2018年02月14日

紀州漆器の街、海南市黒江へ行ってきました

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  中世の町並みを残す、奈良橿原市今井町で40年以上今井町の保存活動を行ってきている今井町町並み保存会の活動の一環で、その県外研修に参加してきました。

 今回も、保存会の若林会長をはじめに、NPO法人奈良まほろばソムリエの会の鉄田理事も参加され、非常に密度の濃い研修会になりました。こうした研修会はもう20年以上続いていて、今井町の町作りを住民サイドから盛り上げていくのに大きな役割を担っていると思います。

 今回は、根来寺ー黒江ー温山山荘という1日コース。海南方面には行ったことがあったのですが、そこに黒江という集落が紀州漆器の街として残っています。いつも上海から関西空港へ着陸するときに眼下に見えるエリアでもあります。

 実は今回の研修で、いつの間にか京奈和自動車道が奈良橿原から和歌山を経由して阪和道路に繋がっているという事実を経験し、しかもこの自動車専用道路から見える葛城山が非常に雄大で、出発から新しい発見ばかりでした。奈良橿原から和歌山方面は遠いというイメージがなんとなくあったのですが、完全に覆されました。

 いやはや、日本ではこういう高速道路が完成するのが遅すぎるでしょう。日頃中国で暮らしていて、いま農村エリアでの高速道路の整備が急ピッチで行われているのですが、高速道路の開通が地域経済にもたらす影響の大きさを目の当たりにしているだけに、道路インフラはとても大切だと痛感します。ただ、中国と違って、京奈和自動車道の山間部は対面通行ですのでこれも早く上下4車線にするべきでしょうね。

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 根来寺は国宝の大塔は、日本最大規模で、高さ40メートル。しかも、中を見学できる数少ない国宝といわれています。1547年築のオリジナルの姿を今に見せています。また、根来寺の本堂となる大伝法堂は、建物こそ江戸時代築ですが、本尊は1405年築で室町時代のもの。住職が非常に詳しくお話してくださり、大変勉強になりました。

 もちろん、大塔の木材にある鉄砲の跡も見つけましたよ。

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 そのあとは、紀州漆器の街、海南市黒江へ。至る所に漆器の工房や漆を入れた樽が散見され、ここが漆器の街として発展して来たことが実感できます。「うるわし館」では、蒔絵体験などもできる施設もありました。さすが越前・会津・山中・紀州の4大漆器生産地の一つです。

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 黒江はギザギザののこぎり状の町並みが特徴で、これらは江戸時代に黒江の入りを埋め立てた名残と言われています。

 江戸時代の民家や、今でもお店やカフエなどに活用されている民家もあり、町家の見学もできます。

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 集落の高台には、中言神社や浄国寺があり、人々が津波などが来たときに避難できるよう、等高線に沿って通路も作られていました。

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 浄国寺には時を知らせる太鼓も残されています。

 街自体は非常にコンパクトですが、漁村の面影を強く残しており、散策するのには良い感じです。

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 中言神社には、黒牛像から名水が湧き出ていて、ここから清酒「黒牛」が作られています。酒蔵は「黒牛茶屋」になっていて、休憩所として活用されています。
 
 最後は、琴ノ浦にある温山荘園を見学。

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 世界有数のベルトメーカーである、新田帯革製造所(現ニッタ株式会社)の創業者、新田長次郎の別荘を見学。これがまた広く、さすがに健康維持のために使われた別荘と言われるだけあります。庭の中を歩くだけでも、十分な運動になります。ここは純和風と思いきや、実はダンスホールが設置されているなど、明治時代の面影を色々感じることが出来ます。

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 今でこそ庭先は埋め立て地になっていましたが、その当時は海だったそうで、庭の池にも海の水が引き込まれていました。

 紀伊半島一帯にはまだまだ沢山の小さな街が沢山残っています。これらの街が、少しでも元気で生命力が出せるように、我々も応援していかなくてはいけません。また、関西空港から離れているわけでもないですし、地元の人たちももっと自信も持って自分たちの街をPRしていかないといけないですね。私が見る限り、まだまだ掘り起こせるネタが沢山あるように思います。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 奈良橿原市今井町の魅力

2016年03月22日

奈良高取城跡の魅力

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 なんかもう2ヶ月前のネタを書いておりますが〜。

 3月22日、日本に戻ったついでに、ちょっくら高取城址へ行ってきました。

 奈良県橿原今井町の我が家からもこんなに近いところに、とんでもない山城があったことにびっくりしました。
以前、上海人の妻が登ってきて「良かった!」と教えてくれ、奈良県人の私が一度もいったことなく、今回ついに実現しました。

