2016年01月15日

子供が中国語を勉強すること 日中での学校教育の違いをみて

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(上海の小学校の登下校風景)

 今週ぐらいから上海のローカル小学校は春節休みに順次入っていきます。期末テストが終わったら休みのところが多いです。日本みたいに終業式や始業式があるわけでもないし、あっさりとしています。そもそも1クラス45人で1学年15クラス。そんな大人数が一同に集まったら大変ですよね。中国は基本的に2学期制です。また、上海に関しては中国国内でも珍しく、小学校は5年生で卒業し、中学は4年間あります。

 うちの娘は、春節休みを利用して今朝、奈良へ出発しました。

 日本の学校は普段通りの3学期なので、日本で日本語など小学校の勉強をするのにはちょうど良いタイミングです。1学期も日本の学校でお世話になったので、また同じクラスに戻って授業を受けることになりました。中国滞在中に日本語のフオローをするのが大変ですが、でも本人は日本語が好きなようで助かっています。

 日中カップルの場合、顔は日本人のさほど変わりません。欧米人のように一目見てハーフだと気づかれることは先ずありません。だから、余計に日本で生活するに当たってのハードルが高い。日本語が不自由だったり、読み書きが出来なかったら尚更です。

 一方で、中国人の血も混じっているわけですから、中国文化を無視することも出来ません。最低でも、言語に関しては中国語を使いこなせるようにはしてあげたいと思っています。ただ、漢字数がとてつもなく多い中国語は発音も厄介だし、書くことも読むことも更に厄介です。娘も日本の漢字だったらひらがな・カタカナを駆使してさっさと漢字を調べてきますが、中国語の場合はピンインが読めてもそうもいきません。

 もちろん、上海にも日本人学校がありますが、そこはまさしく日本と同じ環境なので2〜3年の短期滞在ならまだしも、ずっと現地にいる場合だと色々と難しいところがあります。そこで、我が家ではまずは、日本の学校の先生方の指導を受けながら、中国の公立学校にも行く日中2箇所移動での通学をやってみようと言うことになったわけです。

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 日本と中国は世界でも珍しく共通の漢字を使うクニですが、同じ漢字と思いきや、小さな違いがたくさん有ります。簡体字と日本の当用漢字との違い以外でも、同じ漢字で例えば「王」や「田」と言った小学1年生で習うような漢字でも書き順が違ったりします。ただ、日本の書道の専門家に話を聞くと、書き順というのはかなり臨機応変なものらしい。時代によっても違うし、書体によっても変わってくるモノ。なるほど、結構相対的な約束事なんだなとわかりました。

 漢字の勉強法に関しては、日中では大きく違います。日本は一つの漢字をじっくりと教えますね。これはやはり漢字の数が少ないからでしょうか?中国では毎日沢山の漢字が(単語)が出て来て、それを一生懸命覚えます。一つ一つの単語をマスターしていく感じです。なんとなく、英単語を覚えるのに似ているところがあります。そもそも、各地で方言色の強い中国ですので、普通語を覚えることはある意味外国語を覚えることに似ています。正しい発音練習からかなり時間をかけて行われます。日本では国語で言葉の発音練習はあまりしませんよね。

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 算数に関しても大きな違いがあります。日本の公立小学校では、満点をとれることを重視しますが、中国では小学1年生から必ず難問を出してくる。だいたい、幼稚園でひと通り読み書きと計算をやっているので、出来る子供たちはさっさとやってします。先生も、そういう児童に照準を合わせている見たいです。

 いずれにしろ、実際に娘を通わせてみると日中それぞれで教育方法の理念が大きく違うことがわかります。どちらがいいというわけではないと思いますが、お互いがお互いを知る必要はあると思います。

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(上海市の小学校の学生証)

 現在、上海は基礎教育では学力テストで世界トップクラスの点数をたたき出し、欧米各国からも専門家の視察が相次いでいます。一方で、日本では今後ハーフの子供たちも増えてくることでしょう。中国人が大挙して日本に押し寄せてくる時代。私が上海に行ったころには考えもしなかった現象です。これからどんな日本の未来が描けるのか、今の子供たちの肩にかかっているわけです。

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 しかし、日本の子供たちは寒さに強い!うちの子も鍛えられております。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 上海での育児・教育・子育て

2016年01月12日

上海の公立小学校の新年音楽会に行って思ったこと

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 中国ではいまは忘年会のシーズン。あと3週間で春節ですので、今はまさに年の瀬です。

 去年の9月に日本の公立小学校から転校して、上海のローカル公立小学校に通っている娘は、なんとか毎日のハードな宿題勉強にも慣れてきて、無事前期を終えることが出来そうです。今はちょうど小学校では期末テストの時期になります。中国では春節休みを夾んで前期後期の2学期制です。だから、夏休みと春節休みがとても長くなります。

