2014年11月11日

ネットが救世主になるか?!農村淘宝(タオパオ)を目にして

 9日の診察を終えて、夜一路西にクルマをはしらせ、浙江省の農村エリアを訪れています。

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 いまや都市部の再開発は、中国在住歴が長いものにとってとくに珍しくもないのですが、自然豊かな農村部の変化は、毎回いろいろあって興味深いです。

 今日訪れている浙江省桐廬にある白雲源村には、このあたりを旅するときによく宿泊する宿があります。ここでもそうなのですが、農家の夜はとっても早い。
 確かに一日外で活動すると4時過ぎにはお腹が減ってくるわけで、その時におやつを食べるぐらいだったが、さっさと晩ご飯を食べてしまえというのがこちらのやり方です。

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 4時半にご飯を食べ始めると、5時半には後片付けも終わってしまう。こういう生活はとっても健康的だと思います。食後から寝るまでに時間もたっぷりありますし。そのまま、麻雀に勤しむ人たちもいました。山の中ではできることも限られます、

 そこで、私も食後の散歩に村の様子を見て回るのですが、そのなかでとっても賑やかな場所がありました。それが「農村淘宝(タオパオ)」のサービスセンターだったのです。

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 今話題のアリババ集団が、農村ビジネスの一環として力をいれている仕組みで、今後3〜5年以内に100億人民元を投資して、1000箇所の県と10万箇所の村にサービスセンターを設置し、農民達へのインターネットサービスを手助けしようというものです。

 中国の農村といっても、なかなかイメージできない日本人は多いと思いますが、昨今の長江デルタエリアの農村は明らかに新しい発展の仕方をしています。農業だけでなく、民宿などをして様々な副業を持っている人も多く、収入源もさまざま。一定の現金収入を持っている人が多いのですが、農村というだけあって、物流や移動に大きな問題を抱えていることも多いのです。つまり、お金を持っていても、それを有効的に効率よく使うことがまだ難しいのが現実なのです。

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 そこでアリババが着目したのが、そうした農民達の生活を改善するのにネットを活用使用という試みが、「農村淘宝」というわけなのです。

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 村にサービスセンターを設置して、実際にインターネットに詳しい係員が常駐していました。ここで、ネットショッピングでの買い物や、農産物のネット販売、さらには商品の受け取りや、バス・列車・飛行機などの購入代行もしてくれます。

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 現在、農民が実際にこういうことをしようと思ったら、長い時間をかけて街に出たりする必要があり、あっさりとネットで代行購入できたら時間も節約できます。なにより、自分たちのつくった農作物を売ったりして現金収入も得ることが出来るかもしれない。こうした巨大中国ならではの問題を解決する一つのヒントがあったりします。

 この夜、農村淘宝のサービスセンターは熱気に包まれていました。

 パソコンにつなげられた大型モニターを見ながら、農民達が係員といっしょに衣類の買い物を楽しんでいました。その熱気に、私も思わず参加してしまいました。ちょっとインターネットに詳しい人がおればできてしまうようなことですが、農村ではそう簡単にはいきません。

 農民達の長い夜の時間に、こうしたインターネットの利用を促してあげることは、とっても意義有ることだと思います。逆に、我々もそうした需要がまだまだ中国にあるということを知る必要があります。大都市はどこもモノに溢れていますが、農村はその数が多いだけに、隅々まで普及させることはとても大変で、まだまだチャンスがある一方、現実に多くの企業が殆ど手をつけていない分野であることも確かです。

 ネットを通じて農具をかったり、日用品を手に入れたりするのは今後、農村でも普及していくはずですが、そのためには地道なマンパワーによる努力も必要なのです。

 中国の農村をいろいろ歩いてみると、いつも新しい発見ばかりです。

 これからの中国の魅力は、やはり農民達の中に隠されていると思うのでした。

東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 21:12| Comment(0) | ビジネス・経済レポート

2014年11月10日

新しい概念のニュータウン、浙江省良渚文化村

  中国人の間でも、住んでみたい街の一つとして取りあげられることのある浙江省杭州市郊外にある良渚文化村を訪れてきました。上海からはクルマで3時間弱ほど。

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 良渚文化というのは、紀元前3500年〜紀元前2200年ごろに栄えた文化で、稲作文化がすでに形成されていたらしい。長江下流の上海には、最近博物館も建設されたッ澤文化もありますが、その関連性も指摘されています。ただ、1000年もの繁栄は、大洪水によって消えてしまったらしい。自然の力は恐ろしいですね。

 その良渚文化が栄えたエリアに、今回訪れたニュータウンがありました。計画人口は3万人ほど。文化村というので、農民達が新しい形で町作りをしているのかと思っていたのですが実はそうではなく、都市部などから移り住んできた人たちが大部分のようでした。ただ、インフォメーションセンターでいろいろ話を聞く限り、住民達が協力しながらまちづくりをしている様子がよく分かります。

