは大変だと思います。なんせ、働いてはすぐやめるという風土ですからね。さらに、一番気になったのは最後の会計から靴を受け取るまでの動線。今日は初日の夜だけに人が少なかったからよかったものの、もし人が多かったらかなり大変なことになるのではないかと思いました。特に、靴が出てくるまでに待たされるタイミングがあるので、馴れていない人は注意が必要です。

 でも、私も中国各地の温泉や浴場を体験していますが、日本人の我々からすると、いつもの感覚で利用できるスーパー銭湯だけに、よかったと思います。少なくとも、日本のお風呂文化を広めるには大切な場所になるのではないかと思います。割引きの会員カードも作ったので、ちょくちょく行くことになりそう。。。。仕事を終えてのひと風呂にはいいですね。

思えば、1996年に初めて上海に来た頃、お風呂に入るというのは本当に贅沢なことで、そもそも浴槽すらないというところが多かった。私も、年に数回、日本に帰るときだけが、お風呂に入ることのできる至福の楽しみでした。それが、いまや日本式のスーパー銭湯まで上海にできてしまい、いろいろと選べるようになりました。

 何度もいいますが、中国では何かをはじめるのは難しいですが、継続することはもっと難しいです。日本文化の象徴として、今後も見守って行きたいと思います。

【データ】極楽湯碧雲温泉館
 営業時間(プレオープン中):11:00〜23:00
 住所:上海市浦東新区新金橋路600号
 電話番号:021−38751245
 HP:http://www.gokurakuyu.cn
料金:大人128元 子供46元
 

posted by 藤田 康介 at 01:34| Comment(3) | 中国の温泉