 1学年15クラスという巨大な小学校。上海では、小学校は5年制で中学校は4年制になります。その1年〜5年生の児童が、日頃の音楽クラブ活動の成果を発表する新年音楽会が東方芸術中心でありました。東方芸術中心と言えば、上海でもトップクラスのクラシック専用ホールで、小澤征爾もここで指揮をしたことがあります。そういう一流のホールを、小学生のために使わせてあげるというのも太っ腹ですね。

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 演技はなかなかのものでした。吹奏楽以外にも管弦楽もあり、合唱にダンス、民族舞踊やハーモニカ合奏など、かなり本格的です。ドイツまで演奏に行くそうですから、かなり練習しているようです。とても普通の公立学校のクラブ活動とは思えないレベルでした。

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 確かに、小さいころからバイオリンを練習している子供たちも多いですし、人材には事欠かないのでしょうね。巨大小学校の威力を見せつけられました。

 指導にくる先生も多彩。中国の小学校は教科別に先生が替わりますので、今回は芸術系の先生が大活躍するわけですが、その数もとても多い。若い先生方の歌声はとても上手でびっくりしました。子供たちも大喜びです。

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 そして、保護者もクラブ活動にはいろいろ協力していて、上海市交響楽団で演奏しているメンバーがいたりして、指導に入っているようです。中国では、基本的に保護者が学級運営にいろいろ協力します。これは日本とも似ていますが、違うのは学級運営の役を保護者が積極的に受けるという点。希望者が多すぎて、抽選になることもしばしば。また、学級運営費で教室用の巨大空気清浄機を購入したり、かなり積極的に運営されています。

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 ところで、公立小学校の音楽会といっても、全員が舞台に立てるわけではありません。クラブ活動に参加している選抜メンバーのみ。
 娘から話を聞いていましたが、クラブ活動も実は選抜制で、レベルについて行けない児童はクラブ活動から追い出されるというまさに真剣そのもの。なんでも公正公平を目指す日本の小学校とは考え方が根本的に違いますね。

 さて、中国での音楽コンサートというとマナーの問題を心配する方も多いかも知れません。しかし、1年〜5年生の子供たちは静かに聴いていました。一流のホールで演奏することで、マナー教育もしっかりと出来ますしね。ちょっと見直しました。

 ちなみに、会場に入ることができる保護者は児童一人につき1人だけです。こういうルールは中国では厳格です。人が多いですからね。秩序を守るには必要なルールですね。

 いやいや、上海の公立小学校にはいつも新しい発見が一杯です。そして、新しい取り組みが色々と行われている。基礎教育では世界一のレベルと言われている上海の教育システムに、世界から視察にくる教育関係者が多いというのも納得できます。

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2015年09月23日

4億人の中国人が喋られない中国語の普通語教育の難しさ

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 9月20日に甘粛省で行われた第18回全国推広普通話宣伝週のイベントで紹介されたそうですが、中国人のうち、普通語を操ることができるのが全人口の70%である一方で、まだ30%に相当する4億人が普通語でコミュニュケーションができないということが報道されていました。識字率に関しては95%以上だと言われていますが、普通語を使うとなったら決して簡単ではないと思います。田舎に旅行にいくと、普通語だけではまずコミュニュケーションに困りますからね。((^_^) 相手は私のことを聞き取れても、相手がしゃべっていることが分からない!!

 そもそも日本と違って、広大な国土と多様な文化を持つ中国は各地に様々な方言があり、普通語をマスターするというのは、場所によっては外国語をマスターするぐらいの努力が必要になるわけです。華人が様々な言葉を自由に操ることができるのも、そういった背景とも関係があると思います。

 うちの娘も、奈良の小学校から上海の公立小学校に転入して、中国語の学習を一から経験しています。中国語ネイティブのレベルでも、学校で勉強する普通語は初歩の初歩から。すなわち、我々外国人が初歩から勉強するのと同様に「ボー、ポー、モー、フオー、・・・・・」のピンインの発音からスタートするわけです。

 中国語には根本的に、日本のようにひらがなやカタカナがないから、中国語の漢字の読みを覚えるのには、ピンインしかなく、それも英語のアルファベットで表記しなくてはなりません。つまり、入学当初からアルファベットの修練からはじまるわけなのです。

 さて、6ヶ月の奈良滞在で日常会話程度の日本語は完全にマスターした娘は、自宅では日本語、学校では中国語を喋っています。このあたりはなかなかうまく使い分けているみたいで、日本人の父親に話すときは基本的に日本語(奈良弁)になりました。

 さらに中国の小学校では一年生の1学期から英語の授業が週4時間入ってきて、中学校の先生が授業に来られます。娘も歌って踊っての英語の授業をとても楽しみにしているところからみると、子供にとっては多言語の環境というのは全然どうってことないということを感じました。ただ、娘が日中ハーフである以上、中国語ぐらいはきちっと扱えるようにはしないといけないなと思っています。

 ということで、ピンインのマスターは、日本語のひらがなマスターと同様にとても大事なテーマ。毎日親子で格闘しています。

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posted by 藤田 康介 at 08:58| Comment(0) | 上海での育児・教育・子育て