2006年05月21日

がんばれ、日本!

政治と経済は別だとかいって日本と中国は首脳会談すら行われないことがずっと続いている間に、5月21日にはドイツのメルケン首相が北京入りして、温家宝首相と会談するようだし、敏感な問題でもめている間に、世界は動いているようです。ドイツ首相の今回のアジア訪問はなんと中国だけという極めて異例の行動。
 確かにドイツと中国の経済交流が盛んなのは、上海で生活していれば十分にわかる。上海のタクシーはいまだにほぼVWだし、地下鉄はシーメンス、ドイツの技術でリニアが走っているし、これも杭州にいくとかで話はだんだん大きくなっています。考えてみれば、我が家の冷蔵庫もシーメンス。上海人の間ではシーメンスの冷蔵庫は故障が少ないと定評なのです。このとき、よっぽど日系のものを買おうとおもったけど、残念ながらほしいものが見当たらなかった。
 ま、日本には日本の戦略があることですから、私のような素人が口を突っ込むことはないですね。



 さて、最近の興味深い現象。きっとこれも企業戦略と思うのですが(そうであると信じたいが)、日系企業のつくる携帯電話が上海からどんどん姿を消しています。三菱や東芝が携帯事業から撤退したのは有名だけど、最近ではあれほど一世を風靡したパナソニックの携帯電話も浦東では売っている店のを探すのが大変。売り場に並べられているいう点から見ると、かろうじて生き残っているとすればソニー・エリクソンとNECだけか?そのNECも私からみればいけてる携帯電話が少ない。上海で携帯電話を使い始めてかれこれ10年、ずっと日系メーカーを使ってきたけど、いよいよ鞍替えのときか。
 売り場のほとんどはサムソン、ノキア、モトローラで占められています。とくにサムソンの躍進がすごい。確固としたシェアを作り上げました。

 でも、皮肉な話に、日本で以前ボーダーフォンなどで使われていたシャープや東芝の携帯は、なぜか上海でも熱心に裏取引されている。SIMカードのロックを解除して、中国語化したものを使っている現地人を最近よく見かけます。ソニーのPS2にしたって、上海で正式に売られていないはずなのに、大増殖している。実は人気があるのです。だけど、ほとんどが裏取引状態。それでもほしい人は沢山いる。

 ハイテク分野では確かに実力がある日本だと思うのだけど、ことに中国に関してはいまひとつぱっとしない。儲からないところには投資しない、ということは当たり前だけど、なんか上海で生活している一人からすると「もうからない」というのを「売れない」ことのいいわけのような気がして仕方がない。

 それとも、携帯の分野では、これから中国で始まるであろうとされる3Gの分野で、一気に躍進を狙っているのだろうか?でも、上海市民の間に、日系の携帯電話メーカーは、続々中国から撤退する、というようなウワサが飛び交っている中で、再び日系メーカーが中国で信頼を得ることができるのか、私ははなはだ疑問を感じます。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | ビジネス・経済レポート

2006年04月27日

中国の割り箸

 最近といわず、以前から日本での使い捨て割り箸に対する各国からの風当たりは強いけど、ご存知の通り、こちら中国でも割り箸は日常不可欠な生活用品の一つです。

 日本で割り箸を使うとすれば、コンビニ弁当やピクニックなど使い捨ての利便性を考慮した使い方がされることが多いように思いますが、中国の場合には少し深刻です。それは、衛生問題と直接関係あるからです。

 現地の人とレストランに行くと、よくわかります。もし、使い捨ての箸がなければ、店の人に頼んで、使い捨て箸を出してくるように言う人も多いです。現実問題として、中国のレストランでは日本のように食器洗い機などを使って洗っているケースもそう多くないですし、消毒といってもどの程度消毒されているかさっぱりわからない。肝炎王国の中国では、衛生問題は何よりも大切なのです。
 つまり、消費者の飲食業に対する不安が、割り箸への需要を高めているということができます。私も、街の食堂の厨房などを見て、とてもきれいに箸が洗われているとは思えない…。

 そこで中国ビジネス解説にも2006年4月分記事として掲載しましたが、今年2006年4月1日の中国の消費税改定で、割り箸に5%の消費税がかけられるようになったのも記憶にあたらしいところです。


 中国の統計では、中国で年間450億本の割り箸が消費されていて、そのために2500万本の木が伐採されているそうです。そこで、2005年度から中国国家林業局は割り箸を専門に生産する会社の設立を禁止にしています。毎年200万平方メートルの森林が消えているとかいわれると、気にしないわけにはいきません。

 これはこまったぞ、と中国で生活する我々は思ってしまうかもしれません。しかし、上海ではかなり前から木の割り箸を使わない試みが行われていたことをご存知でしょうか?そうなんです。上海では竹の割り箸が広く流通しています。
 私が医学生だったことは、まだ木の割り箸はたくさん見られましたが、政府の努力により市中心部では木の割り箸はまずお目にかかりません。上海では政府の指導により木の割り箸は早くから禁止されたのです。