 今流行の環境に優しいまちづくりとして、ゴミの分別回収や、犬の糞を処理するポール、住民ボランティアの取り組みなど、一般的な中国の住宅地ではまだまだ本格化していない事項がいろいろ紹介されていました。

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 日本の建設家安藤忠雄氏の名前が出てくるなど、世界中の著明な建築家がプロジェクトに関わっているようです。街の中心部の教会は、島津事務所が手がけているなど、いつもの中国の住宅地とは雰囲気がちょっと違う感じです。

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 村の入り口には5★ホテルがありました。今回、我々もここに宿泊したのですが、このホテルも地域住民なら4割引きになります。ホテル内には子供が遊ぶエリアやフイットネス倶楽部、室内プールなどがあり、宿泊者はもちろん無料ですが、住民も住民価格で利用できます。カルチャースクールもありました。

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 これが結構ユニークなホテルで、ベランダに浴槽があり、ちょっとした露天風呂気分が味わえます。(^_^)
 サービスも特に不満はなく、朝のビュッフェも美味しくいただけました。最近、こうした中国的要素をふんだんに取り入れたホテルが増えていますが、私個人的には好きです。

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【データ】NARADA(良渚君澜度假酒店) 
     HP:http://www.naradalz.com/cn/


 住民用の食堂や、市場も整備されています。少し歩くと、公園も整備されていて良渚文化博物館もあります。残念ながら、この日は月曜日で休館日。ここは再び訪れてみようと思います。

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 ただ、いったいどういう人がここに住むのか、いろいろ考えてみました。杭州郊外といえども、杭州市内にはクルマで1時間はかかりますし、地下鉄2号線も2年後にやっと開通。クリニックはあるようですが、市場や商店街はあっても大型の商業施設なども見当たらず、ニュータウンとしてはちょっと不便かも。ただ、新規分譲しているマンションをみていると、高齢者用の住宅も考えられているようで、建設が進められていました。
 ちなみに、不動産業者に相場を聞いてみたところ、標準的な80〜100uほどのマンションで100万元前後らしい。確かに上海よりはずっと安いけど、私はむしろ高い!と思ってしまいました。

 とはいえ、郊外の農村地区に、不動産価値を高めるようなアイデアを詰め込み、都会の郊外移住者を取り込むような住宅地を作る試みは、昨今の長江デルタエリアではよく見かけるようになりました。単なる不動産投資の目的ではなく、町作りを目指した住宅開発は、今後も増えるような気がします。ゴーストタウンを作らないためにも。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | ビジネス・経済レポート

2013年05月03日

中国で贅沢品が売れなくなっている

 私の中国人の親友で、高級酒を取り扱っている商人がいますが、以前のようにガンガン売れていた高級洋酒が、ここにきてまったく売れなくなり、代わりに地元の紹興酒が売れるのはよいが、利益が出なくなったとか、ある公務員の友達は、今までは現金で経費を落としていたのが、ぜんぶカード決済なり、明細がはっきりとして消費が難しくなったとか、そういう話を回りでよく耳にします。明らかに、今までのように贅沢品を買いまくる中国人の姿は減っていることが実感できます。政府当局の、反腐敗に対する動きが目立ってきていることが印象的です。

 上海の南京西路や外灘のブランド街にも秋風が吹き始めており、いままでの消費が、公費の無駄遣いによるバブル消費であったことが露呈しはじめていますね。税務当局の領収書への検査も厳しくなっており、例えば某ブランド店でも、高級カバンに文房具の名目で領収書を切っていたのを、きっちりと商品の品目で書くように指導が入っています。

 こういった影響は、すでに数字でも出ていて、世界高級品 協会(WLA)のデータでも、2013年1月20日〜2月20日の春節期の高級品の売り上げが、前年の春節期を比較して53%の減少、2013年第一四半期のスイス時計の中国への輸出額は前年比26%減少など、急落しています。また、出店攻勢を進めていたLVも、ここに来て地方都市への出店を停止して、現状維持とするなど、流れが変わってきているのが分かります。売り上げの3割程度の下落なんて、ここ数年の中国では考えにくいことでした。

 新華社の報道の言葉を借りると、「2011年の国民一人あたりのGDPが86位なのに、贅沢品市場ではアメリカについで世界第2位の市場規模」と言うこと自体が、尋常ではなかったということが明らかですよね。

 だいたい、上海の市場では、1元や1角ですら値引きしようと大奮闘する人が多いのに、ブランド品を買うとなれば、価格すら聞かないというのはどうみてもおかしい。基本的に、自分のお金を消費しない、懐が痛まない、贈答に使う、という観点からの行動だったわけなのです。

 逆に、実用を重視する消費が伸びてきているとか。これも、ある2流海外ブランドの営業を担当している友人から聞いた話ですが、なぜか売り上げが急に伸びてきているのだそうです。

 こうした消費の変化は、中国の庶民にとってはいいニュースではないかと思います。


posted by 藤田 康介 at 08:06| Comment(0) | ビジネス・経済レポート