
いまや都市部の再開発は、中国在住歴が長いものにとってとくに珍しくもないのですが、自然豊かな農村部の変化は、毎回いろいろあって興味深いです。
今日訪れている浙江省桐廬にある白雲源村には、このあたりを旅するときによく宿泊する宿があります。ここでもそうなのですが、農家の夜はとっても早い。
確かに一日外で活動すると4時過ぎにはお腹が減ってくるわけで、その時におやつを食べるぐらいだったが、さっさと晩ご飯を食べてしまえというのがこちらのやり方です。

4時半にご飯を食べ始めると、5時半には後片付けも終わってしまう。こういう生活はとっても健康的だと思います。食後から寝るまでに時間もたっぷりありますし。そのまま、麻雀に勤しむ人たちもいました。山の中ではできることも限られます、
そこで、私も食後の散歩に村の様子を見て回るのですが、そのなかでとっても賑やかな場所がありました。それが「農村淘宝(タオパオ)」のサービスセンターだったのです。

今話題のアリババ集団が、農村ビジネスの一環として力をいれている仕組みで、今後3〜5年以内に100億人民元を投資して、1000箇所の県と10万箇所の村にサービスセンターを設置し、農民達へのインターネットサービスを手助けしようというものです。
中国の農村といっても、なかなかイメージできない日本人は多いと思いますが、昨今の長江デルタエリアの農村は明らかに新しい発展の仕方をしています。農業だけでなく、民宿などをして様々な副業を持っている人も多く、収入源もさまざま。一定の現金収入を持っている人が多いのですが、農村というだけあって、物流や移動に大きな問題を抱えていることも多いのです。つまり、お金を持っていても、それを有効的に効率よく使うことがまだ難しいのが現実なのです。

そこでアリババが着目したのが、そうした農民達の生活を改善するのにネットを活用使用という試みが、「農村淘宝」というわけなのです。

村にサービスセンターを設置して、実際にインターネットに詳しい係員が常駐していました。ここで、ネットショッピングでの買い物や、農産物のネット販売、さらには商品の受け取りや、バス・列車・飛行機などの購入代行もしてくれます。

現在、農民が実際にこういうことをしようと思ったら、長い時間をかけて街に出たりする必要があり、あっさりとネットで代行購入できたら時間も節約できます。なにより、自分たちのつくった農作物を売ったりして現金収入も得ることが出来るかもしれない。こうした巨大中国ならではの問題を解決する一つのヒントがあったりします。
この夜、農村淘宝のサービスセンターは熱気に包まれていました。
パソコンにつなげられた大型モニターを見ながら、農民達が係員といっしょに衣類の買い物を楽しんでいました。その熱気に、私も思わず参加してしまいました。ちょっとインターネットに詳しい人がおればできてしまうようなことですが、農村ではそう簡単にはいきません。
農民達の長い夜の時間に、こうしたインターネットの利用を促してあげることは、とっても意義有ることだと思います。逆に、我々もそうした需要がまだまだ中国にあるということを知る必要があります。大都市はどこもモノに溢れていますが、農村はその数が多いだけに、隅々まで普及させることはとても大変で、まだまだチャンスがある一方、現実に多くの企業が殆ど手をつけていない分野であることも確かです。
ネットを通じて農具をかったり、日用品を手に入れたりするのは今後、農村でも普及していくはずですが、そのためには地道なマンパワーによる努力も必要なのです。
中国の農村をいろいろ歩いてみると、いつも新しい発見ばかりです。
これからの中国の魅力は、やはり農民達の中に隠されていると思うのでした。
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