 一方で、竹は2年もすれば立派に成長するため、こういった使い捨ての箸にはもってこいなのです。だから、市内のどんな小さなレストランでも、写真のような竹の割り箸が置いてあるはずです。使い捨てにはもったいないぐらいの竹の割り箸もあれば、ここの食堂にように串を2本合わせたような非常に細い竹の割り箸もあります。だけど、使うのには十分です。

 一方で、広州など中国の他の都市では竹の割り箸への活用はまだまだ。そもそもは割り箸の価格が安すぎることに原因があるようです。その価格は、5000本で80元前後、1本にすれば2分にも満たないほどのコストです。これでは、仮に5%の消費税がかけられても、影響はほんの少ない。農民の収入をあげるためにも、もっと割り箸の値段は高くしてもいいように思うのですが、なんせ物がやすいから、なかなか省エネも進まない。


 でもやっぱり、一番いいのは自分の箸を持ち歩くことですね。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | ビジネス・経済レポート

2006年04月20日

「安い、安い」と手放しでは喜べない

 昨日、ついに「物干し」が設置されました。本当は水曜日の午後に取り付けるはずが、職人さんの都合で間に合わず、1日延期になりました。 

 約束した時間と違うぞ、と職人さんを批判したくなるところですが、そこが中国です。職人さんも遅れたくて遅れたわけではありません。安徽省から出稼ぎにきている彼の謙虚な対応に、こちらも思わず許してしまいます。

 そもそも、彼らは働きすぎです。たった2人で浦東地区全部の取り付けを担当しいるそうです。さらに詳しく聞くと、奉賢区や南匯区、外高橋までもが範囲に入るとか。もちろん、車で移動するわけではありません。いわゆる電動自転車に工具一式と材料を積んでの移動です。こりゃ、はっきりいって無茶ですね。毎日、昼を食べる時間も惜しんで取り付けに走り回っているといっていました。

 私はこういう出稼ぎに来ている人と話するのが大好きです。上海の社会のいろいろな側面を知ることができるからです。

 今回の彼は1991年から上海で出稼ぎに来ているそうで、その当時まだ19歳。自由市場で野菜を売る仕事からはじめ、その後今の物干し取り付け工事をしているそうです。出稼ぎの成果があってか、すでに結婚して田舎で7LDKの家が建ち、田舎の田畑は両親に任せておいて、彼は上海で働いているとか。今は2人の子持ち。奥さんは働かせてもたいした稼ぎにならないので、上海の自宅で待機。毎日マージャンや子守をしてすごしているそうです。 

 田舎の7LDKというのは、いくらぐらいで建つの?と聞いてみたら、6万元だそうです。

 う、私のマンションの内装費より安い。きっと、田舎に出稼ぎで稼いだ人たちの家が並んでいるのでしょう。

 安徽省といっても、彼の実家は上海から鉄道で5時間程度でいけるそうで、帰ろうと思えばいつでも帰られるとか。だから、春節などは実家に帰らない。こういうパターンも最近の出稼ぎ労働者に多いです。

 でも、田舎にいるお年寄りは寂しいでしょうね。中国の都市化の流れは、こんなところにも影響しだしています。中国の人々の生活習慣をも変えつつある。上海の高齢化は出稼ぎ労働者がカバーできるけど、田舎の高齢化はそうは行かない。

 これら出稼ぎ労働者は、上海籍もないわけだし、多くは社会的厚生福利なしでひたすら働いています。給料も何件取り付けて、いくらという出来高払い。だから、企業としても彼らを喜んで受け入れる。しかもそういう労働者は上海に引き手あまたに存在する。

 そんな背景だから、先進国がいくら物を作っても、コスト面では絶対かなわない。ある日系企業の人が、中国では機械を導入するよりもヒトを使ったほうが安い、とまで断言されておられました。こういう状態がいつまで続くかは微妙だけど、だけど今の上海の繁栄を支えているのは、紛れもなく彼らなのです。私は彼らに感謝したい。

 でも身勝手な先進国の企業は、コストがあがったら今度はまた容赦なくどっかへ移動していくんでしょうね。

 儲けるだけ儲けて、あとは「サイナラ」。さあ、モラル的にそういうことが本当にできるのか?

 私はじっくり見届けたいと思います。

 さて、さっそく朝起きて洗濯してみました。この物干しは、使わないときはハンドルをクルクルまわして竿を軒下に収納することができます。今までは、ベランダに物干し台を置いていたのですが、スペースをとって不便。600元ほどの投資で、利便性が格段に増しました。

 さらに、洗濯物を高く干せるので、風通しも抜群です。もちろん、布団の重さにも対応します。

 洗濯が趣味になりそうです。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | ビジネス・経済レポート