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 折しも、高取城の麓にある土佐街道沿いでは、「町屋の雛めぐり」をやっていて、昔の城下町に彩りを添えています。

 日本名城100選にも選ばれ、日本三大山城の一つらしい。資料によると、日本三大山城は大和高取城、備中松山城、美濃岩村城を指し、高取城は麓から本丸までの高低差が390メートルもあり、海抜は583メートル。まさに難攻不落だったそうですが、明治のはじめごろまで城郭が残っていたとのこと。

 小学生低学年の子供でも十分に登れる山城です。本来は、桜を楽しみに登ったのですが、ちょっと早すぎ。やはり4月にならないとムリですね。

 ルートはいろいろ有りますが、個人的には壺阪寺経由から登るより、高取川にそって上子島砂防公園を経由して登っていくルートがお薦め。登る前に、高取町観光案内所「夢創館」に寄って、高取城の地図などの情報を手に入れることができます。

 コースには若干起伏がありますが、下から順番に城郭が見えてくるので、山城にきた実感が出て来ます。

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 途中、猿石があります。飛鳥時代に作品だそうですが、石垣を作るときに明日香村から運ばれてきたそうです。これが、なかなか良い味を出しています。薄暗い森のなかでみてみると、なんか今にでも動き出しそうな感じです。上海人の親戚も、「これは見る価値がある!」と絶賛していました。

 いくつか、絶景の写真スポットがありますが、国見櫓あたりからみる大和盆地は素晴らしい。天気がよければ瀬戸内海まで見渡せるそうですが、この日も大阪阿倍野のハルカスまで見ることができました。

 大手門から、二ノ丸跡、そして本丸跡へと入ってくると、その城壁の高さに圧倒されます。明治20年ごろまでお城がちゃんと残っていたというのですから、残念な話ですね。

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 高取山の標高は583.3m。本丸からの景色もまた素晴らしく、関西のマッターホルンと呼ばれている高見山や大峰山の山並みも目の前に広がります。本当に素晴らしい場所に築城されたお城だと実感しました。

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 さて、下りですが、壺阪寺経由でおりました。途中、五百羅漢と呼ばれる岩山に無数に彫られた石像群をみることができます。16世紀末頃の作品といわれています。これは必見です。

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 ただ、壺阪寺から麓にでるルートを間違えてしまい、本来のハイキングコースではなく、車道を走る羽目に。これは結構きついので、ハイキングコースをたどるか、元来たルートをおりる方が無難かも知れません。

奈良県は地域によって様々なカラーがあります。観光客の皆さんは東大寺とか奈良公園のある北側に行かれる方が多いですが、近鉄西大寺から南のエリアもいろいろ楽しみがあります。
 大阪・京都・名古屋からのアクセスもよく、ぜひ一度足を運んでいただきたいと思います。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 奈良橿原市今井町の魅力

2016年01月21日

奈良今井町の町で楽しむ町屋懐石〜和彩「まゆう」

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 奈良橿原今井町は、もともとは戦国時代の寺内町。だから路地は迷路のようになっていて、なかなか目的地にたどり着くのが大変です。そんな中で、いろいろユニークなお店があったりします。

 古い町を如何に再生していくはとても大事なテーマです。

 しかし、中国上海近郊の観光地化してしまった、土産物屋ばかりの水郷みたいになってはいけません。観光客を沢山呼びたいから、観光バスで団体客を呼び込もうとするのもまた間違いだと私は思っています。中国の観光地での失敗事例を沢山見てきましたから。

 特に、今井町のような小さな街では、団体客がどっと来ても、町を体感することが出来ないのです。しかも町の雰囲気も壊してしまいます。

 今井町は今でも住民が住んでいる活きている町であることを忘れてはいけないと思います。

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 さてさて、先日は町屋懐石をいただきに、今井町4丁目にある「まゆう」さんを訪れました。

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 町屋をベースにした建物は、とても落ち着いた空間です。

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 夕食は事前の予約が必要ですが、奈良地元の食材をふんだんに使った、かつ薄味でヘルシーな料理を楽しめます。とくに、最後に出て来て奈良地元のお米は最高に美味しかった。

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 今井町は他の観光地のような発展形式ではダメです。

 地元の人たちが住んでいたいと思うような形で、活気を取り戻す必要があるのです。極端な観光地化も言い換えれば、町の衰退に繋がりますから。

 町には生命力があります。

【データ】和彩「まゆう」
住所:橿原市今井町4丁目9−28
電話:0744−37ー2176
HP:http://www.ac.auone-net.jp/~wasai/

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posted by 藤田 康介 at 12:15| Comment(0) | 奈良橿原市今井町の魅力