
19日は例のゴタゴタ明けの初めての中医クリニックでの診察でした。日本人は全員キャンセルで、うちに来られるのは中国人の患者さんだけになるかな、とか勝手に想像していましたが、いつものように忙しい1日でした。皆様の健康をサポートする仕事をしているわけですから、中国人も日本人も私にとっては関係ありません。そこに患者さんがおられる限り私は診察し続け、上海在住17年の経験で少しでも皆さんに役立てることができたらと思っています。きっと、色々と不安に思っておられる方も多いことでしょう。
18日〜19日は日本人学校が休校だったこともあり、子連れの日本人を街でみかけることがはさすがに少なかったですが、上海にいる日本人の多くは注意しながらも、普通に生活をされているような印象です。とくに、中国に長く滞在している人ほど、そのノウハウを心得ているのがはっきりと分かります。今回の件で、日本・中国に関係なく、マスコミなどの報道に右往左往せず、情報を分析しながら、正しく自分で判断することがいかに大切かということを感じられた方が多かったように思います。このご時世、一人一人の価値観が多用化しているので、なにが「正しいか」と判断することは難しいですが、要は自分が、そして家族の一人一人が納得できる判断をすることが必要なのではないかと思います。
そして、日本から見られている上海と、上海にいる我々からみている上海と、あまりにもギャップがあって少々戸惑っています。上海でも、浦西にいる人と、浦東にいる人とでは、また感覚が違うのではないでしょうか。結局、一番よく分かっているのは、そこにいる人たちであり、そこで自分の目で「見て、聞いて、確かめる」ことが非常に大切になります。(中医学に関しても同じなんです。)
私は毎日、中国人のスタッフと一緒に、それも日本人が私一人しかいない環境で毎日仕事をしています。私の診察のアシスタントをしてくれているスタッフも当然中国人です。受付には日本語を喋るスタッフがいますが、職場の公用語は中国語だし、そんな中で、毎日スタッフといろいろな討論しています。まあ、中国におれば当たり前なのかもしれませんが、でもその中での日々の繋がりは大切です。こうした環境のなかで、毎日コツコツと日常をおくれることは、結構なことだと思っています。
中国で商売をされている人は、今はもっと大変なことでしょう。今回の件は、前回と違って、持久戦になると私はみています。でも、どこにいてもリスクはあるわけで、なにも中国に限ったわけではありません。日本にいると地震のリスクもあるわけですし。領土問題にしても、多かれ少なかれどこの国も抱えています。逆に、中国に対して言えば、これほど目的とリスクがはっきりと分かりやすいのも珍しいのではないでしょうか。日本がまわりの国々とうまくつきあっていくことは、小さな島国である以上、仕方がないのです。日本は大国ではないのです。
いまさらながらですが、上海で生活する限り、必要最低限身につけてもらいたいのは、やはり鉄壁な語学力だと思います。中国語がしゃべられなくても日本語で生活できた上海なんて、まだごく最近の話なのです。もし語学が分からなければ、いちいち他人の色眼鏡が入った情報を日本語で読む羽目になり、現地の人からの温かいアドバイスの声も耳に届きません。なにより、言葉ができなければその段階で、交わりを拒否しているように思われてしまっても仕方がなく、その場の雰囲気も読めなくなります。これはキケンです。その危機感を感じると、必死に言葉を勉強できるようになるのではないかと思います。外国語が苦手なんか言ってられません。
その昔の上海では、○○県人会のような日本人が集まる会合をやるのも法的に問題があり、憚れたこともありました。外国人が住む場所も、古北などごく限られたエリアで公安の許可が下りませんでした。そういえば、公安もしょっちゅう我が家にやってきて家庭訪問がありましたね。そんな環境の中で、先輩の日本人達はコツコツビジネスをやってきたのです。そういった努力を水の泡にしないよう、前進していくしかないと思います。
この逆風のなかでも日本人がここでビジネスを続けることができるか否かを、中国の一般の市民(消費者)がみています。「ああ、やっぱり撤退した」と「まだ頑張っている」とでは、将来へ向けての印象が全然異なりますから。
しかし、日本の首相の「想定外」発言には、正直ビックリ。福島原発の事故以降、「想定外」でなんでも通じるようになっちゃったのかなあ。政府としての危機管理体制はどうなっているのだろうか。私はてっきり、中国がそう出てくるのを知って行動していたのと思っていました。。。。(甘い)

【連絡】・東京での温泉気候物理医学会招待講演のため、10月7日(日)は休診します。
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